減圧系の”大気脚”の原理と設計上の注意点 スチームエゼクターやバロメトリックコンデンサーとの接続

減圧大気脚化学機械

大気脚“について解説します。

スチームエゼクタなど減圧系のラインで必要になってきます。

物理的に単純な構造のはずですが、多少考えることがあるので見落としなく考えたいです。

昔からある設備だから「既存コピーで」とならないように・・・。

“大気脚”の原理

大気脚の原理はとてもシンプルです。

水シールを減圧時にも適切に作動させるための装置です。

減圧時でも大気の代わりとなる脚というくらいの意味でしょうか。。。

水シールはラインの末端を水タンク中にディップさせておき、末端が直接大気に開放されていない構造です。

大気脚

減圧下のラインに空気が漏れ込まないように、水でシールをするのが大気脚の主目的です。

設計上は圧力と液ヘッドの関係で決まります。

大気脚基本原理

上の式の関係を、数式で表せば

$$ P_0-P_1=ρgh_1 $$

となります。

シール液は一般に水なので、P0は101.3kPaA・P1は最低でも0kPaAであること考えると、h1は最大でも10mです。

(101.3-0)×1000/1000/9.8≒10

という計算です。

シール液の密度は1より微妙に高い時もあるでしょう。この場合は、10mより低い結果となります。

“大気脚”の寸法

大気脚は10m以上の配管高さをとれば基本的には作動します。

真空系のガスラインが10m以上の高さにある、つまり熱交換器が屋上に付けられる理由の1つには、こういう背景があります。

大気脚の寸法設計上は以下のファクターが必要です。

大気脚寸法

文章で表現すると、減圧時に大気脚に持ち上がられる液量を考慮しても水シールが切れないディップ深さです。

とりあえず「水に浸かっていればいい」というわけではありません。

当たり前と言えば当たり前ですが、見落としがちです。

常圧時のディップ深さをh0としたときに、大気脚の寸法として以下の条件が必要です。

$$ \frac{π}{4}{d_0}^2h_0=\frac{π}{4}{d_1}^2h_1 $$

d1はプロセスの要求によって変わってきます。

大気脚をセットするタンクの寸法に対して、d0とh0という形で影響を与えます。

タンクの寸法を大きくとれない場合には、特に細かな設計をしましょう。

タンク内の液面のオーバーフローも関係するので、単純というほど単純ではありません。

使用例

大気脚の使用例を見ていきましょう。

1段スチームエゼクタ

減圧系でしか使いませんが、バリエーションがいくつかあります。

スチームエゼクタに対して使います。

1段エゼクター

こんな風に、スチームエゼクタの出口を大気脚に接続します。

スチームエゼクターの出口で完全に液体状態になっているわけではなく、気体と液体がまじりあった状態です。

大気脚のパイプ径が小さいと圧力損失が発生します。

これは所定の減圧度を確保できないことを意味しますので、パイプ径d1の設計がここで決まります。

真空系と大気圧系を接続するという意味ではこれで正しいのですが、この通りの使い方をしている例は少ないと思います。

例えば以下のような例が多いでしょう。

スチームエゼクタの前後でミスト分離をするという発想です。

2段スチームエゼクタ

スチームエゼクタは1段で使うことは少なく、2段以上を直列につないで使うことが多いです。

1弾では真空度に限界があるからです。

2段エゼクター

スチームエゼクタを通すガスはできるだけ液体分が少ない方が望ましいです。

単純に無駄な体積があるというだけでなく、スチームの熱量で液体分が再蒸発する可能性もあります。

あっていいことはないので、除去しましょう。

特に1段目スチームエゼクタの手前はプロセス条件によるので、想定がしにくいでしょう。

大気脚はほぼ必須と考えた方が健全です。

大気脚をとるときはガスラインの下からとりましょう。ガスは上・液は下の基本通り。

2段目のスチームエゼクタの手前にある装置は、ミストセパレータ(気液分離器)と呼んでいます。

中身は大したことのない、径が大きいパイプです。

スチーム量が多い場合などには、コンデンサーを付けてガスの冷却凝縮をさせます。

スチームも水として凝縮するので、次のコンデンサーに水分を持ち込まないためにも大気脚を付けます。

バロメトリックコンデンサー

コンデンサーとしては多管式熱交換器のほかに、バロメトリックコンデンサーというタイプを使うことがあります。

バロコン

多管式熱交換器が隔壁式の熱交換機であるのに対して、バロメトリックコンデンサーは直接接触式の熱交換器です。

熱交換の効率はバロメトリックコンデンサーの方が当然上です。

スチームエゼクタと同じでプロセス液内に冷却液を混ぜても問題ない系統なので、水を直接接触させます。

そもそも多感式熱交換器のような隔壁式は、プロセスとユーティリティを混ぜたくないという根本的な問題があるからです。

この場合は、バロメトリックコンデンサーが気液分離器とほぼ同じような機能を持ちます。

バロメトリックコンデンサーと気液分離器を別にセットしてももちろん大丈夫です。

バロメトリックコンデンサーに注入する水は、大気脚の水をそのまま循環させる形で使うと良いでしょう。

スチームやプロセスガスの潜熱・顕熱・溶解熱・希釈熱やポンプ動力などの影響で、循環液の温度は温まっていきます。例えば危険なガスを水で吸収させる効果も狙っていた場合、水温が高くなると吸収ガス量が下がって、大気に拡散します。このように大気脚タンクでの性能に影響してくるから、循環ライン中に冷却熱交換器を付けて冷却させましょう。プロセス条件が変わっても対応できるように、冷却熱交換器は少し大きめにしておくと良いでしょう。

大気脚タンクに水を張り込んで、循環させた場合には循環ライン分の体積だけタンク液面が下がります。

  • 液面が下がっても大気脚がディップする深さに設定
  • 液面が下がったら、液を補充する制御

のどちらかが必要になります。

最後に

減圧ラインの大気脚について解説しました。

水シールが減圧でも使えるようにするというシンプルな原理です。

スチームエゼクタなどに使用します。

エゼクタの段数やバロメトリックコンデンサーなど組み合わせによって考えることも少しずつ増えていきます。

原理をちゃんと理解して使えるようにしたいですね。

この記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

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