液体を貯める槽・”タンク” 化学プラントでの役割を使い方別に解説【機電系エンジニア初心者向け】

タンクの役割化学工学

化学プラントでの”タンク“の役割を使い方別に解説します。

タンクは化学プラントではとても多く使います。

ありふれた設備なので一見すると気にしない人もいるかもしれませんね。

タンクの目的は液体を貯めることにあります。粉体ならホッパーやサイロという表現をします。

液体を貯めるといっても使い方が分かれますので、細かく見ていきましょう。

大量に貯めたい

タンクの目的として最初に思いつくのが、大量に液体を貯めたいというもの。

化学プラントの製造施設では大量の液体を使います。

危険物製造所では危険物を一定時間以上滞留させてはいけません。

一度危険物製造所に入れたものは外に出す必要があります。

そのために、危険物製造所の大きさはある程度限界があります。

液体の取扱量がここから決まってきます。

危険物製造所(製造施設)以外の場所に液体を貯めるためには、タンクが欠かせません。

石災法

液体と言っても原料系と廃油排水系で使い分けをします。

原料

化学プラントで液体というと原料そのものが当てはまります。

も代表的な液体でタンクで貯めることがあります。

他にもチラー水有機溶媒なども、液体原料として扱いましょう。

原料フロー

このフローのように、船やローリーなどから大量の液体をタンクに移送します。

タンクに貯めた液体を少しずつ危険物製造所に送って使用します。

これを時系列のグラフにすると以下のようになります。

原料トレンド

時間がたつにつれて液量はどんどん減少していき、空になるまでに補充をします。

このサイクルを運転中はずっと続けます。

大型のタンクになると、1つの危険物製造所だけでなく複数の危険物製造所に送ります。

それぞれの危険物製造所で使う量が変われば、生産する時期としない時期の差があって、液面の予想量は複雑になっていきます。

また、タンクの内容物を把握する手段の問題も。

差圧式液面計を使って管理しますが、これが時々刻々結構変動をします。

有機溶媒では蒸発して大気に放出されぶ分もあります。

この辺りを考えながら余裕を持った補充サイクルを組まないといけません。

廃油排水

危険物製造所から排出される廃棄物である廃油排水もタンクに貯めます。

タンクに貯めるのは、廃棄物の処理が連続的でない場合です。

廃棄フロー

連続処理ができる液体なら、タンクに貯める必要はありません。

例えば排水処理施設で処理可能な負荷が低い排水や、雨水はタンクに貯めずに排水溝で流します。

廃油排水のタンクの液面と時系列の関係をグラフにすると、以下のようになります。

廃棄トレンド

液面に少しずつ廃油排水が溜まっていき、溢れる前に廃棄します。

廃棄サイクルに応じた、タンクの容量を決定する必要がありますね。

複数化

原料系でも廃油排水系でも複数のタンクを並列設置しておきましょう。

1基だけで処理する前提のプロセスはとても「もろい」です。

というのも、タンクを点検しようとしたら空にして運転を止めないといけません。

使い続けていくうちに腐食していきますからね・・・。

例えば、100m3のタンクで毎日10m3ずつ使用する原料タンクを考えましょう。

これを20m3まで下がると60m3補充する計画です。

1つのタンクで対応しようとすると以下のようなテーブルになります。

01234567891011
液量1009080706050403020807060

これを50m3の2つのタンクに分けると以下のような対応が可能です。

01234567891011
液量A504030201040302010000
液量B0000000040404030

補充頻度が短くなりますが、運転しながらタンクを空にして点検できる時間を作れます。

もちろん両方のタンクが健全なら両方とも使用しても問題ありません。

いざ点検しようとしたときに、運転を止めずに生産を続けれるかどうかという点で複数化が効いてきます。

ちょっと貯めたい

タンクは危険物製造所の中でもいっぱい使用します。

この中で典型的な例を紹介しましょう。

分液

分液でタンクを使う例は多いです。

2台運転

反応器で水と油の2層に分かれていて、水層と油層に分けるときには貯めるタンクが必要です。

ここで使用するタンクは反応器のサイズより大きいことはないはずなので、大きさは反応器のサイズで自動的に決まってきます。

反応器の大きさが生産量で決まってきて、プラントサイズが決まるという関係から、タンクサイズも自ずと決まってきます。

基本的には廃油排水と同じ扱いで良いですが、バッチ系化学プラントの場合はバッチが終了したら空になるまで移送するon-off的な使い方もよく見かけます。

危険物製造所内で液体を常時貯めておくことはできないため、on-offもしくは連続的に処理することが求められます。

連続分液をする場合でタンクを付ける場合は、分液後の液体に追加で薬剤を入れて連続処理するような場合でしょう。

蒸留も分液と同じ発想です。

液体を分離する手段が違うというだけですね。

ガスライン

タンクの容量は反応器の容量の制約を受けるという意味で、分液と同じです。

バッファ

タンクにはバッファの機能があります。

バッファ

工程1と工程2それぞれ時系列で表示して、同じ時間帯に使用している場合があります。

ここでバッファタンクがない場合には、工程2が終了するまで工程1を運転することができません。

生産プロセスによっては特定の反応器だけ占有率が高い場合があります。

このボトルネックを解決するために、バッファタンクを設置するというケースは割と一般的に見られます。

調整

タンクでは各種調整をすることが可能です。

  • 液体の濃度を調整する(例えば濃硫酸を希硫酸に希釈する)
  • 粉体を水と混ぜてスラリーにする
  • 液体の温度を調整する(温水やチラー水)

調整用のタンクとしては撹拌機が付くことが多いので、タンクとして使う例は多くはありません。

ユーティリティの貯留タンクとして使うことが相対的に多いでしょう。

最後に

化学プラントの液体を貯めるタンクの役割を使い方別に解説しました。

大量に貯めたい場合として原料と廃油排水を取り上げました。

サイクル設定と複数化が大事です。

少量貯めたい危険物製造所内のタンクは、分液・バッファ・調整などの用途に使います。

この記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

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