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化学プラント建設工事での元方安全衛生管理者の仕事

元方安全衛生管理 工事
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元方安全衛生管理者(safety health manager)について、化学プラントの工事を対象に解説します。

化学プラントの工事のように、一定規模の工事では非常に多くの職種の工事会社が、一度に同じエリアで短い時間で一気に工事を行います。

一般の建物なら土建が強いですが、化学プラントの場合は主要設備を扱う機械が強かったりします。

工事で万が一危険な状況になれば、以降の業務に大きな影響を与えるため、工事の安全管理は受注者だけでなく発注者としても非常に大事です。

ところが、オーナーエンジニアでそういう専門の人を常時雇うことは、雇用日数の問題で結構難しいです。

だからこそ、工事の時だけ専任の安全衛生管理者を定めることが多いです。

彼らの仕事内容の実際を、紹介したいと思います。

背景

元方安全衛生管理者という長い表現で敬遠されがちですが、分割して考えてみましょう。

  • 元方
  • 安全
  • 衛生

この3つから成り立っています。

元方というのは施工会社のことですね。

ユーザー側のことではありません。

というのも数多くの工事会社の安全管理をユーザーではできないからです。

そのためには専任者を配置しないといけませんが、工場規模や工事サイズによっては難しいでしょう。

というより普通は無理です。

だからこそ施工会社側に依頼します。

安全衛生はセットではなくてそれぞれで担当者を分けるでしょう。

それを統括する安全衛生管理というポジションができます。

元方安全衛生管理者(safety and health manager)の仕事

元方安全衛生管理者の仕事を見ていきましょう。

化学プラントの建設プロジェクトを代表に取り上げます。

現場パトロール

元方安全衛生管理者の仕事でも特に大事なことは、現場の安全衛生の管理です。

現場の管理が仕事ですので、現場パトロールが一番の仕事。

多い時は午前に2回・午後に2回のパトロールをするでしょう

工場規模にもよりますが、1回のパトロールで30分~1時間くらいかかります。

これだけで2時間~4時間くらいの時間を使います。

パトロールの頻度が多いということは、現場工事では危険な作業をしているとも言えます。

放っておくと自分勝手で、危険な作業をする工事作業者が多いということでしょう。

元方安全衛生管理者がパトロールをしっかりしていれば、受注者側はパトロールをしなくてもいいはず。

でも、実際には受注者のパトロールは減っていきませんよね。

週間パトロール・月間パトロール・部長パトロール・工場長パトロール・ゲリラパトロール

挙げればキリがありません。いくらでも作り上げることが可能。

パトロール結果の報告

パトロール結果を、報告要旨にまとめます。

パソコンでExcelに直打ちしていくパターンですね。

パソコンの入力になれている人が、元方安全衛生管理者をやるはずがないので、この入力だけでも時間がかかります。

1日に30分くらいは時間を割いています。

この結果報告を、日々の工事ミーティングで行います。

工事ミーティングも早くて30分くらいかかります。

受注者・発注者が一堂に会する場で、無駄な会議の総本山ともいえます。

iPadなどのツールでもっと簡単に作ることができそうですけどね。

現場工事量のデータ収集

現場工事量に関するデータを集める仕事も、元方安全衛生管理者が行うことが多いです。

  • 日々の工事作業員の人数・工事会社ごとの区分
  • 各種パトロールでの指摘事項
  • 工事全体を通じて、受注者・発注者の意見収集

各工事会社からの情報を集めて、Excelに直打ち。

工事会社が10~20くらいになることが普通ですので、この作業も時間がかかります。

ここも無駄な作業であって、本当ならもっと効率的に処理できる仕組みは作れるはずですが。。。

新規入構者教育

工場によっては、入構教育を元方安全衛生管理者が行うこともあります。

工事の最初から最後まで、新規入構者は発生します。

特に最初の方が入構者数は多いですが、後半になっても途絶えません。

応援者や、特殊な設備の工事などがあるからですね。

そうすると、毎日毎日新規入場者教育を行います。

この教育は早くて30分長いと90分くらいかかります。

講師がずっと説明する必要はないので、ビデオ受講時間に他の仕事ができるはずです。

元方安全衛生管理者(safety health manager)はなぜ高齢者が多いか

元方安全衛生管理者はなぜか高齢者が多いです。

この理由は何でしょうか?

実は下記の理由があります。

  1. 年寄は一定の尊敬があり、年寄の意見は受け入れやすい
  2. 現場の設備保全者の天下り先となっている

特に、2の方が強烈です。

施工会社の立場から見ると分かりやすいでしょうか。

施工会社が元方安全衛生管理者を常時抑えているわけではありません。

工事期間だけに限定されているので、正社員にするには相当の仕事が無いと無理です。

そうすると思いつくのはアルバイト

どこから雇ってこようか・・・となったときに高齢者は適材です。

特に、そのプラントで長年勤めていた人が。

現場の危険性・現場設備の配置・過去の工事の状況・・・いろいろな情報や経験を持っています。

保全や工事に一瞬でも携わったことがある人が定年したら、募集の声が掛かります。

特に人柄が良い人から声が掛かるでしょう。当然ですね。

権限移譲

元方安全衛生管理者がいるということは、工事期間中は工事側の持ち物だという認識を持つ方が良いです。

安全管理が現場のトップであるべきです。

元方安全衛生管理者を置いた場合、ユーザー側も施工会社の指揮下に入らないといけません。

でも、この移譲が綺麗にできるケースって少ないです。

  • ユーザー側の安全意識の方が強く、元方安全衛生管理者に安全指導をする
  • 化学プラントの場合は施工会社が衛生品質に疎いポジションにある。
  • 施工会社はであるユーザーに逆らえない

一言でいえば業界の問題と言えますが、長年培ってきたスキルが背景にあります。

本音と建前を使い分けないといけませんね。

参考

関連記事

さらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

交通管理隊のイラスト(女性)

最後に

元方安全衛生管理はパトロールをしたら、絶対に痩せるはずです。

ところが、元方安全衛生管理ほど太っている人が多い気がします。

彼らは実態としてパトロールをほとんどしていません。下請けに任せっきりです。

報告書作成や入構者教育に時間を取られ過ぎているのでしょう。

パソコンを使った事務処理能力も問題でしょう。

こういうやり取りをするシーンって結構ありますが、見ていて情けなくなってきます。

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