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気密・水圧・水張の検査の違いが理解できる|タンク・熱交換器

漏れと変形 工事
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製作検査としての気密検査・水圧検査・水張検査(inspection)で分かることを整理します。

タンクや熱交換器などの検査として、一般的に採用されています。

製作メーカーさんは真剣に考えてくれますが、ユーザーの中にはあまり意識しないで「なんとなく」検査するものだと思っている人が居ます。

それぞれ何のために行う検査なのか意識しましょう。

時にはこの考え方を上手く使って対処が求められる時もあるでしょう。

気密検査(inspection)

気密検査は気体をつかって装置の密閉性を確認する検査です。

装置に圧縮空気などの気体を入れます。

気密(inspection)

気密検査は漏れの検査が目的ですので、溶接線やフランジ面などを対象とします。

検査対象部分に石鹸水を付けて、発砲するかどうかを目視確認します。

溶接の欠陥だけの検査であれば、カラーチェックも有効な手段です。

化学プラントのような危険な物を扱う場所では、装置から漏れがあることはとにかく危険です。

気体と液体を比べると、気体の方が漏れやすいので(密度が小さい)、検査は気体を使います。

一般には圧縮空気を使います。高い圧力が必要な場合には窒素を使う場合もあるでしょう。

検査の圧力は設計圧力から少し高い圧力(例えば1.1倍)で実施します。

というのも、高い圧力で気密試験を行うのは危険

万が一漏れが起こったり破裂したときには、近くにいる人が大けがをしたり周囲の建物などが損傷したりします。

検査自体は危険だけども、この検査をクリアしない設備を使うことも危険。

という位置づけで気密検査をしていることは理解しておきたいことです。

  • 気体に圧力を張った後、一定時間放置して圧力が落ちない
  • 石鹸水などで溶接線やフランジ面からリークがない
  • リーク音など明らかな異常がない

これらの手段で気密性を確認します。

水圧検査(inspection)

水圧検査は水を使って装置の強度を確認する検査です。

変形が無いことを確認して強度があると判断します。

水圧(inspection)

装置内に水を張って、水圧ポンプなどで昇圧をします。

この状態で一定時間放置して、明らかな変形が無いか確認します。

検査の圧力は設計圧力よりも気密試験圧力よりも高い圧力(例えば1.25倍や1.5倍)で実施します。

高い圧力が欲しいので危険な気体は使わない、という考え方です。

強度は製作前に適切に設計して強度計算をしているので、一般には問題にならないと考えれます。

とはいえ製作段階で、設計された通りの板厚で製作されているかどうかユーザーは分かりませんし、製作形状に問題があるかどうかも分かりません。

これらの要因で、強度が担保されていないと使用段階でトラブルを起こします。

水張検査(屋外タンク)

水圧検査の代わりに水張検査があります。

これは屋外タンクなどの、圧力は高くないけど漏れては困る設備に対する検査です。

検査という意味では少し特殊ですが、汎用的に行います。

水張(inspection)

言葉通りタンク内に水を張ります。

これで分かることは、水圧検査と同じ変形がないこと。

屋外タンクなら水よりも密度が小さいものが多いので、水で検査することで安全側となります。

水よりも密度が大きい液体(硫酸など)を扱う場合は、個別に考えないといけないでしょう。

タンクとしては漏れに関する検査も必要ですが、この検査は難しいです。

最低でも底から漏れてないことは確認したいので、底板真空検査という方法を使います。

底板の溶接線に専用の器具をセットして真空状態にすることで、溶接線経由で外側から空気が漏れてくると発砲するという仕組みです。

側面の溶接線も気密性の検査をしたいところですが、一般にはカラーチェックで終わることが多いでしょう。

屋外タンクで気密検査をしようとしても、使用圧力が低すぎるので気密圧力が低くて検査としては正常に行えません。

例えば気密を張った後、30分放置して圧力変化を確認するとしても、外気の温度変化で圧力が変わるという影響を受けます。

複数検査(熱交換器)

少し特殊な例として、多管式熱交換器の検査を紹介します。

気密検査を2回に分けて検査する例です。

多管式熱交換器はシェルとチューブの大きな2つの部品から成り立っていると考えましょう。

この気密性を確認しようとすると、以下のような2分割の方法になります。

シェル側の検査を行う場合は、シェルカバーを外した状態で行います。

シェル側

シェルカバーを外しているので、シェル側に気密を張るとチューブシート側から確認が可能です。

チューブとチューブシートの溶接線に、石鹸水を掛けて漏れがないことを確認します。

チューブがシームレスで漏れが無いことを前提とした検査なので、溶接したチューブである場合は取付前に検査をしておきましょう。

シェルのノズルにも石鹸水を掛けます。こちらはタンクと同じ。

圧力計の降下を確認することも同じです。

シェル側の気密検査をすることでチューブには外圧が掛かっているので、チューブとしてはチューブ側の気密検査よりも厳しい条件で強度の検査ができることになります。チューブの強度に不安がある場合には、シェル側の気密検査をするよりも前という意味で製作前のチューブ検査を検討しましょう。

チューブ側の気密を確認するにはシェルカバーをセットした状態で行います。

チューブ側

チューブ内面に気密を張って、シェルカバーとチューブの気密性を確認します。

シェルカバー自体はタンクやシェルと同じ考えで検査ができます。

チューブからの漏れは、シェルのノズルを使って検出します。(例えば、シェルノズルに薄い紙を貼って穴を開けて空気が抜けてこないか、など)

チューブ側の検査ではシェルカバーとチューブシートの気密性も確認できます。チューブ側の検査を先に行ってシェル側の検査をすると、せっかく確認したシェルカバーとチューブシートの健全性を確認できなくなります(ガスケットが壊れる)。この場合は、試験用のガスケットと管制用のガスケットの2枚を準備するなど計画しましょう。

参考

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さらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

最後に

タンクや熱交換菌検査で行う気密検査・水圧検査・水張検査について解説しました。

気密は漏れ、水圧は変形の確認をします。

屋外タンクなど強度が弱い場合は水張検査を、熱交換器では複数回の気密検査をするなど工夫があります。

気密検査は危ないという認識は是非とも持っておいて下さい。

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