機械・電気・計装・土建の4部門と化学工場の現場習熟度

図面働き方

NEONEEETです。

化学工場のユーザーエンジニアは自社の現場に詳しくあるべきです。

ユーザーエンジニアの存在価値はまさにここにあります。

現場に最適化されたエンジニアを常時確保しておきたいと会社が考えるから、ユーザーエンジニアが存在するわけで、

汎用的なエンジニアだけで工場運営ができそうなら、エンジニアを外に出せばそれで終わりです。

とある会社のユーザーエンジニアを眺めてみて、現場の習熟度と理想とのギャップについて考えてみました。

現場の習熟度と理想のギャップ

まずは定性的な表現として、化学工場現場の習熟度と理想を比較してみましょう。

機械計装電気土建
習熟度CCDE
理想AACD

これを文章で表現すると以下のようになります。

  • 機械・電気・計装・土建いずれも現場の習熟度が低い
  • 機械と計装は現場に詳しくあるべき
  • 電気や土建は現場に詳しくなくてもOK

現場の習熟度が低い理由

機電系エンジニアが現場に詳しくない理由を解説します。

最近の若者は~というつもりはありません。

昔のベテラン層の機電系エンジニアも現場には詳しくありません。

仮にそれっぽい発言をしている場合は、詳しいフリをしているだけです。

もっと構造的な問題があります。

  • 化学工学を理解していない
  • 運転操業や運転管理を経験していない
  • 運転に関する情報が機電系エンジニアに入ってこない

勉強しない機電系エンジニア自体の問題もあり、組織として経験を積む場もなく、情報の分断も行われている。

この状況で、機電系エンジニアが現場に詳しいレベルに行くためには、個々人の膨大な努力を要求されます。

逆に言うと、環境のせいにして習熟度が低いのは仕方がないと割り切るのも会社の判断としてはありえるでしょう。

機械と計装が現場に詳しくあるべき理由

機械と計装が現場に詳しくあるべき理由はプロセスに最適な設備を導入するという一言に尽きます。

プロセスに最適なという表現にはいろいろな意味が含まれます。

  1. 化学工学的に適した設備
  2. エンジニアリング的に適した設備
  3. メンテナンス的に適した設備

大きくこの3つの目線で考えないといけません。

設計初心者は1の化学工学の面だけを考えがちです。

プロセス条件としての流量・圧力・温度や流体の腐食性・スラリー濃度などに着目するのはごく当たり前のこと。

これ以外にもエンジにリング的には初期コスト・納期・メーカーの対応などを考えないといけません。

行き当たりばったりエンジニアリングをしていると、なし崩し的になって意識できないかも。

保全者なら痛いほど感じているメンテナンスの目線。

これは設計者ではベテランクラスでないと考えが至らない思想でしょう。

仕様の統一化・簡略化・部品の調達性などの発想です。

電気と土建が現場に詳しくなくて良い理由

電気と土建は現場に詳しくなくても良いと記載しました。

これは機械と計装の逆として考えればいいでしょう。

電気と土建はプロセスに無関係

だからこそ、電気と土建は工場現場に特有の条件があまり多くはなく、電気設備・土建設備という自部門の範囲で完結しやすいです。

もちろん現場が使うので現場とのコミュニケーションは必要ですが、役割が明確化されています。

電気と土建のエンジニアはどこに行っても似たような仕事ができて、ローテーションがしやすい環境。

逆に機械と計装は別の事業所に異動したら、最初の数か月は相当大変です。

機械と制御の比較

現場に詳しいのは、機械系なのか計装系なのかという比較をします。

機械系は現場に顔を出す頻度が徐々に下がっていく一方で、計装系は常にトラブルに対応しているから頻度は変わりません。

この辺のことをまとめて、「機械は現場を知らない、計装の方が詳しい」なんて皮肉を上司から言われたことも度々あります。

機械と制御のそれぞれのエンジニアで現場に関連しそうなことを比較してみました。

現場で知っておくべきことのうち、一部を抽出しているにすぎません。

逆に言うとここに書いたこと以外の現場で知っておくべきことは、

機械も制御もどちらも等しく知らない、という意味ですね。

項目機械制御
プロセス△△△×
工程×
現場×
計器室×
ハンドリング×
シーケンス×
材質

個々に解説します。

プロセス

プロセスについては機械の方がやや有利です。

「やや」であって、ほとんど差はありません。

大学で機械を学び、化学工場でも機械を専門にしている人でも、

入社してから化学工学を学び、化学工学を駆使した設計をちゃんと行っていれば、それなりに評価されます。

ほとんどの機械屋は化学工学の学習自体はしますが、実践する段階で止まってしまいます。

だからこそ、プロセスを知るということに敬遠しようとしがちな機械エンジニアは制御エンジニアと大差がないと考えています。

連続プラントのように反応系が割とシンプルで設備構成が複雑という場合は、プロセスを知ることもできるでしょう。

同じプロセスの現場に携わっていると、何となく身近に感じていって知る努力ができます。

