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過疎地への配水はタンク車|化学プラントの配管輸送と同じ課題

過疎地給水タンク 運転
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過疎地の配水をタンク車で行う指針が、先日yahooニュースに掲載されました。

過疎地への配水はタンク車で…老朽化した水道管の維持難しく厚労省が指針(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース
人口減が続く過疎地への新たな配水手法として、厚生労働省がタンク車で運ぶ「運搬送水」の指針をとりまとめたことがわかった。運搬送水は水道管や施設の維持、改修が不要で費用が安くすむ。2029年までに全国
yahooニュース 7/29(土) 15:00配信 「過疎地への配水はタンク車で…老朽化した水道管の維持難しく厚労省が指針」

結構ショックですよね。

とうとう来たか・・・と思っている人の方多いでしょうか。

この話、化学プラントの配管輸送と同じ課題を抱えています。

本日、化学プラントの配管輸送とローリー輸送の比較の記事を作成しましたが、同じ目線で解説していきましょう。

配管のメンテナンス

過疎地への配水をタンク車に切り替える最大の理由は、水道管の維持にあるようです。

運搬送水は水道管や施設の維持、改修が不要で費用が安くすむ。

「過疎地への配水はタンク車で…老朽化した水道管の維持難しく厚労省が指針」より

化学プラントの配管と全く同じ構図です。

  • 配管輸送は人手がかからず便利
  • 設置したときは、交換のことは考えない
  • 交換するタイミングは、一気にまとめて来る
  • 交換する人手が足りない

この辺りの構図が、完全に一致しています。

化学プラントだけでもすでに大きな問題になっているのに、飲み水という誰にでも必要なインフラの問題になると、とても大きな問題になります。

配管という便利なシステムに甘えていて、何も考えていなかったツケが来ています。

逆に、社会問題になっているくらい日本のどこでも起こっている問題だから、今プラントで起きている問題に過剰に責任を感じる必要が無いとも言えます。

とはいえ、何か新しい仕組みを入れるときにメリットデメリットを考えずに、とにかくやってしまうのは後々大きな問題になりかねないので、しっかり考えたいですね。

持続可能な社会を形成するためにも大事な考え方。

少なくとも配管補修をするだけの余裕がなくなって、タンク輸送に切り替える場所は増えていくでしょう。

塩素濃度の管理

飲料水の輸送の問題は、化学プラントの輸送問題と違って、時間が1つの問題になります。

運搬送水は地中の水道管に比べて気温の影響を受けやすく、タンク車や一時的に保管する配水池で水が長期間滞留することがある

「過疎地への配水はタンク車で…老朽化した水道管の維持難しく厚労省が指針」より

プラントの配管やローリーでの輸送は、1時間や2時間程度の時間がターゲットです。

一方で、飲料水は輸送するにしても、場所によってはもっと長い時間が必要でしょう。

というより、配管輸送が問題になるような集落なので、時間が掛かるのが普通です。

その間に、水が腐ってしまうことが1つの課題になります。

水道水は塩素が入っているおかげで、常温で3日程度は保存がききます。

タンク車自身が特に夏場は気温の影響で暑くなって、保存期間がさらに短くなります。

化学プラント的には、循環を掛けて水の流れを作っているとより安心ですが、タンク車で循環ポンプを付けるのはすぐには難しいでしょう。

水の保存の話は、化学プラントよりも医薬工場や食品工場向けのような感じるかもしれませんが、化学プラントでも、実は関係します。プラントレベルなら上水を供給する施設があるからです。機電系エンジニアも決して無関係ではありませんよ。

フォロー体制

単にタンク車で輸送するとしても、輸送頻度や輸送量が課題になります。

元の記事でも多少触れています。

事故や故障を想定した代替車両の確保、積雪や凍結のリスクが少ないルート

「過疎地への配水はタンク車で…老朽化した水道管の維持難しく厚労省が指針」より

これはハード面の問題ですね。

冬場は輸送そのものができなくて詰むケースは、十分に考えられます。

こういう地域は考えることだらけです。根が深いです。

ハード対策が必要であることは変わりありませんが、輸送する人が少ないとかタンク容量が少ないと、運搬する人の問題が出てきます。

この辺りは、自動運転を期待したいところですが、輸送が困難な地域に使えるかどうか未知数。

それでも対策を加速させていかないと、タンク車での輸送すら不可能になる未来が見えてきます。

リモートで水量を把握できるシステムの導入

タンク車での輸送をするケースでは、必ずバッファタンクの問題が出ます。

タンク車の1日当たりの運搬容量 = 1日当たりの使用量

であれば、毎日1車の運搬が最低でも必要です。

この場合でも、トラブルを想定して数日は貯めれるタンクを付けないといけませんね。

水の保存期間である3日が最低でしょうか。

システムとしては、バッファタンクの設置と運転管理とメンテナンスが追加で加わることになります。

専任の管理者が配置できればいいのですが、そうもいかないでしょう。

地域での輪番制やタンク車の運転手が定期的に管理するというケースが、想定できます。

そうすると何かしらトラブルが起こってもおかしくないですね。

配水池で漏水が起きた場合に備え、リモートで水量を把握できるシステムの導入

「過疎地への配水はタンク車で…老朽化した水道管の維持難しく厚労省が指針」より

記事でも、液面計や流量計での監視は想定しています。

塩素濃度も管理することになるでしょう。

この辺りはリモートでと書いているくらいなので、そうでなければ現地の指示計だけで何とかしようとしているのでしょう。

さすがにそんなことはせずに、信号を送受信する仕組みにする、と(リモートとは少し意味が違うと思いますが)。

消費者の使用量を管理することも必要ですね。

そこまでできる人を割り当てできるのか・・・心配になります。

タンク車を輸送する人だけでも心配で、現地に着いたタンク車からバッファタンクに繋ぎこむことですら自動化して省力化しないと運用が難しい気がします。

それでも、「人が運用でカバー」で乗り切ろうとするのでしょうね。

タンク輸送は待ったなし

飲料水の配管輸送は、実は今に始まったことではありません。

給水管などの水漏れは、結構起こっています。

埋設配管だからチェックが遅れていきますね。

街中ならまだ補修が可能でも、郊外になるとどうしても時間が掛かります。

これがもう限界に来たということですね。

タンク輸送はもう避けられないところまで問題化してしまった証。

これからも、もっといろいろな問題が出てくるでしょう。

参考

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最後に

過疎地への配水はタンク車でというyahooニュースを見た感想です。

化学プラントの配管輸送とローリー輸送の関係と似ている部分が多いです。

利便性を重視した配管システムを作っても、長い間にメンテナンスを考えずに放置したツケが回ってきています。

やはり長期的なメンテナンスはとても大事です。

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