配管工事(pipe work)の現場では、間違いが起こります。
綺麗に配管図ができたとしても、現地で干渉が全くない理想的な条件であったとしても、人が関わる以上は絶対に防げません。
間違いが起きて、やり直し工事が発生すると時間・コスト・労力が余分にかかります。
気が付かずに運転に入ってしまったら、リカバリーがとても大変になります。
どれだけ対策を取っても間違いは防げませんが、費用対効果を求めるために、ここだけは間違えてはいけないというポイントをまとめました。
そのメリハリがないと、全てを施工会社に丸投げという結果になりえます。
施工のまさにその場で確認する
絶対間違えたくない工事であれば、依頼者である設計・工事のエンジニアは現場に行きましょう。
これが王道です。
私が担当する化学プラントで絶対間違えたくない配管工事なんて、1年に1回あるかどうかという極めてレアなケースです。
それ以外の配管工事はラインチェックで分かっても大丈夫。修正可能です。
大物の設備の据付をするときも、同じ考え方で現場に立ち会います。
万が一、その工事段階で本人が立会ができないという場合には、代理を立てましょう。
工事完了段階で電話確認や写真確認も不可能ではありませんが、電話や写真を忘れた瞬間に間違えたまま次のステップに工事が進んで取り返しが付かなくなったりします。
施工会社の立場からしたら、本当に重要な場所は依頼者が現場に立ち会うのが基本と考えます。
テレワークや働き方改革と称して、現場の立会を省略してしまうことは本末転倒。
フールプルーフを意識した設計をする
配管工事で間違えが起きそうな場合は、絶対に間違えないというような設計を心掛けるのは1つの手です。
フールプルーフという考え方です。
機械加工の分野でよく使われていて、配管工事でフールプルーフというとあまり機会はありませんが、例えば以下のような設計例があります。
- 流れ方向を間違える部品は使わない(グローブ弁、Y型ストレーナなど)
- 既存設備と合わない部分は、全てフレキシブルチューブなどの自在継手で取り合う
- 規格を統一する(配管材質、ガスケット材質、フランジ規格など)
上記に上げた例の全部が全部適用できるわけではありませんが、間違いが起こりやすい配管部分は選択肢を絞り込むことが基本的な対策になります。
本当に重要で間違えてはいけない部分なら、考えても良いでしょう。
その他できること
その他の方法として、設計や工事準備段階でできることをまとめました。
仕事の流れに沿って成果物と予想される結果が見えていれば、各段階でできることが見えてきます。
配管図で強調する
本当に重要な部分であれば、配管図でちゃんと強調しましょう。
赤色などで目立たせたり、大きく囲ったりして、現地施工時に気が付くような仕掛けをしておきます。
ちょっとした工夫ですが、何もしないよりは遥かに効果的です。
仕様書に明記する
工事仕様書中に「○○の配管は、ユーザー立会のもと実施すること」というような表現を入れるのも1つの手です。
配管図を目出たせる方法よりは弱い方法ですが、できなくはないという位置づけです。
工程表で細かく表示する
工程表に細かく表示することも1つの手となります。
本当に重要な配管であれば実施時期を指定するくらいの世界になるので、工程表でちゃんと書くことは可能です。
工程表が適切に機能している工事環境で、工事関係者全員が目に行く場所に工程表が張り付けられていれば、ミスを防ぐ可能性があります。
現地で説明する
現地で配管工事内容を説明するときに、強調して説明することは1つの手です。
ただし、現地確認だけだと記憶を頼りにしてしまいがちなので、時間が経てば忘れます。
特に時間にシビアな工事であれば、慌ててしまって忘れるという可能性もあります。
一見すると確実で最大限取りうる方法のように見える現地確認ですが、落とし穴はありますので過信しないようにしましょう。
工事連絡会で注意事項として伝達する
工事連絡会で注意事項として指摘することも1つです。
工事連絡会では連絡票のようなものを作成して、関係者が情報共有をします。
工事のように日々状況が変わる場合には、日々連絡票を作成します。
そのまま当日の現地KYとして活用される場合もあるでしょう。
日々の連絡票がで情報共有ができている環境なら、連絡票に明記するということは1つの手になります。
依頼者側が日々の工程をチェックして、注意事項を指摘するのを忘れないようにすることが条件となります。
参考
工事については機電系エンジニアは是非とも学習しておきましょう。
現場が最も大事な教科書になりますが、最初は以下のような本での勉強も良いでしょう。
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最後に
化学プラントの配管工事で、ここだけは間違えてはいけないというポイントがあるときに、設計・工事段階でできることをまとめました。
現場立会が基本です。
間違いが起きないようなフールプルーフも考えましょう。
他にはソフト的な対応として、資料に記載する・現地で説明する・連絡会で確認するなど、各段階でできるフォローも忘れないようにしましょう。
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