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化学プラントオーナーエンジニアリング vs プラントエンジニアリング

オーナーエンジニア キャリア
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何かと比較されがちな化学プラントのオーナーエンジニア。

プラントエンジニアと比べて何が違うの?と疑問に思う就職活動中の学生さんは多いと思います。

私も良く分からないまま、会社選びをしていたと思います。

化学プラントのオーナーエンジニア目線で、一般的な特徴についてまとめました。

「安定」がキーワードです。

化学プラントのオーナーエンジニアとは

化学プラントのオーナーエンジニアって意外とその存在を知られていません。

というのも、プラントエンジニアリング会社が有名だから。

日揮千代田化工建設東洋エンジニアリング

この辺りが有名ですよね。

工場を建設するとなれば、彼らプラントエンジニアリング会社の出番です。

ところが、化学プラントでは自社でオーナーエンジニアを抱えている場合が多いです。

機電系エンジニアでプラント関係の就職先を探すと、結構見かけます。

ところが、その存在ってあまり有名ではありません。

そんな化学プラントのオーナーエンジニアの実態を紹介したいと思います。

工場の設備専門家

化学プラントのオーナーエンジニアは、「工場の設備専門家」です。

お客さんは、工場の製造部。

製造部が生産活動において、色々な問題に直面します。

運転・安全・稼働・設備・原料・廃棄物・分析・法令・教育

この究極のゼネラリストである製造部に対して、設備の専門家として支援するのが化学プラントのオーナーエンジニア。

プラントエンジニアリング会社のようにプラントを建設するという特化した仕事ではありません。

ここは極めて大事な部分です。

設備のライフサイクルを把握できる

化学プラントのオーナーエンジニアは、自社の設備のライフサイクル全容を把握できます。

これは、化学プラントのオーナーエンジニアのメリット。

化学プラントのオーナーエンジニアは勤務地が自社工場です。

自社工場に対して設備設計をし、建設工事を担当し、商業運転を行い、問題があれば対応し、最後に廃棄する。

設備が生まれてから終わるまでの、ライフサイクルを知ることができます。

プラントエンジニアリング会社だと、序盤の「設計」や「建設」だけを担当します。

その設計や建設がどれだけ適正なものであるか、知ることはできません。

作ったら終わりです。

自分たちの設計スキルを見つめなおし、改良させる機会がありません。

ここはエンジニアとして業務の視野を広く持てる部分であり、プラントエンジニアリング会社では培えない分野です。

設備メーカーとの技術的窓口

化学プラントのオーナーエンジニアは、外部設備メーカーとの技術的な窓口を担当します。

工場の技術全般という意味では、他部門が担当するでしょう。

設備に特化した外部との窓口を担当するのが化学プラントのオーナーエンジニア。

「設備の専門家」と言われるゆえんです。

なお、工場内では「オーナーエンジニアは技術を持っていない」という認識があります。

だからこそ「メーカーに聞いて」という依頼を受けることも多数あります。

