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配管工事の品質のためにオーナー側工事管理者ができること

配管工事品質アップ 工事
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配管工事(piping work)の品質は、プラント建設工事で非常に大事です。

少しでも失敗すれば問題になる建設工事で、圧倒的なボリュームがある配管工事を漏れなくすべてクリアすることは至難の業。

建設が終わってから動かす段階で問題が起きても、解決に時間が掛かります。

工事中にチェックして防ぐことが、ポイントになるでしょう。

配管工事会社に依頼してしまいがちですが、依頼者であるオーナーズエンジニアでも知っておきたいことをまとめました。

この記事を見ると、今まで何となく現場工事を見ていた状態から、見るべき場所を絞り込めるでしょう。

底辺の仕事ランキングが最近話題で、残念ですが配管工事もランクインしてしまいます。この考え方に、個人的には私は反対です。

配管工事をしてくれる人がいないと、建設工事は絶対に終わりません。配管工事の質が悪いとクレームを出すことが一時期流行りましたが、この風潮が私の職場にも以前はありました。これは配管工事のモチベーションを下げることになります。

今では逆に配管工事に対してクレームを出すことがほぼなくなりましたが、逆に何をコメントしていいのか分からなくなった工事管理者が増えています。この記事では、そういう工事管理者向けの内容です。

溶接はチェックしにくい

配管工事の品質の中でも、溶接は基本的な要素です。

だからこそ、配管施工者も注意を払います。

WPS・PQRの事前確認とPT(カラーチェック)によるチェックは基本でしょう。

ここに、オーナーズエンジニアが関与できる余地はほとんどありません。

特殊な配管や大口径の配管などを、抜き取り検査するくらいが限界です。

これでも配管製作工程の邪魔をすることになるので、長年実績のある会社の配管工事ならば立会しない方がいいでしょう。

逆に初めて施工してもらう会社なら、どこかのタイミングでしっかり見ておきたいです。

ここでもお任せにしてしまうと、工事の特に終盤で痛い目をみる確率が急激に上がります。

というのも、そのプラントで求められる配管工事の品質を、事前にちゃんと把握できる人はいないから。

どれだけ仕様書に書いても限界があります。

現地取付のチェックに最大の付加価値を

オーナーズエンジニアが配管工事の品質に付加価値を与えられるのは、現地取付時です。

ここでどれだけチェックできるかは、運転を左右します。

勾配のチェック

配管勾配は運転を大きく左右します。

液が残りやすい配管だと、製品品質が低下したり運転時間が大きく伸びたりと、エンジニアにとっては意外なトラブルが実は起こりえます。

これを現場だけでチェックするのは実は難しいです。

水準器を当ててチェックはできますが、どういう勾配にすればいいのかを確認するには図面との照合が大事です。

P&IDを見て液やガスの流れをチェックし、配管図を見てどちらの方向に勾配を付ければ良いのか、悩みます。

配管の勾配なので2パターンしかありませんが、間違えるとアウト。

配管図にちゃんと書くべきで、設計者の仕事の質の問題となりますが、工事管理段階でフォローできる人は相当の付加価値がでるでしょう。

液溜まり・ガス溜まりのチェック

液溜まり・ガス溜まりも運転を左右します。

勾配と似たような意味を持ちますが、他の要素も考えないといけません。

  • 逆止弁が不適切な位置に付いていてガスが抜けない
  • 液を抜くために液抜きバルブを毎回開けないといけない
  • 液が逆流してしまう。

液やガスの溜まりは配管工事で起こりやすいです。

勾配と同じくP&IDと配管図の問題にはなりますが、これらの資料を絶対視してしまって現場で問題があっても知らない・そのまま施工するという方法は好ましくはありません。

もっとも、工事時間が少なく忙しい工事現場では、早く終わらせることを最優先して、これらの問題は問題が起きたときに対応しようという思考になっています。

でも、その問題は大抵は配管の腐食という形で現れますが、配管形状を見直して改善することなく単純更新するパターンになり、プラントの最適保全から遠ざかっていくでしょう。

工事管理
工事管理

設計者なんて雑だから、工事管理が設計者を教育しないと!

設計
設計

工事管理が困らないように、ちゃんと設計しないと・・・

一時期のこの姿勢は、表現はともかくお互いが歩み寄るという点で非常に好ましいです。

今、この姿勢を見れる職場は非常に羨ましいです。

作業性のチェック

配管がある程度組みあがっていくと、作業性のチェックをしましょう。

これも配管図通りに仕上げたら良いというわけではありません。

自分が作業するつもりで、現場の気持ちを考えながら、組みあがった配管を見ていきましょう。

これを設計者に指摘して、適切な形状に変更を促すことは、工事管理の役目の1つです。

といのも、現場の声をリアルに聞くタイミングって多くはありません。

製造者が配管図を見ても、現場作業をイメージできるわけはなく、実際に着いた配管を見て初めて気が付く・実際に作業してやっと気が付く、という性質です。

工事段階で現場の人もパトロールやラインチェックして気が付いたことを、近くにいる工事管理者には伝えやすいですが、遠いところにいる設計者には声が言いにくいもの。

間を繋ぐ調整者として、工事管理者が機能します。

自動化が進んだ工場では、作業性の価値は相対的に下がっています。だからといって作業性を考慮するチャンスとして、工事管理者はこのタイミングを上手く使いたいものです。

自動化をしていない工場や、現場作業が必須の案件の時に必ず役に立ちます。

サポートのチェック

サポートのチェックは工事管理者にとって大事なことです。

配管を長持ちさせるために必要なだけでなく、現場の作業性も工事作業者の作業性も左右します。

これを配管図だけでフォローするのは限界があります。

現場でちゃんと確認する人が必要。

設計者よりも現場を動き回れる工事管理者の役目です。

もちろん、配管工事会社も気を付ける部分ですが、依頼者側からのダブルチェックのためにも大事なことです。

ボルトナット・ガスケットのチェック

フランジ周りのボルトナットガスケットが適切かどうかもチェックしましょう。

細かく見る必要はなく、組みあがった配管をサーっと眺めていって問題がないか確認していきましょう。

当たり前のことですよね。

でも、工事管理者として現場を回っているだけで、教えてもらっていないと気が付きにくいことです。

施工会社がちゃんとしているから、工事管理者は見なくていいだろう。

なんて自分の仕事の枠を勝手に決めてしまいがちです。

気密は最終チェック

気密検査は配管工事の最終チェック部分です。

ここは工事管理者も適切にチェックしましょう。

気密検査が成功していれば、配管工事はほぼ成功。

よほどのことがない限り、直近1年くらいは配管で問題にならないでしょう。

チェックは大変ですが、後のことを考えると結果的には楽になります。

少なくとも漏れてはいけない、危険な物(危険物だけに限らない)に対してはチェックしましょう。

参考

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最後に

配管工事の品質を上げるために工事管理者ができることをまとめました。

気密検査は必須ですが、現場取付時にも勾配・液ガス溜まり・作業性・サポートなど確認できることはいっぱいあります。

ボルトナットガスケットなど、配管工事会社とコミュニケーションできる部分もありますので、現場に行く機会の多い工事管理者は、勉強材料を探す目的でチェックしても良いかもしれませんね。

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