化学工場と”安全”・”環境”・”品質”とのとても深い関係 機電系エンジニアこそ知っておきたい

安全環境品質法律

化学工場の”安全”・”環境”・”品質”について解説します。

これらの要素は化学工場を運営するうえで極めて大事なことです。

それぞれ専門の部署を抱えるくらい大事。

ところが、機電系エンジニアはほとんど関わる機会がありません。

建設プロジェクトで多少の関りがあるか、あっても消防法関係くらいでしょう。

工場の生産部としては非常に関りがあり、彼らの悩みの種ともなっています。

ユーザーエンジニア特に機電系エンジニアこそ、客である生産部のことを知って仕事をしたいもの。

そうでなければ、外部エンジニアリング会社と同じ扱いを受けます。

ちゃんと理解しておきましょう。

安全・環境・品質は化学工場運営に欠かせないです。

この記事で分かること
  • ブロック式は据付面積が小さく増改築も簡単
  • 多管式は詰まりにくくシール部も少ない

化学工場は危険のカタマリ

化学工場は危険のカタマリです。

化学反応を使って製造を行います。

化学反応は莫大なエネルギーが発生します。

危険性が高い薬液や装置も多数扱います。

消防法で危険物製造所と言われるように、言葉どおり危険です。

危険のカタマリです。

だからこそ、いろいろな法規制が課されています。

これを安全環境品質という目線で区分することが多いでしょう。

“安全“

化学工場に限らず安全は製造業全般で大事でしょう。

大昔は安全を軽視して売上を上げることに特化していましたが、それでは限界がありました。

ところが安全に注意するようになると結果的に売上も伸びたっていうアメリカのUSスチールの話は有名。

安全も年々進化していってさまざまな分野をカバーするようになっています。

安全は特に大事なので、個別の記事で安全管理者の仕事を紹介しています。

  • 作業安全
  • プロセス安全
  • 交通安全
  • 行動安全

の4つですね。

これらの背景には人はミスをするものという発想があります。

ミスをして不安全な状態になれば、怪我をして痛い目を見るのは本人。

分かっていても安全を最優先にできない場合は多々あるでしょう。

安全は人が作りこむものです。

プロセス安全で自動化を叫ぶのは、人が介在すると不安全になるから。人を排除したいから。

設備が健全であればプロセスの安全が担保できるという状態に近づけたいわけですね。

問題は設備の健全性を担保するために、最後はメンテナンスマンという人が必要という点。

プロセス安全以外の安全は、人が行動するうえで発生するものなのでゼロにすることはできません。

極小化するためにできることは何でも行うという発想で、KYK(危険予知)活動ヒヤリハット活動などを取り組んでいるでしょう。

ハインリッヒの法則の世界です。

“環境“

化学工場では環境問題に非常に敏感です。

  • 環境中に放出される有害物質
  • 省エネルギー・カーボンニューとなるなどエネルギー
  • その他見た目の問題

化学工場では謎の爆発・地域住民の避難・燃え盛る炎・消防車の出動・民家の窓ガラスが割れるなどの報道イメージとリンクします。

機械加工などの一般的な製造業よりもシビアでしょう。

環境問題が起きて地域住民からクレームが来れば事業継続が不可能、という徹底した意識で取り組んでいる会社もあります。

東京電力が良い例ですよね。

綺麗な地球のイラスト(環境問題)