ところが、そのメーカーが詳しいかというとそうではありません。

これはプラントエンジニアリング会社でも設備メーカーでも同じです。

  • プラントエンジニアリング会社なら、工場を作ったらそれで終わり
  • 設備メーカーなら、設備を作ったらそれで終わり

こういう風潮が強いからです。

化学プラント内では、オーナーエンジニアを信用しておらず本当の専門家は外部に居るという妄信をしています。

これって、かなり時代遅れな発想ですけどね^^

メリット

化学プラントのオーナーエンジニアのメリットを紹介しましょう。

依頼部門は確実に楽

自社にオーナーエンジニアを抱えていると、依頼部門は確実に楽です。

オーナーエンジニアが常駐していることが常識と思っている依頼部門は、実感が沸きにくいでしょう。

いざ、オーナーエンジニアが存在しない環境に行くと、そのありがたみを痛感するはずです。

依頼部門である製造部の人間も、ずっと親会社で勤務できるわけではありませんからね。

一定年数が経って子会社に出向して、戦力が無くなると。途端に感じます。

ユーザーの実態を知ることができる

オーナーエンジニアは社内の実態をすることができます。

これが、自分の仕事を有利に動かすために、使える情報です。

プラントエンジニアリング会社目線で見てみましょう。

自社で判断できない数多くの質問を、ユーザーに投げかけます。

本当は自社に有利に動かしたいのに、ユーザーの言いなりにならないといけない

こんなシーンは山のようにあります。

統一規格が少なく、どっちの選択肢でも悪くない。

こんなことで悩むことが多く、その答えがことごとくユーザーに有利なもの。

プラントエンジニアリング会社にとっては、ユーザーがどういう発想で、その答えにたどり着いたのか理解できません。

何か良く分からないけど、お客さんが望むから仕方ない

こういう風潮が出てきます。

こうなっていくと、プラントエンジニアリング会社としては面白くありません。

ユーザーの実態を知れば、結構ショックを受けますよ。

雑な発想であることがほとんどですから^^

ユーザーに意見を通しやすい

オーナーエンジニアは、自社の事情に詳しくなります。

入社して数年のころは依頼部門から信頼を得られませんが、10年も経てば独壇場になります。

あの人が言うからそれが正解

こういう雰囲気ができれば強いですよ。

プラントエンジニアリング会社がユーザーに対して意見を言っても、跳ねのけられることが多いですが、

オーナーエンジニアが言うとユーザーはそれに従うということは意外と多いです。

これは自分の仕事の自由度や裁量範囲を広げることに繋がります。

仕事をしているうえでの精神衛生でも良い方向に動き、モチベーションも下がりにくいです。

それくらい、プラントエンジニアリング会社は自分で決める範囲が狭いということです。

デメリット

化学プラントのオーナーエンジニアのデメリットを紹介しましょう。

専門家になりすぎる

化学プラントのオーナーエンジニアのデメリットは、何と言っても「専門家になり過ぎる」という点です。

専門家が少ない日本では、専門家って貴重では?

こういう意見は当然ながら出てきます。

でも、化学プラントのオーナーエンジニアの専門性って何でしょうか?

競争相手である、プラントエンジニアリング会社のエンジニアより高い専門性って何でしょうか?