設備構成がシンプルだけど。プロセスが多種多様なバッチ系化学工場ではプロセスを敬遠する機電系エンジニアだらけですね^^

まぁ、仕方ないのといえば、それまでですけど・・・。

工程

工程については機械屋の方が若干優れているという程度です。

これはP&IDを作成・チェックする立場だからという意味が強いです。

設備設計でも工程全体を俯瞰した設計が必要であることも、理由の1つ。

バッチプラントの場合は、制御は単体で組むことが多くて、設備全体を俯瞰した制御設計をすることはありません。

流量計は流量計・温度計は温度計・液面計は液面計、と単体で考えれてしまいます。

P&IDを作成する機械屋は、運転方法を知ったうえで設備や配管構成を考えるために、工程にやや明るくなります。

それでも、プロセスエンジニアや生産部に比べれば、足元にも及びませんけどね^^

現場

機械エンジニアは計装エンジニアに比べれば現場に明るいです。

これは対象範囲が広いから当然です。

現場の設備の90%以上は機械エンジニアに関連するもの。

機械エンジニアの方が計装エンジニアより詳しいのは当然です。

機械屋の担当範囲はフィールド100%計器室0%ですが、計装はフィールド50%計器室50%というように

フィールド外の担当を持っているがゆえに、現場を知る機会が少ないのは当然です。

その結果、フィールドでは機械屋から電気・制御屋へのクレームが頻発しています。

  • ポンプのモーターの真上に、電気配管を通して、モーター取り外しができない。
  • 電気配線を地面に沿わせるのはご法度なのに、平気で沿わせる。
  • 設備取り外しのために必要な空間に制御配管が通っている。担当者に連絡していても変更されない。
  • 新技術導入時に現場作業性や安全性を考えずに配線を設置する。

こんな例は一昔前なら計装エンジニアの中で自主的に修正されていますが、現在はフィールドに詳しいエンジニアが絶滅して工事会社任せになってしまっています。

計器室

計器室内は計装エンジニアが圧倒的に詳しいです。

機械エンジニアはそもそも参加すらしていないレベル。

生産部の人間よりも計装エンジニアの方が詳しいくらいです。

DCSとか盤とか生産部の人間は基本的に中身を知る機会はありませんからね。

ハンドリング

ハンドリングは機械エンジニアの方が計装エンジニアよりも詳しいです。

というより計装エンジニアがハンドリングに関わることがないからですね。

とはいえ、ハンドリングは実際に作業をする生産部の方が詳しいです。

ここまでまとめると、機械エンジニアが計装エンジニアより詳しい部分は、生産部の人間の方が詳しい部分ばかりです。

これが、化学工場の機械エンジニアとしてプライドや自尊心を保てない最大の理由だと思っています。

どの分野でも専門的でないと感じるからですよね。

現場・フィールドは目で見て分かるので、誰でも参加しやすい領域です。

実際に体を動かす現場の人間が詳しいのは仕方がありません。

だからこそ、機械エンジニアはそこで専門性を見出すために大変な努力をしないといけません。

プロセスや工程はその1つの答えです。

シーケンス

シーケンスは計装エンジニアの方が機械エンジニアより詳しいです。

これはシーケンスのプログラム自体を作成するのが計装だからでしょう。

とはいえ、生産部の人間に比べれば計装エンジニアも劣るのは当然です。

実際に使う人間の方が詳しくなりますからね。

でも、機械エンジニアが過剰におびえる必要はありません。

設備の構成や動かすうえでの注意点という、設備そのものを知っていれば

動かし方はある程度想像できます。

シーケンスが手動操作を自動操作に変換しているだけ、ということに気が付けば

少し勉強するだけである程度は使えますよ。

問題は、機械エンジニアにはシーケンスは不要と考える計装エンジニアが、その設計情報を積極的には提示しないことですね。

シーケンスは、P&IDのようにプロジェクトで関連するエンジニア全員が共通して知っておくべき情報とは違います。

機械エンジニアがシーケンスから遠ざかる理由はこの辺りにあります。

材質

材質は当然ながら機械エンジニアの方が詳しいです。

ここは生産部よりも詳しくて当然。

計装エンジニアも計器の選定上は必要になるので、ある程度は知っています。

SUS系とPTFE・ガラスライニング系というように選択肢が狭いので、

化学工場で使用する材質のうちの一部を知っているという程度ですけどね。

最後に

機械・電気・計装・土建の4部門と化学工場の現場習熟度について解説しました。

どの部門の現場の習熟度は理想に対して低い位置にあります。

機械と計装はプロセスに関連するので現場に詳しくあるべきで、電気と土建は現場に詳しくなくても何とかなります。

機械と計装それぞれで現場のどこに詳しいかという細かい分類もしてみました。

この記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

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