バッチ系化学工場の設備で使う主要な材料の種類をまとめて紹介 鉄鋼・非鉄金属・非金属材料

設備材質材料

設備の主要材料について紹介します。

材質は種類が多いだけに、必要なものに絞って理解したいですね。

鉄兜と鎧を着た兵士のイラスト

鉄鋼材料

鉄鋼は鉄に色々な元素を混ぜた物です。

元素の組み合わせが多いだけに、鉄鋼の種類は非常に多いです。

その中でも化学工場で使用する鉄鋼材料を見ていきましょう。

構造用鋼

構造用鋼とは建物や装置に使う鉄鋼のことです。

  • SS 一般構造用圧延材
  • SM 溶接構造用圧延材
  • SB ボイラ用圧延材
  • SPV 圧力容器用鋼板
  • SLA 低温圧力容器用炭素鋼鋼板

鋼管

鋼管とは配管に使う鉄鋼のことです。

  • SGP 配管用炭素鋼鋼管
  • SGPW 水用亜鉛メッキ鋼管
  • STB ボイラ熱交換器用炭素鋼鋼管
  • STBL 低温熱交換器用鋼管
  • STPA 配管用合金鋼鋼管
  • STPG 圧力配管用炭素鋼鋼管
  • STPL 低温配管用鋼管
  • STPT 高温配管用炭素鋼鋼管
  • STPY 配管用アーク溶接炭素鋼鋼管
  • STS 高圧配管用炭素鋼鋼管
  • SUS-TP 配管用ステンレス鋼鋼管
  • SUS-TB ボイラ熱交換器用ステンレス鋼鋼管

どうでもいいことですけど、低温用とか高温用という表現を見ると、ちょっとワクワクしませんか?

構造用合金鋼

構造用合金鋼とは構造鋼を強化した合金鋼です。

強化するための元素を添加しています。

  • SCr クロム鋼鋼材
  • SCM クロムモリブデン鋼鋼材
  • SNC ニッケルクロム鋼鋼材
  • SNB 特殊用合金鋼ボルト鋼鋼材
  • SNCM ニッケルクロムモリブデン鋼鋼材

CがクロムCr、MがモリブデンMo、NがニッケルNiであることが分かれば、記号と名称のリンクはできますね。

特殊用途鋼

特殊用途鋼は言葉どおり特殊用途です。

  • SUS-B ステンレス鋼棒
  • SUS-HP 熱間圧延ステンレス鋼板
  • SUS-CP 冷間圧延ステンレス鋼板
  • SUJ 高炭素クロム軸受鋼鋼材

耐熱鋼

耐熱鋼は言葉どおり熱に強い鉄鋼です。

  • SUH-B 耐熱鋼棒
  • SUH-P 耐熱鋼板

鋳鋼

鋳鋼は鋳造で作る鉄鋼です。鋳物と呼ぶことが多いです。

  • SC 炭素鋼鋳鋼品
  • SCS ステンレス鋼鋳鋼品
  • SCH 耐熱鋼鋳鋼品

鋳鉄

鋳鉄は鋳造で作る鉄です。鉄鋼ではなく鉄。

  • FC ねずみ鋳鉄品
  • FCD 球状黒鉛鋳鉄品

FCMB 黒心可鍛鋳鉄品という種類は昔は使用していました。

高級材質

高級材質というと以下の種類があります。

いずれも超高価・長納期です。

ハステロイCは高級材質としてはあまりにも有名。

バッチ系化学工場では

化学装置に使用する材料として上で紹介した材料は33種類!多いですよね。

現場レベルではこんなに多くの種類を使い分けている余裕はありません。

実際にバッチ系化学工場で使用している物に限定してみましょう。

  • SS 一般構造用圧延材
  • SM 溶接構造用圧延材
  • SGP 配管用炭素鋼鋼管
  • SUS-TP 配管用ステンレス鋼鋼管
  • SCS ステンレス鋼鋳鋼品
  • FC ねずみ鋳鉄品
  • FCD 球状黒鉛鋳鉄品

