【受入・反応・払出】バッチ系化学工場の反応器内の工程

撹拌化学工学

NEONEEETです。

この記事は、化学工場に興味がある人を対象にしています。

この記事を読むと、バッチ系化学工場の反応器内の工程について知ることができます。

バッチ系化学工場では反応器単位で考える

化学工場の中でもファイン系製品はバッチ系プラントで生産します。

その生産設備は反応器と呼ばれる装置単位で考えます。

反応器とは下記のような図です。

バッチ系の装置構成の特徴についてこちらの記事も参考にしてください。

今回は、1つの反応器で特徴的な工程を紹介します。

バッチ系反応器で行う工程

窒素置換

化学工場では有機薬液を扱うのが普通です。

消防法危険物の4類がほとんどです。

引火性物質であり酸素と混じって爆発性雰囲気を形成します。

ここに静電気が発生すると、

あっという間に

ぼかーん

です。

これを防ぐための最大の対策が窒素置換

酸素を排除して、爆発性雰囲気を形成しないための手順が、真っ先に行われます、

「普通は」です。

完全に水系の反応で、窒素置換が必要でない場合は、当てはまりません。

先に水を張ってから、窒素置換をするという工程も考えられます。

窒素使用量を削減できますからね ^ ^

窒素置換は30分くらいが普通です。

原料受入

系内の酸素を追い出すと、原料を受け入れます。

一般には溶媒でしょう。

反応物がAとBという2つの場合、どちらか片方を全量先に受け入れることが多いです。

アルカリが先・酸が後になることが多いでしょう。

これは、普通にポンプで送り込むだけです。

受入量とポンプ流量に依存しますが、1時間程度が普通です。

冷却

工程にも依存しますが、このあたりで温度調整に入ります。

今回は冷却を例にします。

反応によって膨大な反応熱が発生するために、あらかじめ冷やしておくという発想です。

このケース以外にも条件は様々。

反応熱で一定の温度まで上げて、反応制御温度に到達してから冷却

むしろ加熱し続けて反応させる。

冷却なら冷却水やブラインで、加熱なら温水やスチームを使います。

冷却なら30分程度、加熱なら長くて1時間程度の時間がかかります。

反応物滴下

いよいよ反応工程に入ります。

反応までの準備が意外と多いですよね。

反応として反応熱が発生する場合を考えます。

この場合、反応物はゆっくり仕込みをします。

「滴下」と呼んだりします。

長い工程では10時間以上かかる場合もあります。

単位モル当たりの反応熱が大きくてどうしようもないため、

時間を延ばして冷却能力が活用に設計します。

近年の反応は、この滴下時間が長い傾向にあります。

危ない反応にシフトしていかないといけないので、当然ですよね。

この間、反応の温度が一定になるように、温度調整をかけ続けます。

熟成

反応物を全量滴下したら、終わり!

というわけにはいきません。

「熟成」という待ち時間が必要です。

反応物を投入した瞬間に反応が完結するわけではありません。

反応には時間がかかります。

これを待つための時間が熟成です。

10時間の滴下で、平均2時間で反応が完結する場合、

10時間の滴下完了後に80%の反応物が完結していて、残り20%は後の2時間内で反応を完結させる。

こういうイメージです。

当然ながら、温度調整はかけ続けます。

サンプリング

反応が完結したことを確認するために、分析をします。

分析のためには、普通はサンプリングをしないといけません。

  • タンク上部のノズルを開放してサンプリング
  • 専用のサンプリング装置を使ってサンプリング

近年は当然ながら専用の装置を使うケースが増えています。

作業者への有害物質の暴露防止という衛生面の対策が必要だからです。

サンプリング箱と局所除害装置は最低限の対策です。

これはオープン系になるから好ましくありません。

理想はクローズド形でのサンプリングです。

分析装置にも寄りますが、ガスクロや液クロで1時間程度分析を掛けることが多いです。

冷却

反応が完結して、分析が合格すると、次の反応器に輸送します。

加熱している状態では、反応が過剰に進む恐れもあり、

冷却することで反応を完結させるという考えをすることもあります。

普通は反応完結剤を投入するでしょうけど ^ ^

冷却はだいたい30分~1時間くらいです。

分液

反応で油層と水層ができる場合は、分液をするのが普通。

油層もしくは水層のどちらかが、次の工程で使う目的物で、残りは廃棄物

これを分けるために分液をします。

バッチ系化学工場では手動分液が多いです。

反応器の下にガラスを付けておき、ポンプで送液するときに界面を監視する方法です。

補助計器として導電率計や密度計を使ったり、時間を測ったりもします。

ポンプの能力でほぼ決まりますが、実際の分液操作自体は10分~20分程度です。

界面が来るその瞬間を狙うだけですので。

窒素通気

ポンプで液を送る場合、配管内に確実に液が溜まります。

これを取り除くために、配管内に窒素を通すことが多いです。

窒素の力を使って液体を押し出すイメージです。

ブローと呼ぶこともあるでしょう。

安定性がよくなかったり、固化したりするプロセス液は

配管内に貯めてしまうといつ問題が起こるか分からないので、窒素で全量送り込みます。

配管内に貯めこむプロセスもありますが、徐々に少なくなっています。

油層と水層を分けて送る場合は、それぞれに1回ずつ窒素通気します。

洗浄

プロセス液を送り終わったら、洗浄します。

洗浄液はプロセスで使う溶媒が普通です。

数100Lのオーダーで液を反応器に入れて、ポンプで払い出します

装置内の洗浄というよりは、ラインの洗浄が主目的です。

ラインが詰まってしまったら、生産できませんからね ^ ^

最後に

バッチ系化学工場での反応器の使い方を一巡してみました。

簡単そうに見えて、工程は非常に多いです。

これを24時間で回しながら、複数の反応器を動かし続ける

それがバッチ系化学工場の運転です。

この記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

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