  • 自社の設備に詳しい
  • 自社の事情に詳しい
  • 自社を取り巻く環境での仕事はできる

こういう様々な環境要因に支えられた、「専門性」でしかありません。

エンジニアリングの技術的能力というには少し専門的すぎますね。

以下に、似たような表現ですが、別の見方で論じていきます。

潰しが効かない

化学プラントのオーナーエンジニアは潰しが効きません。

ある意味で当然です。

特定の会社の業務に特化しているから。

日本の多くの企業で指摘されていることです。

別の会社に転職しても、元の会社の仕事の仕方では成立しないことはよくあります。

特に、化学プラントのエンジニアのように、規格がバラバラで設計思想が設備構成を左右する仕事では、

こんなにも違うものか、って愕然とするでしょう。

これは同じ会社でも、事業所が違うだけで起こることです。

その意味では、転勤が多いオーナーエンジニアはまだマシです。

1つの事業所で10年・20年と仕事をしてしまうと、潰しが効かなくなります。

  • 今の会社で我慢すればいい
  • 今の会社が存続するようにだけ頑張ればいい
  • 定年まで乗り切れればいい

こういうマインドが働きます。

実際に私が働いている会社のエンジニアでも、この思想は非常に強いです。

人間関係が狭い

化学プラントのオーナーエンジニアは、人間関係が非常に狭いです。

  • 依頼元である製造部
  • 限られた人数の同僚エンジニア
  • 依頼先である工事会社
  • 依頼先である設備メーカー

実際に仕事で関わるメンバーは、10年で100人~200人程度ではないでしょうか。

自身が居ない仕事でも、他のメンバー同士が仕事をしていることもあるので、

バックグラウンドがある程度は共通化しています。

そうすると、同じような人間と同じような仕事をしている、という環境が形成されます。

人間関係が狭いからこそ、

  • 人間関係の維持構築に無駄なエネルギーを使う
  • 同じ質の仕事の繰り返し。
  • 世間知らずな無茶な要求を出しがち

というデメリットがあります。

「定年まで乗り切れればいい」という思想でいてしまうと、定年後に大変なようです。

そんな元エンジニアの声もちらほら耳に入ってきています。

勤務地

化学プラントのオーナーエンジニアリングが、勤務地に対して考えていることです。

地元志向が強い(5割以上)

化学プラントのオーナーエンジニアは地元志向が強いです。

体感5割はいます。

化学プラントの勤務者の5羽以上は、製造部の地元採用者です。

この考えを引きずってしまうからでしょうか。

地元採用の製造部の方が、エンジニアなどに転向するケースもあります。

大手会社で勤務地を指定しない採用が普通だからといって、中で働いている人が勤務地に拘りがないというわけではありません。

むしろ、勤務地にガチガチに拘りがあります。

  • 家族と違い場所で住みたい
  • 実家と近い場所で住みたい
  • 慣れ親しんだ仕事をしたい
  • 所帯が狭い工場で働きたい

家庭の事情を優先

家庭の話(家族や実家)に関する要望は非常に多いです。

○○出身だから、近くの●●工場で働きたい

こんな話は雑談でいくらでも聞けます。

入社したときは拘りがなくても、結婚すると変わる人は多いです。

奥さんが□□に住んでいるから、近くの■■工場で働きたい

多いですよ。これ。

これが理由で転職して、化学プラントのオーナーエンジニアになる人もいるくらいです。

プラントエンジニアリング会社のエンジニアでは実現が難しい世界ですね。

同じ仕事をしたい

同じ地域で仕事をして、その地域での仕事の仕方を覚えると、後が楽ですよね。

地域限定志向の人は、楽になりたいと思う人が多いです。

詰まらなくても同じ仕事をして、楽に判断できる仕事をし続けたい。

こういう人が多いと、変化は期待できません。

仕事環境が良い場所で仕事をしたい

所帯が狭い工場というのは、決済が速い仕事を志向する人が多いです。

スタンプラリーをする大所帯の工場では、やりがいなんて感じないでしょう。

この辺は、化学プラントのオーナーエンジニアというより従業員全体が嫌気を差していますね。

仕事の環境を理由に、勤務地を指定したいという人は少なからずします。

こだわりがない(3割程度)

大学を卒業して数年の独身の人は、この思考です。

別にどこでもいいですよ

半ばやけになっているようにも見えますが、本当にどこでもいいと思っているようです。

どこの工場でも仕事内容が変わらない

そうドライに考えているのでしょう。

そういう人たちは、出世や今後の待遇に差があるという意識すらしていません。

会社からリストラを宣告されるわけでもなく、出向することなく、

定年まで勤めあげられる。

こういう思考があるようです。

化学プラントのオーナーエンジニアという特殊性に目を付けて入社しているから、この発想になるのでしょう。

少数精鋭の機電系エンジニアをカットしてしまうと、新たに募集しても来る人が少ない。

そう考えているようです。

リストラされたら、その時になって考える

勤務地に拘りがない人の多数は、こういう意見です。

気分転換がしたい(1割以下)

私のようなレアなケースです。

場所に拘りがないが、同じ場所で居続けるのは嫌というパターン。

  • 純粋に飽きている
  • 違う工場の考え方を知りたい
  • 違う地域の見聞を広めたい

こういう人は、化学プラントのオーナーエンジニア向きではありませんね。

もしかしたら私も向いてなかったのかなー、なんてたまに思ったりします。

世間知らず

化学プラントのオーナーエンジニアが世間知らずと感じる例を紹介しましょう。

世間の事情に疎い

化学プラントのオーナーエンジニアをやっていると、世間の事情に疎くなります。

  • 工事会社が人集めにどれだけ苦労しているか
  • 資器材の準備にどれだけの時間が掛かっているか
  • 職人がどれだけ即答を求めているか

大手化学会社の人ほど、こういう状況把握から疎くなっていきます。

生の声を聴く機会が少なく、たとえ聞けても表面をなぞったような話だけです。

もともと深い事情を知るべき立場ではありませんが、何も知らなくても良いという立場でもありません。

世間の事情を何も知らずにいても、それなりに過ごせます。

でも、周りからの信頼感はぐっと落ちます。

この人には何を言っても駄目だ

こんな風な目で見られます。

こういう人は、実は自社の事情を把握しようする努力も怠りがちです。

簡単に言うと、自分の殻に閉じこもってしまいます。

特に若手の化学プラントのオーナーエンジニアに急激に増えている現象ですね^^

標準に弱い

化学プラントのオーナーエンジニアは標準という単語に弱いです。

標準とは例えばJISです。

社内で基準化するときに必ず参考にしますよね。

社内規格 > JIS というように社内規格を優先するような書き方をします。

当然ですよね。

JISでも製作できそうなものなのに、より厳しく設定したいから社内規格があります。

化学プラントのオーナーエンジニアにありがちなのが、JISを見ないという例です。

いや、もう、エンジニアとしてどうなの?っていうレベルです。

今まで通りでお願いします。

これを多用し過ぎると、JISなんて見なくていいという発想にいたるようです。

こういう人は、社内規格も当然ながらチェックしません。

  • 上市が「標準」と言ったから正しい
  • 取引先である専門家が「標準」と言ったから正しい
  • 社内の専門家が「標準」と言ったから正しい

こういう論理展開で動いているように見えます。

設備ユーザーや工事会社から、「この基準はちょっと厳しすぎるのでは?」という質問を受けても、

後ほど回答しますといってその場を取り繕い、上司に判断を仰ぎ、回答するエンジニア。

エンジニアって何なのでしょうね…

旅行慣れしていない

プラントエンジニアリング会社のエンジニアと話していると、旅行慣れしていることを痛感します。

  • 泊まるホテルの探し方
  • 近くで食事できる場所の探し方
  • 他社の作業者とのコミュニケーション

こういうのが、プラントエンジニアリング会社のエンジニアの方が上手です。

いろんな地域を回っていると、嗅覚で分かるようですよ。

別にホテルなんてネットで調べればいいし、食事も自分で作った方が良いし、夜の店で他社の人とコミュニケーションを取っても良いことはありませんが、

自分の力で人生を楽しんでいる、という感じがします。若干羨ましいです。

これを感じるのは10年前でも数年に1回のレベルですし、会食が厳しく制限されている現在ではほぼ絶滅しています。

化学プラントのオーナーエンジニアの中には、電車や飛行機の長距離移動ができない人っていますからね。

その割に長距離の運転はできるという不思議^^

忙しい?