化学工場では多量のを扱います。

これが環境へダメージを与えます。

水というとイメージが湧きにくいでしょうが、排水です。

綺麗な水ではなく薬液や塩などさまざまな悪い物質が混じっています。

当然飲んではいけません。

こんな排水を安易に環境中に放出して、過去に大きな公害も起こっています。

排水処理は活性汚泥処理・BT(Biological Treatment)処理などの世界になります。

このシステムが正常に機能しなくなった瞬間に工場は止まります。

電気などのユーティリティと同じく化学工場の生命線の1つです。

バッチ系生産であってもBTだけは連続運転であり、BT処理が安定的に行われないと生産はできません。

365日休むことなく運転しないといけないのがBTであり、排水処理も24時間休むことなく処理しないといけません。

逆に言うと、バッチ運転であろうが生産をしてなかろうが、BTを機能させないといけないのが難しいところです。

汚泥に対する栄養源の問題ですね。

日本は水が豊富なので問題になりにくいですが、海外では水不足が問題であり排水回収も盛んに行われています。

排水回収のためにコストを掛けざるを得ないわけですね。

これは機電系エンジニアも知っておいた方が良いことです。設備投資に関係します。

水の循環のイラスト

臭気

水と同じくらい大事な環境問題が臭気です。ガスです。

水もガスも規制は非常に細かく定められています。

試験方法も非常に細かく、専門の分析員が必要。

による環境への問題は海や川の生物への影響という形で発覚しますが、ガスによる環境への問題は発覚がしにくいのが問題です。

最初に発覚するのは、人の嗅覚。

「何か臭い」と感じる方が遥かに早いです。

化学工場の近くにお住まいの方は、この感覚に非常に敏感です。

常にモニターしていただいていると言っても良いでしょう。

臭気判定士のイラスト

水とガスに比べて、少し重要度が落ちますが音も大事

夜間に運転していると、地域住民の迷惑になる可能性があります。

これを言い出すと、電車や道路の方が遥かにうるさく爆音を上げるバイクやスクーターもあるくらいですが…。

化学工場はその意味で目立ってしまいます。

閉鎖された空間で怪しげな作業をしているイメージがありましょね。

日常の不満のはけ口として使いやすいのが化学工場です。

化学工場は地域住民に対しては立場が弱いです。

「その場所を使わせてもらっている」という感覚が強いです。

「お客様は神様」の思考がまだ残っていますが、徐々に薄れていっている方向です。

音については、工場の敷地境界での測定を行い、基準値以内に入っているかをモニターします。

工事などでやむをえず騒音が発生する場合は、地域住民に対して事前に通達します。

こういうコミュニケーションをするのも、環境管理者の役目です。

スピーカー禁止のマーク

も環境の問題として取り上げられます。

工場にボイラーや焼却設備があると、必ずこの問題が起きます。

「工場の排煙口から黒い煙が出ている」

こうなれば否が応でも目立ちます。

というよりほぼ終わりですね。

黒い煙でなくても、水蒸気の白い煙が上がっているだけでもクレームが出る世界です。

冷水塔・クーリングタワーでもこの問題は起こります。

だからこそ、白煙防止対策というオプションが付いているくらいです ^ ^

見た目問題ですが、クレームが来ると大ごとなので真剣に対応せざるを得ません。

原子力発電所のイラスト

化学工場ではも立派な環境問題。

代表例がスチームです。

スチームを使えば使うほど省エネルギーカーボンニュートラルから反します。

スチームトレースを電気トレースにするなどエネルギーを少なくする方向に動くでしょう。

紙の大量廃棄も問題になります。

機電系エンジニアは無意識に大量の紙を使っていますが、環境面では非常に問題です。

技術系とはいえ、環境問題に関しては素人以下

個人的には罰金制を作ってもいいのでは?と思っています。

“品質“

化学工場では品質を作りこむ必要があります。

品質は製造者責任(PL)とも深い関りがあります。

品質が悪い製品を市場に供給すると、大問題。

というか売れなくなります。

製造をしていくと、1年365日安定した製品が出来上がるわけではありません。

1年に数バッチ~10バッチ程度は、何かしら品質に関して相談する事項ができます。

もちろん市場に供給する製品は。その問題をクリアしたものばかりです。

その問題をクリアするために、対策を取ります。

異物

化学工場で品質問題というと異物。

異物の種類
  • 原料中の異物
  • 設備の異物
  • 反応で発生した遺物

原料には異物が必ず含まれます。

これを許容するかどうかはユーザー次第。

製品に含まれる異物も同じです。

出荷する製品も使う側からすれば原料です。

明らかに見た目のゴミとしての異物反応の不純物とに分かれます。

ゴミ側は仕込み前に人が仕分けをしたり、ストレーナで取り除きます。

反応の不純物は工程側でカバーするしかないでしょう。

工場の技術力の世界。

設備の異物はガスケットペーストが代表例。

金属やステンレスの粉も異物になりえます。

反応の異物が品質管理上は最も大事。

とはいえ、これはものすごくしっかり決め込んで範囲を設定しています。

原料規格・運転条件(温度・圧力・量・時間)・分析方法・・・

これらの条件を逸脱したときに異物ができることがあります。

教育

品質は教育と関連があります。

製造品の品質を作りこむのは設備

設備も最終的にはメンテナンスというに関連します。

運転作業員・メンテナンスマンという人が一定のスキルを持つためには教育が必要。

それも定期的に。

これらを記録管理することも品質の1つ。

品質監査で取り上がるテーマなので、機電系エンジニアも大いに関連があります。

品質管理者は独立

品質管理者と製造責任者は分断するのが基本です。

品質管理者を独立させます。

製造をしていく上で品質を作りこんでいきますが、製造と品質が近い関係にありすぎるといくらでも不正ができてしまいます。

これで日本の製造業の数社は品質問題を起こしています。

安全・環境も独立部門を持たせる方が健全ですが、品質の独立化は必須レベル

製造部門のお客様が品質管理という位置づけでいいくらいです。

スペックアウト品を作ったら許容しないのが品質管理者の仕事。

官能検査のイラスト

対外折衝

安全環境品質の3つには共通項があります。

それが会社の外と中を繋ぐ仕事ということ。対外折衝です。

  • 外に対しては会社の中が健全であることを保証するため
  • 会社の中に対しては外に悪い影響を与えないようにするため

技術的な知識だけでなくコミュニケーションも大事なスキルになります。

誰でもできるというわけではありませんが、コミュニケーションに特化すれば技術職にしてはハードルが相対的に低いです。

特に安全環境は身近なテーマなので。

最後に

化学工場と安全・環境・品質の関係について解説しました。

化学という危険な工程を使う以上、安全・環境・品質はとても大事です。

安全は製造業前提に当てはまります。

環境は化学工場独自の水・臭気・音・煙・熱などが問題です。

品質は異物という形で現れます。

この記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

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