化学工場と”照明”の関連性について機械エンジニアが知っておきたいこと 照度・明るさ・反射率・照明制御・LED

工場照明電気設計

工場の”照明“について解説します。

何気なく使っている照明。暗くなれば電気を付ければ良いというくらいに考えるでしょう。

実は電気代的には悩みの種であり、制御をかけて省エネを測る方が良いです。

かといって照明が暗すぎると、現場の運転や工事の作業でケガが起きます。

装置配管だらけでストリップ工場の真昼でも暗い場所があるのが化学工場の特徴です。

照明のイラスト「スポットライト」

照度lx

化学工場の機電系設計者・プラントエンジニアとは別に、光の明るさという一般論を知っておくことはいいと思います。

光源の中で最も普遍的で、最も明るいものは、太陽光です。

太陽光の次に一般的で、明るいものが、照明です。

明るさの定義として照度という指標が使われます。単位はlxです。

  • 太陽光:10,000~100,000 lx
  • 事務所:500~1,000 lx
  • 夜  :0.1~1 lx

夜が一番暗いのは当然ですが、太陽光が明るいという当然の事実を認識することが意外と大事です。

工場の中は暗い

化学工場ではストリップ工場が多いです。

配管改造工事が多く、換気の問題からもストリップが望ましいからですね。

壁がないため、工場の中と外の境目には太陽光が入ります。

ここは外と同じ明るさ。

でも、工場の中に入ると途端に暗くなります。

工場の暗い雰囲気をそのまま目に見える明るさとして表現しているかのように…。

工場の中には太陽光は十分に入ってこないからです。

  • プラント内外の境界部分で、太陽光が入ってくる面積が少ない
  • プラント内の配管や設備で、太陽光が遮断される。

太陽光が十分ある天気でも、プラント内は暗いので、昼間でも証明を付けることがあります。

事務所でも昼間に照明を付けるのは普通です。

事務所内での作業では1000 lx程度が要求されますので、照明は必要です。

明るさは照度と反射率

明るさの定義として、人の目に感じる明るさという定義があります。

色温度と同じ意味合いです。

明るさ = 照度 × 反射率

反射率とは、周囲の壁などからの反射です。

下の表を見てください。

60~80%
コンクリート25%
5%

白は反射率が高く、黒は反射率が低いです。

カメラで白飛びや黒つぶれが起こる時に、この概念が関連します。

光源の周りを白で囲うと、反射率が高く、明るく見えます。

逆に黒で囲うと、暗く見えます。

明るい太陽光で照らされた空の写真を撮って、白飛びするのは、

明るすぎる場所を、反射率の高い白色で反射した光と同じとみなします。

黒色はその逆です。

工場内の設備を見るとどうでしょうか?

灰色系が多いと思います。ステンレスの金属や鉄骨が代表例です。

これは一般に明るくありません。

工場内の色が反射率を下げる方向に動きます。

太陽光の透過面積が狭いこと以外に、反射率の面からも、工場内は暗く見えます。

工場内の部屋は壁が白系が多いと思います。

これは照明を少しでも少なくしつつ、健康照度を確保するためです。

“照明”の電力量の計算例

バッチ系化学工場での照明の電力量を簡単に計算しましょう。

私が担当するプラントで考えます。

例えば、幅20m×長さ50m×高さ20mのストリップ工場が多いので、これを使いましょう。

LEDの照明を1個当たり20Wとします。

幅5m×長さ5mに1個付けるのが普通です。

1つの階の高さは5m程度です。

そうすると、1つの階に付くLED照明の数は40個程度。

工場内には全部で、40×4=160個程度の照明が付きます。

ストリップ工場といいつつ、部屋があったり、特殊な場所で照明が必要であるので、余裕を持たせて200個の照明が付くと考えましょう。

20W×200個 = 4kW

4kWなら小さいように見えますが、1日単位でみるべきです。

何も考えずに1日24時間使った場合は、4×24 = 96 kWhとなります。

他の機械設備の動力はどれくらいでしょうか?

