【ざっくり計算】現場で役立つ”配管口径”と”流量”の概算 標準流速2パターンで広がる配管設計の考え方

標準流速配管

現場で役立つ”配管口径”と”流量”の概算を解説します。

エンジニアが現場でいきなり相談を持ち掛けられることは、とても多いです。

何の気なしに現場に行ったら、「ちょうど良かった!」って相談がいきなり始まったりします。

化学l工場の運転でのトラブルは「物が流れない」ということが多く、ポンプが原因となりやすいです。

ちゃんと設計されたプラントなら問題なくても、昔のプラントなど意外と雑な場所もあります。

そんな思想がないプラントのトラブルに出会ったときに、その場で即答できるようになれば信頼感は一気に上がります。

配管口径と流量の関係、さらにポンプ流量との関係を知っていれば、この即答が可能となります。

“配管口径”と”流量”の概算計算

配管口径と流量の概算計算方法を紹介します。

バッチ系化学工場では超重要な概念で、暗記して使える内容を含みます。

機械設計を10年近く担当していても、この考え方に関連するトラブルに即対応できないエンジニアは存在します。

強調してもし過ぎることはないくらいなので、色々なアプローチで解説したいと思います。

出しっぱなしの水道のイラスト

標準流速

バッチ系化学工場では標準流速の考え方がとても大事です。

標準化・モジュール化はこれからのバッチ系化学工場のトレンドとなるでしょう。

  • 複数の生産ラインで同じ設備を使う
  • ここの生産ラインで使用条件(流量・圧力・温度)が違う

個別最適化ができる連続プラントと違って複数のパターンに適応しないといけないのが、バッチ系化学工場の大事なところ。

ポンプ周りの口径を決めるためには、標準流速の考え方が大活躍します。

液体では1~2m/s程度で考えます。

ガスラインの口径も標準流速の考え方でほぼ決まります。

標準流速の考え方だけでバッチ系化学工場の8~9割の口径を選定することすら可能です。

標準流速
  • 液体 1~2m/s
  • ガス 10m/s
  • 蒸気 20~30m/s

口径×流速=流量

口径と流速から流量を計算する方法を紹介します。

といっても、とても簡単な計算式です。

$$Q=\frac{π}{4}Av^2$$

この式を使うだけです。

パラメータが2つあって、現場で即決するには使いにくいので、流速を固定化します。

これが標準流速の考え方。

いくつかの標準的な数値を暗記します。2つで十分です。

口径と流量の基本
  • 40Aで110L/min
  • 50Aで170L/min

これだけあれば十分です。

後は少しの暗算で応用可能です。

  • 25A  → 50Aの1/4倍 → 約40L/min
  • 80A  → 40Aの4倍  → 約440L/min
  • 100A → 50Aの4倍  → 約680L/min

標準流速さえ決めておけば、流量は口径の2乗に比例するという関係が活きてきます。

たった2つの数字を現場レベルで使えるようになると応用が広がっていきます。

標準流量の例

上で紹介した例をもとに計算した結果をまとめておきましょう。

口径液体ガス蒸気
1.5m/s10m/s30m/s
25A403001,200
40A1107502,250
50A1701,2003,600
80A4403,0009,000
100A6804,80014,400

流量で問題になるのはほぼ液体で、主要な40~50Aで8割程度は解決してしまいます。

ガスや蒸気も同じ考え方で設計は可能ですが、標準流量を意識した関係計算を頻度は多くないと思います。

それよりはP&IDや機器設計段階でもう少し真面目な計算を行っているでしょう。

バッチ系化学工場でのトラブル例

バッチ系化学工場の現場で起こる問題の5割以上はポンプです。

ポンプで液が送れないという問題は特に試生産で発生します。

ポンプ設計の基本的で簡単な部分を疎かにしていると起こりやすいでしょう。

例えばこんな例が、普通にユーザーの設計現場では起こりえます。

10L/min の流量を100L/minのポンプで40Aの口径で送りたい

ニーズとしては分かります。

でもポンプの知識が少しあれば、ミニマムフローを確保できるか疑問になるはずです。

普通の100L/minのポンプではミニマムフローは20~30L/min程度でしょうか。

10L/minという小流量を送ることはできません。

この場合、循環をしながら少しずつ送るという方法を取ります。

これも要注意。

100L/minのポンプで以下の条件で運転することになります。

  • 循環90/min ??A
  • 送液10L/min 40A

もともと100L/minのポンプで液を送るラインの口径は、標準流速の考えから40Aで設計されます。

ここを10L/minで送ろうとした場合、圧力損失がほとんど発生しません

100L/minのポンプなら10L/min以外の90L/minを循環ラインで流してあげると考えないといけません。

ここで循環ラインと送液ラインの圧力損失バランスが問題になります。

現実的には手動バルブで調整を迫られますが、結構限界があります。

かといって、自動調整弁を付けてもCV値が高すぎて制御できません。

こんな場合は、インペラカットや制限オリフィスに頼ることになります。

単純に1つの製品ラインに適応する設計ができないところが、バッチ系化学工場の難しいところですね^^

この例では、1つのポンプで循環ラインと送液ラインの2か所に同時に送るケースを考えています。100L/minのポンプで送液ラインが10L/minだからと言って、循環ラインが90L/min流れるかどうかは、ポンプ性能曲線と配管圧力曲線の関係が第一にあります。とはいえ、現場の運転レベルで即興で対策を練るという状況では、そんな細かい計算をする意味はほとんどなく、この例のように単純な足し算引き算と、ポンプ能力・配管口径・標準流量から検討するだけで精いっぱいになるでしょう。

もう少し詳細に学習したい場合は・・・

このざっくり計算は実務上非常に有用です。

もう少し細かく知りたいけど、計算ソフトを導入するまででもないという場合は以下の書籍が役に立ちます。

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計算上は細かな配管形状の設定と圧損計算を使っています。

計算して得られた結果の正誤性を確認するためには、原理原則である基礎式に立ち返るでしょう。

この基礎式が、まさに今回のざっくり計算です。

最後に

現場で役立つ配管口径と流量の概算を解説しました。

標準流速・口径と流速から流量を計算する・必要流量とポンプ流量を調べる

40Aで110L/min、50Aで170L/minという2つの数字を覚えるだけで応用が広がります。

この記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

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