構造・配管・鋳造という3種類と鉄・ステンレスという2種類の組み合わせて、

下の表のようにまとめることができます。

構造配管鋳造
SS,SMSGPFC,FCD
SUS,ハステロイCSCS

ここまでくると、かなり整理できますね。

  • SMがSSの派生形であること
  • SGPWやSTPGがSGPの派生形であること
  • FC/FCD/SCSがSGP/SUSの親戚であること

この辺りを知っているだけで実務として使いやすいです。

非鉄金属

鉄以外にも金属材料はいっぱいあります。

これを非鉄金属と呼びます。

バッチ系化学工場で使う範囲でまとめました。

化学工場でのの使い道は大きく2つです。

配線とトレースです。

配線は電気伝導率の高さを狙ったものです。

電気配線・制御配線に大活躍します。

配管トレースに銅を使うのは施工性の良さと熱伝導率の高さを狙っています。

トレースについては以下の記事を確認してください。

銅はアンモニアに対する腐食性がなく、アセチレンと接触すると不安定な物質を形成します。

トレースなら銅というのが施工者側の常識で、トレースなら鉄というのが化学屋の常識です。

鉄管でトレースができずに、銅だと問題がある場合は、二重管の出番ですね。

アルミ

アルミ鉄より軽く電気伝導率や熱伝導率が高いことが特徴です。

バッチ系化学工場ではこの目的でアルミを使うことはありません。

アルミを使う目的、それは軽さ。これだけです。

地面を這った配管を避けるための階段や、高所で作業するための作業架台は鉄が普通です。

でも、鉄って重たいですよね。

鉄の架台を付けてしまうと、取り除くことができません。

移動式の架台は製造現場では非常に好まれます。

移動しやすくするためには軽い方がいい。そこでアルミの出番です。

アルミの成形は難しく、鉄よりもコストも納期も掛かります。

市況に出回っているアルミ踏み台以外に、カスタム品をアルミで作るのは辞めた方がいいでしょう。

カスタム品は鉄で作るしかありません。

でも、カスタム品って化学工場で大活躍なのですよね。

チタン

非鉄金属としてチタンを使うことがあります。

チタンは耐食性が極めて高いです。

扱いが若干問題があり、コストも納期も掛かるのがチタン。

バッチ系化学工場では使うのは、プレート式の熱交換器くらいでしょう。

普通は取り扱うことがありません。

非金属材料

金属材料意外として非金属材料を見ていきましょう。

セラミック

セラミックとはシリコンカーバイド(SiC)やアルミナ(Al2O3)が有名です。

セラミックは金属と同じように強度が強いですが、電気を通しません。

耐食性が高いものも多いです。

化学工場ではメカニカルシールの材質に重宝します。

合成樹脂

合成樹脂とは非常に幅広いです。

熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂という区分が最初に出てきます。

その後に、樹脂の詳細が登場します。

樹脂としてはフェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂などがあります。

ビニル樹脂・ポリエチレン樹脂・ポリプロピレン樹脂などは配管材料で登場しますね。

バッチ系化学工場ではほぼ排水系統に限定されています。

フッ素樹脂といえばPTFE

高耐食で有名です。

PTFE単体としても使いますが、材料に混ぜ込んで使用するなど応用性も非常に高いです。

PTFE単体の場合はガスケットが有名ですね。

FRPもこの分類に該当します。

合成ゴム

ゴムというと輪ゴムを想像するでしょう。

天然ゴムをイメージしてしまいがちですが、化学工場では合成ゴムです。

合成ゴムとしては、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、パーフロロエラストマー、フッ素ゴムなどがあります。

NBR,CR,EPDMは耐食性が低いゴムで、オイルシールなどのシール材に使います。

パーフロ・フッ素ゴムは耐食性のシール材としてガスケットやOリングに使います。

バッチ系化学工場のような特殊な耐食性がいる環境では、パーフロ・フッ素ゴムの出番が強いです。

ここはもっと専門的な知識が必要です。

FKMを妄信し過ぎないことがポイントですね。

不浸透黒鉛

不浸透黒鉛は、カーボンに合成樹脂を混ぜ込んだものです。

カーボン自身は熱や腐食に強いですが、中身がスカスカなのが難点。

ここに樹脂を混ぜ込んで密閉性を上げた物が不浸透黒鉛です。

バッチ系化学工場では熱交換器や塔に限定されています。

というのも環境が良くなかったり、金額が高かったり、割れたり・・・と

デメリットが目立つからです。

樹脂の組み合わせによって性質を変えることが可能です。

これを利用して過酷な環境では不浸透黒鉛を使わざるを得ない、という場合があります。限定的ですけどね。

ガラスライニング

ガラスライニングは言葉どおりガラスをライニングしたもの。

ガラスはバッチ系化学工場では非常に多く使います。

酸に強い

このメリットがバッチ系化学工場の生産レシピにマッチしているからです。

バッチ系化学工場では多くの酸を使い、腐食性が高い薬液を使います。

ここに、いちいち高級な耐食性金属を使っていると、コストが高すぎてビジネスが成立しません。

これを安価にするためにガラスライニングがあります。

ガラスライニングは鉄にガラスをライニングしたもの。

  • 鉄は強度が高いが、腐食しやすい。
  • ガラスは強度が低いが、腐食しにくい。

という良いとこ取りをしたものが、ガラスライニングです。

化学工場の設備では、良いとこ取りの製法って本当に多いですね。

ガラスライニングは化学装置や配管に数多く使っています。

最後に

化学工場の設備で使用する主要材料について紹介しました。

鉄鋼・非鉄金属・金属に分類しています。

SS400・SGP・SUS304・SUS316L・カーボン・ガラス・PTFEくらいが基本です。

機械系エンジニアは設備の材質について知識と判断の両方を求められます。

知識だけを持っている研究者ではありません。生産部と協力して運転のために知恵を絞りましょう。

この記事が記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

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