化学工場の技術力の低下 機電系エンジニア目線で解説 少子化・不人気業界・時間的制約

技術力働き方

化学工場の機電系エンジニア目線で「技術力の低下」について思うことをまとめてみました。

否定的な内容なので、「最近の若いものは・・・」という趣旨で感じる人もいると思います。

遥かに昔から言われていることですよね。

どちらかというと悲観的な内容です。

化学の可能性は無限大というのとはちょっと違うかも。

階段から転落する人のイラスト(女性)

研究開発

機電系エンジニアで研究開発に目が行く人は非常に少ないです。

化学の未知の世界って感じがしますからね。

それでも機電系エンジニアは新規製品の導入の機会から伺い知ることができます。

10年でこの差を感じるエンジニアは少ないでしょう。

でも20年も居たら感じるはずです。

年々減少しています。

これは化学反応で安全安定に高機能の材料を合成することが、とても難しくなっているからだろうと推測できます。

新規製品が開発できない製造業は、衰退の一途をたどることでしょう。

技術力の低下と直接は無関係で、研究者の技術が落ちているわけでもなければ努力もしているのですが、結果だけを見ると低下という可能性も考えてしまいます。

機電系エンジニア目線では情報量が少なく、直近で大きな問題になるわけでもないからどちらかというと目立たないでしょう。

プロセス開発

プロセス開発の技術力低下は、機電系エンジニアとしては商業運転前の試製造で気が付くことが多いです。

  • 順調に立ち上がった製品がどれだけありましたか?
  • 依頼元の生産現場から「申し訳ないけどやってほしい」という依頼がどれだけありましたか?

この辺りが、プロセス開発の技術力低下の可能性として考えられます。

順調に立ち上がらずに、プロセス再検討が必要なプロジェクトが増えてくると、技術力の低下を疑います。

ギリギリまで何とかしようとして突貫工事をしがちですが、限界はあります。

こうした場合、生産部から依頼を受ける立場の機電系エンジニアは、生産部に対してクレームを言いがちです。

しかし大抵の場合は、生産部もトラブルを予知できません。

生産部も、プロセスエンジニアの設計したプロセスに従って運転する側の立場。

その辺りは会社の組織構造で多少違うでしょうが、背景は推察できるようになりたいですね。

プロセス開発で技術力低下が起こる可能性は、時間的な制約の影響が強いと思っています。

昔のプロセス開発なら、土日出勤・残業・徹夜当たり前みたいな世界でした。

今ではワークライフバランスを叫ばれつつ、プロセス開発期間を短くさせられている関係で、実験できる回数が少なくなっています。

より合理的に結果が得られるような効率的な実験が求められつつ、最低限の状態で製品立ち上げに望まないといけないため、予期できないトラブルが起こりやすくなっています。

生産現場を知る機会も減って、手配屋の割合が高くなり、机上検討が増えているという意味で技術力の低下の側面は目立っています。

生産現場

生産現場の技術力低下はとても目立ちます。

機電系エンジニアが直接関わる部分が多いからですね。

  • 言われたことしかしない
  • シーケンスP&IDが書けない
  • 安全確認を忘れてしまう
  • 現場の技術的な解析ができない
  • 図面で作業に関わる部分のチェックができない

