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プロジェクト予算における労務費の考え方:オーナーズエンジニア視点から

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労務費 見積
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 プロジェクトの予算見積をする際には、設備費や工事費という目立ちやすいもの以外にも様々な費用を含めます。そのうちの1つである労務費は、プラントエンジニアリング会社に依頼する場合には、エンジニアリングフィーという項目で算出されます。
 ところが、オーナーズエンジニアリングの場合は、内部工数で処理されるためエンジニアリングに掛かる費用を算出しない会社もあることでしょう。私のところもそうです。 

 オーナーズエンジニアだとなかなか考えない労務費について、今記事では考えます。

エンジニアリングフィーはエンジニアの工数

 エンジニアリングフィーはエンジニア自身の工数と考えます。例えばプラントエンジニアリングの費用は、すごく大きく分けると設備費工事費の2つに分けられます。ここに多少の予備費を加えたものが、プロジェクトの費用とするのがオーナーズエンジニアでの投資見積となります。

 プラントエンジニアリング会社にプロジェクトを依頼すると、エンジニアリングフィーという項目で費用が加わります。その考え方は会社によって変わりますが、簡潔に言うと労務費です。これは設計者(エンジニア)の工数そのものと考えると分かりやすいです。

労務費

 このケースでは、設備工事も外部に委託するが、設備と工事を繋ぐ設計の部分だけを自社で行います。設備や工事を自社で行うという場合には、その作業費は労務費として外だしすることも可能でしょう(そういう会社がどれくらいあるか私は分かりません)。

オーナーズエンジニアの工数

 プラントエンジニアリング会社のエンジニアリングフィーに相当するものは、オーナーズエンジニアリングでは何に該当するでしょうか?エンジニアリングフィーは労務費と考えると、オーナーズエンジニアリングの場合でも、自社の作業工数が相当するはずです。

 さて、この作業工数ですが実際に適切に評価することは可能でしょうか?おそらく相当難しいと思います。

 みなさんの1日の勤務で、何にどれだけの時間を割いたかしっかり記録している人はいるでしょうか?作業内容であれ、事業内容であれ、複数の仕事を並行して処理している場合には途端に難しくなるはずです。

個別算出

 私の部署では、案件ごとにWBSを構築し、個々に予算を算出します。その数は1年で100以上になります。オーナーズエンジニアリングの個々の投資見積で労務費を算出することは現実的でないと思います。

プロジェクトに人を当てる

 労務費を個々に積み上げることが難しいのであれば、実態はどうするのが良いでしょうか?答えは、毎年の業務の実績から考えることになると思います。

投資に人

 例えば、1つの工場にAさん・Bさん・Cさんの3人がエンジニアとしていたとしましょう。その工場である年度に3つのプロジェクトと、多数の小額の案件があったとします。

 これらの仕事は3人のエンジニアが分担することになるので、例えば担当者のスキルを勘案して、金額や担当課などで上記のように公平感が出そうな範囲で考えます。担当者のスキルとは役職とか経験年数といった分かりやすい指標で選ばれます。5年目までなら1億円まで担当でき、10年目までなら5億円まで担当できる・・・といった感じです。実際には個々人の能力差があり、役職・経験年数で仕分けても、必ず問題がでます。
 かといって担当課ごとに仕分けようとすると、担当課ごとのプロジェクトの大小による差が出てきます。

 プロジェクト案件ではなくその他案件とは、例えば修繕案件の類なので、プラントの固定資産額や減価償却額などの指標から修繕費を決めることで、毎年の金額差が出にくいです。
 プロジェクトばかりが目立ちますが、オーナーズエンジニアリングで管理をしていると、プロジェクトがあまりなくその他案件をずっとしている方が楽だと思います(その代わり成長しませんが)。その他案件を主体にしている工場で、急にプロジェクトが入ってきた時は何人必要なのか見積もることができなくて、人のアサインが難しかったりします。これが強硬プロジェクトに繋がり、少数精鋭の残業での対応となってしまいます。

 これらの情報から1人当たりに担当できる投資額がぼんやりと浮かんできて、予算見積で算出した投資額を1人当たりの投資額で割って、必要工数を算出することは不可能ではないでしょう。私の部署ではこういう方法は取っていませんが・・・。

設計人員と投資額

 1人の設計者がどのくらいの投資額まで担当できるでしょうか?これは業界・環境・プラント特性など様々な要因からなります。

 投資額ベースでみることが自体に多少の無理があるものの、多数のプロジェクトやその他案件を実施している会社なら、金額ベースである程度の幅がありながらも1人の設計者の担当額を設定することができます。

 その結果、投資額に対して何人が必要かという推測が可能となります。

投資額

 このグラフはあくまでもイメージです。エンジニアリング部署がこういうデータを持っている可能性もありますが、外部に出ることはありません。大事なことは、投資額はある値を境に必要人数が変わるということ。

 ある値を境に設計者が1人増えるというわけではなく、3人4人と急に変わります。これは、機械・電気・計装など各セクションを考えないといけないからです。

 投資額がある値を越えたから、急に4人必要だと言っても人をすぐに動かすことはできません。少ない戦力でやらざるを得なくなって実現できてしまうと、境界となる投資額を変えてしまうことになります。

参考

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最後に

オーナーズエンジニアリングでは、エンジニアリングフィーに相当する工数が「見えない労務費」として扱われがちです。しかし、適切な予算管理と人員配置を行うには、この労務費を無視できません。プロジェクトの実態に合わせて、投資額ベースで人員や工数を推定することは、オーナーズエンジニアにとって現実的かつ有効なアプローチとなります。

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