バッチ系化学工場でのヘッダーの使い方を解説 ポンプ・タンク・流量計・分岐/ヘッダー設計の工夫

ヘッダの使い方配管

バッチ系化学工場でよく見かけるヘッダーの使い方について紹介します。

配管ヘッダーは「複数の配管を集合させたもの」です。

ヘッダー

この配管ヘッダーの数だけ配管が張り巡らされていると考えて良いくらいです。

単に配管を並べているだけでしょ?と思うかもしれませんが、

部位によって機能は分かれます。

ヘッダーを使う場所

ヘッダーは化学工場では様々な場所で使用します。

場所ごとにわけて解説します。

ポンプヘッダー

ポンプヘッダーはポンプ出口のヘッダーのことです。

ポンプヘッダー

バッチ系化学工場ではポンプヘッダーがあっても1つの配管しか使わないことが多いです。

連続工場などでは複数の配管に同時に送ることもあるでしょう。

  • 同じポンプを使って油層と水層を分けて送る
  • サンプリングのために循環をした後、別の場所に液を移送する
  • スラリー濃度・温度・液組成などを均一にするために循環しながら、別の場所に液を移送する

こんな使い方が一般的でしょう。

いずれのケースも、1日に数回の頻度で使用先を切り替えます。

だからこそ、ヘッダーのバルブは手動弁ではなくon-offの自動弁が多いですよね。

人が1日に数回の頻度で現地に行ってバルブ操作をするのは、積み重ねると大変ですからね^^

バッチ系化学工場では5個以上の配管が集合したヘッダーをよく見かけます。

1回の生産でこの配管をすべて使っているわけではありません。

使い方自体は上で述べた方法が基本であり、1回の生産では2~3本しか使いません。

残りの配管は別の生産のために使います。

切替生産が多いバッチ系化学工場ならではの考え方ですね。

タンクヘッダー

タンクヘッダーはタンクの上部に付いたヘッダーです。

タンクヘッダー

タンクには複数の場所から液を受け入れるケースが考えられます。

タンクに1つ1つノズルを付けていると、ノズルがいくつあっても足りません。

そのためにヘッダー化します。

複数の配管から同時に液を受け入れることはありません。

液が逆流してしまう可能性があるからですね。

  • 屋外タンクのように複数の場所から不定期に受け入れる
  • 1日の特定のタイミングで特定の場所から液を受け入れる

バッチ系化学工場では特に後者のケースが多いです。

前者のケースは排水廃油タンクなどに限定されるでしょう。その意味で、屋外タンクと同じ扱いです。

バッチ系化学工場のヘッダーでは液の受け入れもいくつかのパターンがあります。

  • 別のタンクからポンプで受け入れる
  • 別のタンクから自然流下で受け入れる
  • 同じタンクで還流を掛けて液を受け入れる
  • 同じタンクで液をポンプで循環させて受け入れる