化学工場内の究極の手配屋である生産部。

手配屋を否定するつもりはなく、化学製造にかかわるあらゆる知識を幅広く習得していないと務まらない仕事です。

一定の経験年数が必要。

毎日のように飛んでくる依頼や会議をこなすだけで精いっぱい。

細かい検討をする時間がありません。

だからこそ依頼先に丸投げという形になります。

それが安全に関わる部分であっても

自動化が進んで機械が勝手に制御してくれるようになったことも相まって、現場パトロールでの安全監視機能が弱まっているのは確かです。

それ以上に、人手不足固定費削減の影響の方が強いでしょう。

  • 3K作業の現場は疲れる
  • 交代勤務は割に合わない
  • 自動化しているから作業員は不要

こんな風に現場から人を減らす・減らさざるを得ない環境にあります。

今問題になっていない現場は、職場の特定の人が何とか食い止めているというのが正しい現実認識と思います。

そこが機能しなくなると、途端に大きな問題として現れるでしょう。

そのころには手の施しようがない状態になっているはずです。

エンジニアリング

エンジニアリングの技術力の低下は、自部門のことなのでとてもよく分かるでしょう。

  • 生産部から言われたことすらできない
  • 設計書が書けない
  • 簡単な図面が書けない
  • 図面を見る時間がない
  • 言語化ができない

機電系エンジニアの技術力の低下は、生産部は如実に感じ取ることができます。

設計については設備の操作性が悪いという1点で。

保全についてはメーカーに確認しますという回答において。

自身が現場を知っているわけでは無いから操作性が分からず問題のある設備を作り上げてしまったり、設備で問題があっても自身で解決できるわけでない。

こういう部分から技術力の低下を感じ、部門そのものが要らないのでは?と感じる現場の人間は居ます。

私がエンジニアとして日が浅いうちは、ここに負い目を感じることも多かったです。

今となっては、生産部もエンジニアと同じように手配屋と化しているのでクレームを出される筋合いが無いと思っています。

極端に言うと完全な丸投げが許されるのが生産部で、許されないのがエンジニア。

「○○部に確認したから問題ない」と言えばいいのが生産部。

エンジニアの場合は「図面屋に確認したから」「メーカーに確認したから」では信頼感は得られません。

そこにプラスアルファの情報を添加しないといけません。

時間が無くて突発で仕事を対応させられる環境が強いのですが・・・。

調達

調達部で技術力ってどういうことか気になる人もいるでしょう。

事務系出身者が調達部の仕事をしている会社の場合、実感がわかないかも知れません。

工場たたき上げの人が調達部のルートを進む可能性があります。

こういう人が調達部にいると強いです。

メーカーや工事会社が主張することの「嘘」を見抜ける可能性があるからです。

メーカー

メーカーの技術力の低下は、営業からの回答という形で強く実感するでしょう。

  • とにかく回答が遅い
  • 責任逃れの回答が多い
  • 見積が高い
  • 納期が遅い
  • 説明がない
  • 技術的な解析がない

機電系エンジニアとしては技術力の低下を最も感じる部分です。

というより依頼元から見た依頼先の技術力低下はどこでも分かりやすく見えるものでしょう。

メーカーに対しては目先真っ暗と感じるエンジニアも多いと思います。

私もそうです。

現に部品供給停止や生産終了という型式が登場しています。

それだけに限らず、コロナ禍の流通の悪化・需要の増大・資源の取合いというような環境変化の影響を受けやすいです。

中小企業が多い設備メーカーは体力が弱く人が少ないという側面も大きいでしょう。

工事

工事の技術力の低下は、エンジニア的には監督の対応として見えてきます。

  • 土日など突発対応ができない
  • 段取りが遅い
  • 作業員が不足している
  • 工期が長い
  • 単価が高い

作業員の確保は技術力の低下というよりは、人手不足の問題です。

工期や単価も同じ。

段取りの遅さは個人の力量が現れやすい部分。

ここにも落とし穴があります。

例えば社内行事が増えて足が回らなくなっているとか、外部作業員の教育に時間を取られているとか、報告書作成に時間を取られているとか・・・。

誰が悪いわけでもない

技術力の低下を話題にする時、近視眼的な視点では特定の誰かを標的にしがちです。

そういう愚痴的な話は日常的に行われます。

でも本質はそこではありません。

関係者どこも似たような状況にあります。

それを認め合って最低限のラインをどこに設定するのかという認識合わせが必要です。

大きな組織になればなるほど大事。

化学工場で万が一でも起こしてはいけない事故。

そこに全神経を集中させて、最悪を回避するという発想で臨まないといけない時代でしょう。

最後に

化学工場の技術力の低下を考えました。

研究開発・プロセス開発・生産現場・エンジニアリング・調達・メーカ-・工事とあらゆる場所で問題化しています。

少子化・不人気業界・時間の短さの影響はどこでも共通化しています。

問題の認識統一と課題の再設定をしないと、愚痴に終始してしまいそうですね。

この記事が記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

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