設備の中心となる攪拌機が平均10kW程度で、20基くらい設置されています。

実際に撹拌をする時間は平均で12時間程度。

10×20×12 = 2,400 kWh

プラントの機械設備で使う電力量の4%くらいが照明に使われる、という計算結果になりました。

実際には攪拌機の設置数や運転時間はもっと小さいと思いますので、

照明に使う電力量が無視可能と言えるレベルではないことが分かります。

照明制御

照明制御の方法をいくつか紹介しましょう。

制御というほどでもなく相当シンプルな話です。

手動スイッチ

照明の電力量が意外大きいころに気が付けば、それを削減しようとします。

そこで目を向けるのは、照明を24時間使い続けているということ。

明るい昼間は照明を切ればいいでしょう。と誰もが思います。

朝8時から夕方16時まで照明を切れば、1日24時間から16時間に、3分の2に照明の電力量を削減できます。

これを照明制御という面で見ましょう。

簡単なのは手動

家庭にあるスイッチと同じです。

毎日決まった時間に入り切りすることが一般的です。

たまに照明を消し忘れたり、付け忘れたりすることもあるでしょう。

この辺りが手動制御の問題点です。

真面目な人間ばかりが集まっていれば、照明の消し忘れや付け忘れをお互いに注意しあって管理します。

ところが、照明なんてどうでもいい、と思う人が集まれば、消し忘れていて付け忘れていても放っておくでしょう。

管理者が気が付いて注意したときに、運転員は対応する、という感じでしょうか。

普通の会社なら、スイッチの付け忘れ程度で、罰金や減給が発生することはありませんからね。

管理者が指導をしても、スイッチごときに注意を割く余裕がない、などと反論すれば、管理者は強くは言い返せません。

ここで、とにかくスイッチを入り切りしろと精神論をかざす管理者は失格ですね。

時間

時間のタイマー設定で照明を入り切りするパターンがあります。

これはプラント外の通路など共通部分が多いでしょう。

制御としてはシンプルで自動化ができつつ省エネにもなります。

タイマーを人が設定できるようにしておき、夏と冬で切替をする場合もあります。

周囲の明るさ

周囲の明るさに応じて照明を入り切りする方法です。

最近はこのパターンが増えてきていると思います。

手動に頼らず自動で照明を入り切りしようという発想です。

プラント内は難しいですが、外は結構簡単にできます。

プラント内は暗い部分もあり、明るい部分もあるので、照明の入り切りのセンサーをどこに設置するかで、条件が変わってしまいます。

バッチ系化学工場では1階が特に暗く、屋上は明るいです。

プラント内とプラント外の照明系統を分けて、プラント内は階ごとに手動・プラント外は自動とすることが多いです。

プラント内を自動にすると、屋上の条件で1階の照明が作動することがあります。

屋上だけをプラント外と同じ制御にするということも考えられますが、分かりにくい思想は中長期的には持ちません。

  • プラント内は手動・プラント外は自動
  • 屋上を除くプラント内は手動・屋上とプラント外は自動

こうやって見比べてみれば、どちらがシンプルか明白ですね。

LED

照明と言えば今ではLEDでしょう。

昔からあるプラントでは水銀灯が残っているかも知れません。

水銀灯とLEDでは体感的な明るさが全然違いますね。

LEDだと工場萌えが簡単にできます(笑)

蛍光灯の交換

蛍光灯は化学工場ではBMにあたる電気設備です。

蛍光灯が切れたら交換する。

家庭でもほとんど同じですよね。

電気設備としては照明は数が多く、プラント数が多いほど日常的に蛍光灯の交換が起こります。

最後に

機械系エンジニアの範囲内で照明について解説しました。

照度・反射率・明るさの関係や照明の電力計算の簡単な例を紹介します。

プラントサイズにも依りますが照明の電力がウェイトを占める場所もあります。

制御の方法も合わせて理解しておきましょう。

この記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました