禁水性物質(water-reactive)について解説します。
水と接触してはダメ。
こういう物質があることは日常生活ではなかなか思いつかないでしょう。
揚げ物など油を使った料理で火災が起きたときに、水を使ったらダメですよね。
水と接触したらダメという物質は世の中には意外とあります。
化学プラントでは禁水性物質を取り扱うことも多いのですが、設備工事や配管工事では意外とケアができていません。
どういうケアが必要かを解説します。
禁水性物質(water-reactive)とは
禁水性物質は水と接触することで何らかの反応をする物質です。
加水分解って単語で有名です。
水を加える分解する。
そのままです。
反応で水に相当する部分を失うようなこと(脱水・縮合)は割とあり、だからこそ水を加えると元の状態に戻ってしまいます。
私が身近に思いつくのはレインウェア(合羽)。
最近のレインウェアは結構早く劣化します。
雨などの水で加水分解するからですが、雨対策のレインウェアが雨に弱いとなると結構困ったものです。
加水分解の典型例として知っておくと良いでしょう。
怖いことだけ知ればOK
加水分解が起こると、化学プラントでは一般には怖いことが起こるという認識でOKです。
レインウェアのような加水分解なら雨に濡れるという被害が出るだけなので、気にしなくても良いでしょう。
化学プラントで取り扱う物質で加水分解が起きると、以下のようなことが起きやすいです。
- 温度が上がる
- 危険なガスが発生する
温度が上がって暴走反応を起こしたり、液が沸騰したら危険ですよね。
圧力があがって圧力容器が破壊される可能性もあります。
危険なガスが出たら、周囲の人にも影響が出る可能性があります。怖いです。
接続前に乾燥
加水分解を起こすような化学物質を扱う設備の工事を行う時の基本は、乾燥です。
接続前に乾燥します。
配管工事ならスチームで洗浄をすることが多いですが、その後にエアーを流すなどの方法で乾燥させます。
タンクなどの大きな設備では、人が中に入って拭き上げます。
それでもタンク内の湿気が取れるわけではないので、やはりエアーで乾燥させます。
エアーの代わりに窒素を使っても良いですが、高価ですし大気中に漏れて窒息する可能性があるので工事向けではありません。
雨の日は工事しない
禁水性物質を扱う設備の工事は、雨の日は工事をしません。
禁水性物質を扱っていた配管を外す作業があって、配管を外したときに雨が降っていたら・・・
加水分解をしますよね!
危険です。
もちろん配管内は洗浄をしているはずですが、それでも部分的に乗っている可能性があります。
そこに雨が降ることでガスが出るとなると、かなり怖いですよ。
例外的に、屋根や壁で囲われている部分であれば、可能と判断されるでしょう。
工事を中断するときはテープ保護だけでは危ない
禁水性物質を扱う配管工事をしているときに、工事を中断する場合は注意しましょう。
養生テープだけで端面を保護していると危険!
テープがはがれかかりそうになっていて、雨が降っていたら・・・
配管内に雨水が入りますよね。加水分解です。
ブラインドフランジを付けるなどの対策を取りましょう。
施工後に系統フラッシングや生産前の洗浄で水を使うかもしれませんが、そこは工事としては考えないようにしましょう。
施工段階でしっかりケアしていたことを証明するためにも、できることはしておく方が良いでしょう。
責任を追及されにくくなります。
取外後にすぐに水で洗わない
禁水性物資を取り扱う設備や配管を外した場合は、すぐに水で洗うのは止めましょう。
製造の確認を取って、処置してもらうのが良いです。
気配りをして水で洗ってしまった結果、加水分解が起きて被災したら元も子もありません。
被液したら大量の水で洗う
加水分解する物質に万が一触れてしまった場合は、大量の水で強制的に洗うことが好ましいです。
多少の発熱があっても、大量の水で温度は下がります。
水の勢いで洗い流す・叩き落すというイメージです。
加水分解をするから水を使ってはいけないというのは、緊急時にも成立するとは限りません。
水が駄目なら水以外の液体で洗い流すことになりますが、そのような液を常時準備できるわけではありませんよね。
参考
関連記事
禁水性物質に関連して、反応や洗浄方法が話題になります。
さらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
最後に
化学プラントで禁水性物質を扱う設備の工事をするときに気を付けることをまとめました。
加水分解の性質は知らなくても怖いということは知っておきましょう。
接続前に乾燥、養生テープだけだと不安です。
できることはしっかり行って、問題が起きないように注意したいですね。
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