それぞれを同じヘッダーにする場合は、on-off自動弁が必要です。

流量計ヘッダー

流量計ヘッダーは1つの流量計の出口をヘッダー化したものです。

流量計ヘッダー

1つのタンクからポンプで液を送る時に、流量計で一定量を送る場合に使います。

水や有機溶媒などユーティリティ的な要因に使います。

ある液を1日に複数の場所に送る場合に、流量計を共通化します。

工場の中でもこういうヘッダーは専用の場所を作ることが多いです。

逆にプラント設計でこの場所を疎かにしていると、中長期的に大きな問題になります。

  • 蒸気
  • 窒素
  • エアー
  • 有機溶媒

これらのユーティリティを工場のどこから引き込んで、どうやって分配するかということを考えるのは、プラント建設段階しかありません。

後で足そうとしても適切な場所が無くて、変な場所に強引にヘッダーを付けないといけなくなります。

分岐ヘッダー

分岐ヘッダーは配管の道中に付ける場合があります。

分岐ヘッダー

これは高所の配管を枝分けする場合に使います。

長距離の配管で稀に使います。

バッチ系化学工場では、長距離の配管がほとんどないから意識する機会はあまりないでしょう。

高所にヘッダーを付けると、バルブ作業をするのが大変だから床面に降ろしてくる。

というパターンが多いです。

連続プラントならもうちょっと事情は違うと思いますが・・・。

ヘッダーと接続配管のレイアウトに関する工夫

ヘッダーと接続配管のレイアウトについて解説します。

配管設計の中でもかなりマニアックな部類です。

ここまでチェックできていれば、ユーザーエンジニアとしてはかなり上級です。

配管設計はそれぞれの工場でそれぞれの思想があります。

この条件で、配管図や配管レイアウトの検討時にどんなことを考えているか、紹介します。

何度も言いますが、マニアックな内容ですよ^^

ヘッダーのP&ID

今回想定するヘッダーのP&IDを紹介します。

PID

P&IDといってもラインスペックもなければ、行先もないので、単なるイメージとして考えてください。

高所にある一本の配管が複数の行先に分かれるために、低所でヘッダーを組んでいる

こんなイメージです。

バッチ系化学工場ではこんな風に行先が増えたり減ったりとするケースは多いです。

1プラント内でも配管スタンドの近くにヘッダーを持たせますが、プラント通しを接続する場合でもヘッダーが多いです。

1プラントで原料から製品まで完結することなく、中間体まで作って別のプラントで完成まで作るというケースがあるからですね^^

工場の規模が大きいほど、生産工程の選択肢が増えるので、ヘッダーも増えていく傾向にあります。

ヘッダーの配管レイアウト

上の例のP&IDを配管図に落とし込んだ場合を考えましょう。

配管図

こちらもラインスペックや方位やレベルを書いていないので、「配管図」とは言い難いですね^^

それでも配管形状だけで考えることはいくつもあります。

いったん下げる

1つ目の注意点は、配管をいったん下げるということ。

これを守っていない工場は結構あります。その場合は「水平曲げ」という形になります。

いったん下げる理由はただ1つ。将来の拡張余地を持たせること。

配管スタンド上には多くの配管を並べます。

ここである配管で水平曲げをしてしまうと、周囲の配管は水平曲げに干渉してしまいます。

水平曲げの配管を避けるために、高さを変更せざるを得ず、液たまり・ガスたまりの要因になります。

そんな可能性がある以上、いったん下げるというのはリーズナブル。

水平曲げが許されるのは、「曲がる場所が配管スタンドの末端で、それ以上配管を延長する可能性が全くない場合」に限られると思います。

そもそも、増改築の余地がないような、シンプルなプラントであれば水平曲げもOKですよ。

増改築が多いバッチプラントならではの思考かも知れませんね。

左は左・右は右

ヘッダーの左側にある配管群は左のルートを、右側にある配管群は右のルートを通すようにします。

配管ヘッダーの並びが、行先に依存する可能性ということです。

配管ヘッダーの並びは、プロセスの用途(ライン洗浄など)で決まりそうなものですが、

行先にも影響します。

逆に、左にある配管群を右のルート、右にある配管群を左のルートを通す場合、

配管群が交差するように曲げないといけません。

エルボの数が増えるわけでなく、DBが増えるわけではありませんが、

そもそも配管距離が伸びますし、配管スタンド上への立ち上がり位置も統一感が無くなっていきます。

配管距離を最小化して工事物量を下げる効果が最大の目的ですね。

高さは余裕を持って

ヘッダーの高さは余裕を持たないといけません。

ヘッダーバルブのハンドル操作。液抜きバルブのハンドル操作やバケツの設置高さ

この辺は、人間工学的におよそ決まっていて、各社で基準化されているでしょう。

レデューサーはヘッダーバルブの2次側

レデューサーはヘッダーの2次側に配置します。

例えばヘッダーが50Aでヘッダーから先の配管が40Aの場合は、50A/40Aのレデューサが必要です。

これは、ヘッダーバルブの2次側に設置します。

ヘッダーは50Aの同径チーズで構成して、50A/40 Aの異径チーズは使わないという意味です。

これもバッチ系化学工場ならではでしょうか。

ヘッダーの拡張をする可能性があるからです。

ヘッダーの末端を盲フランジにして追加するケースもありますが、これは内溶液によります。

溜まりを少なくするためにも、ヘッダー末端をエルボで完結させる場合があります。

こんな場合でも、どこかのタイミングでヘッダーを拡張させようとする場合があり、

既存のヘッダーバルブの2次側で改造せざるを得ません

そこで50Aの配管が必要になることもあります。

ヘッダーで異径チーズを使ってしまっていた場合、ヘッダーそのものを改造しないといけません。

ヘッダーを長期間使わない場合は問題ありませんが、得てして1日だけとか数時間だけとかしか工事時間を取れない場合ばかり。

ヘッダーのどこかの配管は使うというニーズがあるからですね、

こんな時のために、ヘッダーは改造しなくてもヘッダーバルブの2次側で自由度を持って改造できるようにしておきたいです。

最後に

バッチ系化学工場のヘッダーの使い方について紹介しました。

タンク・ポンプ・流量計・分岐の4つに分類します。

ヘッダーのレイアウトや左右・高さやレデューサなど細かい設計は可能です。

この記事が記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました