【知らなかったで済まされない】化学工場の設計保全で必要な消防法”20号タンク”の構造に関して

20号タンク法律

消防法”20号タンク“の要件についてまとめました。

化学工場の多くの設備が20号タンクに該当します。

設備の設計や保全で制約を受ける法的な条件です。

知らなかったでは済まされません。

20号タンクは確実に理解しましょう。

制約条件があまりにも多すぎるので、工場タンクの標準設計に取り込んでいる会社も多いでしょう。

定義

20号タンクとは危政令第9条第1項第20号に該当するタンクのことです。

「20号」「20号」とあまりにも言い過ぎているから、何のことか分からずに使っている人もいると思います。

もしくは某人造人間と間違えているか・・・。

実際の条文の第20号には実はたいしたことが書いてありません。

屋外タンク・屋内タンク・地下タンクそれぞれの構造を規定する条文にリンクを張っている形です。

メジャーな屋外タンク屋内タンクを見ていきましょう。

規制一覧

第1号保安距離
第2号保有空地
第3号標識・掲示板基礎・地盤
第4号板厚強度試験(屋内)
第5号耐震・耐風
第6号放爆構造
第7号塗装(屋内)
第8号ガスライン(屋内)
第9号液面計(屋内)
第10号注入口接地ポンプ(屋内)
第11号材質水抜管浮き屋根(屋内)
第12号配管地震吸収閉止弁(屋内)
危政令第11条第1項

いろいろな規制があります。

右端の(屋内)は屋内20号タンクにのみ適用される規制です。

この中でもエンジニアリング的に重要な項目を解説していきます。

レイアウト

20号タンクの規制でも最もチェックすべき規制がレイアウト規制です。

これはエンジニアがちゃんと見ておかないといけません。

レイアウト規制は保安距離保有空地の2つがあります。

保安距離

保安距離は20号タンクそのものではなく、20号タンクの周囲構造物への配慮したものです。

人が大勢集まる場所・文化上重要な施設・危険な設備

保安距離

これらの設備に近すぎると、20号タンク内の危険物が漏えいしたときに大きな被害が拡散される可能性があるからです。

とはいえ、この規制はかなり緩いものであることが多いでしょう。

保安距離は最大でも50m(文化財保護法)です。

コンビナート地域に設置してある化学工場では、20号タンクが工場敷地直近ではなく離れた場所に置くことでしょう。

その結果、自動的に距離が順守できている場合が多いです。

意識していないエンジニアも多いでしょう。

保有空地

保有空地20号タンクそのものに配慮した規制です。

20号タンクで火災等が起きた時に消火活動ができるように、周囲に妨げるものを置かないようにするための規制です。

保有空地

保有空地は危険物の量に応じて数段階にグレード分けされます。

指定数量で区分けされています。

製造所なら5mが多く屋外タンクなら3mが多いです。

屋外タンクは保有空地3mは指定数量500倍未満という条件が加わっています。

500倍というと1石水溶性でも100m3のタンクとなります。

このクラスのタンクは現地組みが必要で、数量は自ずと限られるでしょう。

防油堤

屋外20号タンクなら防油堤が必要です。

防油堤

タンクが仮に壊れても、タンク内の液が外部に漏れないようにするための防護壁です。

規定としては以下の要件があります。

  • 高さ500mm以上
  • タンク容量の110%以上

実際には1つのタンクで1つの防油堤を付けることは無く、2つ以上のタンクを1つの防油堤で囲うことが多いでしょう。

この場合は、別に容量計算の方法があります。

タンクの構造自体で液漏れを防ぐための規定がいくつもありつつ、仮に漏れても外部に拡散させないように防油堤を付ける、という結構な安全対策がなされているのが化学工場です。

設備構造

設備構造はいろいろな規制がありますので、個別に見ていきましょう。

機械エンジニアが押さえておくべき部分です。

設備構造1

材料

材料は以下の要素が大事です。

  • 板厚が3.2mm以上
  • 鋼鉄製
  • 塗装

板厚が3.2mm以上必要という制約は意外と大きく、3mmの板厚は使えません。

4mm以上の板厚を選ぶことになるでしょう。

鋼鉄製なのでSS400が使用可能です。もちろんSUS304などもOK。

SS400であれば外面に錆止めの塗装が必要です。

SUS304なら外面の塗装は問われません。

とはいえ底板の腐食防止はSS400でもSUS304でも考えておきたいことです。

雨水が底板隙間に溜まって腐食してしまうと、危険物が全量漏れていくので極めて危険です。

隙間に入らないようにコーキングなどでしっかりと防止しましょう。

強度

強度面では径・高さと板厚の強度計算が問われているわけではありません。

一方で、径・高さから決まるタンク形状が、地震の影響を受けることに対してケアが必要です。

結果的に標準的な径・高さの組み合わせでタンクが決まってしまうでしょう。

基礎は鉄筋コンクリート・鉄骨コンクリートなどの頑丈な構造を求められます。

鉄製の脚で支持する場合には、耐火被覆を付けましょう。

他に、放爆構造が必要となります。

通常時は問題が無くても、異常時に被害が拡散しないようにするための規制です。

爆発が水平方向ではなく上部に放出されるような構造にします。

天板の板厚だけ下げたり、溶接強度を落としたりという工夫を行います。

浮き屋根式ならこの辺が自動的にクリアされています。

検査

検査はタンクの密閉性・品質を保つために必要です。

  • 大気圧タンク・・・水張検査
  • 加圧タンク ・・・水圧検査(最大常用圧力の1.5倍)

という組み合わせはとても大事。

この他、平底のタンクなら真空検査を行います。

タンクの形状によっては放射性透過試験も行います。

大型のタンクだと水張試験だけでも大変ですし、水がもったいないですね。。。

付帯

装置付帯の規制について解説します。

配管

液抜き

タンクの液抜きに設置したいでしょう。

全量抜き出しのためには底抜きが基本です。

ところが、一般的な平底タンクで底抜きにするにはかなりハードルが高いです。

というのも地震などで底抜きノズルが折れる例があるから。

底抜きノズルが折れてしまうと、全量液漏れが起こってしまって大災害に繋がります。

だからこそ液抜きノズルは側板に付けるように規制しています。(例外はありますが)

側板に液抜きノズルがあると、タンク内を空にするためには手間がかかってしまいます。

タンクの液抜き部にはが必須です。

緊急時に遮断できるようにというのが目的です。

手動弁でいいのか?という疑問があるでしょう。

自動弁を付けて緊急遮断できるようにしたいですね。

材質的にはFC200が不可ということを知っておきましょう。

だいたいはステンレスのタンクなので、SCS13のボール弁を選ぶと思いますが・・・。

フレキ

20号タンクの液抜きラインにはフレキシブルチューブが必要です。

これは地震対策。

消防法の認定が取れたフレキシブルチューブを使わないといけません。

タンク液抜きラインに弁があっても、フレキは必要です。

というのも配管がタンクとは違う揺れ方をしたときに、タンクノズルが折れる可能性があるからです。

弁があってもノズルが折れたら元も子もありませんね。

通気管

通気管はタンクへの液の受入・払出を適切に行うために必要です。

何も考えなければ液抜き配管と同じ口径か1サイズ大きい口径のガスラインが良いでしょう。

  • 大気圧タンク・・・無弁通気管
  • 加圧タンク ・・・ブリザー弁

という使い分けをしていると良いでしょう。

接地

20号タンク関係では接地も課題になります。

法令上は注入口に対して規制があります。

静電気による着火を防止するためです。

例えばタンクは危険物の量が多いから、静電気が溜まりやすく逃げにくいので接地をした方が良いでしょう。

他にも自衛的に必要な箇所には設置を付けましょう。

液面計

20号タンクでは危険物の量を自動的に検出できる装置が必要です。

どれだけ危険物が入っているか分からないと不安ですよね。

液面計の出番です。

差圧式液面計もしくは電波式液面計が一般的でしょう。

大型のタンクならフロート式液面計を使っているタンクもあるかもしれませんね。

屋内20号タンク

屋内20号タンクは屋外20号タンクよりも記載が緩いです。

屋内にあるからという理由で製造所の一部として扱います。

屋外20号タンクにあるレイアウト関係の規制が適用されません。

耐震・耐風も直接の影響を受けることはありませんし、放爆構造もプラント架構そのものが防護壁となってくれるから適用されないのでしょう。

疑問が残る部分が多いですが、屋内20号の方が有利に働きます。

積極的に屋内20号の検討をしましょう。

最後に

消防法20号タンクに必要な要件をまとめました。

20号タンクは機械系エンジニアなら絶対に知っておきたい部分です。

これを知らないで化学工場の機械屋を名乗るのはちょっと・・・というくらい基本的な知識です。

頻繁に改造工事がある工場なら自ずと習得できるでしょうが、抜け漏れがないように体系立てて理解したいですね。

この記事が記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

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