プラントエンジニアリング会社のエンジニアは忙しそうに見えます。

自社の社内でもよくこんなセリフを言われます。

機電系エンジニアって忙しそうですね

何も考えない機電系エンジニアはそれを言葉どおり受け取ります。

気を使ってくれてありがとうございます的な対応をします。

ところが、この気遣いのセリフ。

一番言ってくれるのが製造部の管理者です。

確実にこの人たちの方が忙しいです。

そんなことを全く知らずに、言葉どおり受け取る機電系エンジニアが多いです。

これと若干話は重なりますが、化学プラントのオーナーエンジニアがプラントエンジニアリング会社のエンジニアを見ていると

忙しそうと感じます。

現場を動き回っている時

プラントエンジニアリング会社のエンジニアのうち、かなりの人間が現場監督を兼務します。

現場監督者を選任で置けるだけの余裕がありませんからね。

だからこそ、転職サイトでも現場監督の需要が高いのです。

派遣の現場監督者もいるくらいですからね^^

現場と事務所を1日に何往復もします。

これを端から見ていると忙しそうに見えます。

これは化学プラントのオーナーエンジニアもある程度は該当しますが、頻度が違います。

化学プラントのオーナーエンジニアは1日に1~2回ですが、プラントエンジニアリング会社のエンジニアは1日に5~6回なんてザラにあります。

だからこそ、現場のすぐ近くにプレハブ事務所を置いてほしいと言われるわけで。。。

化学プラントのオーナーエンジニアが社内業務や会議で拘束されて、現場に行く時間が取れない分を、プラントエンジニアリング会社に委託している

と格好良く言うことはできますが。

化学プラントのオーナーエンジニアが現場を知らないと陰口を言われる確率は上がっていきます。

事務所の電気が夜遅くまで付いている時

プラントエンジニアリング会社の仮設プレハブの電気が夜遅くまで付いている時は忙しそうと思えます。

それを知っているあなたも状況は同じなのでは?

という突っ込みが来そうですが。

プレハブ小屋にそっとお邪魔してみると、疲労感を全力で出したエンジニアの姿を見ることができます。

  • 作業服は脱ぎ散らかし
  • 書類が山積みになっていて
  • ドリンクが散乱している

これは化学プラントのオーナーエンジニアの事務所では見ることができません。

もっと表面を取り繕っています。

これがプラントエンジニアリング会社のプレハブ事務所に行くと、かなり高い確率で見れます。

興味がある方はぜひ一度は^^

土日出勤をしている時

プラントエンジニアリング会社のエンジニアは土日も関係なく出勤しているイメージです。

私が接する人たちは、エンジニアというよりは現場監督に近いイメージですので、現場工事を休みなく行うために土日に出勤するのは普通とも言えますが。。。

当番制で回そうとしても、人数に余裕がないためローテーション頻度は高く

出張しに来ているので、休んでもすることがない

この思想で、土日も仕事をしている姿を見かけます。

化学プラントのオーナーエンジニアでも運転管理者でも、それなりの頻度で土日に顔を出しますので、何とも言えませんね。

週1ペースくらいで各地を転々としている時

これはガチで忙しい例です。

プラントエンジニアリング会社のエンジニアが、複数の現場を行き来している例です。

私が知っている例では、週1のペースで3つの事務所を掛け持ちしていました。

当然ですが、どの事務所も現場は大混乱です。

当の本人は疲れ切っています。移動疲れと状況把握疲れです。

これは現代の奴隷と言われても仕方がないような気が…。

化学プラントのオーナーエンジニアではこんな例は普通ありません。

立ち位置が不安定

化学プラントのオーナーエンジニアは、その立ち位置がかなり不安定です。

というのも、ライバルとしてプラントエンジニアリング会社のエンジニアが要るからです。

化学プラントのオーナーエンジニアの存在価値として以下の記事が参考になります。

化学プラントのオーナーエンジニアがその価値を失ったとき、プラントエンジニアリング会社のエンジニアへの転向が始まると思っています。

もちろん、急に全員が異動するわけでなく、一部の人間は本社に残れるでしょう。

どういう人が生き残れるかを考察します。

製造部の運転を知っている

化学プラントのオーナーエンジニアが製造部の運転を知っていると、非常に強いです。

化学プラントのオーナーエンジニアにとって「お客さん」は製造部です。

上流工程が「製造部」という位置づけ。

  • 製造部の運転方法
  • 製造部の運転管理に対する考え方
  • 製造部のオペレータの考え方

これらすべてを知る人は、化学プラントでも誰もいません。

化学プラントのプロセスエンジニアや製造部を経験した人でも、どれか1つの側面を見ているだけです。

一方、機電系エンジニアはこのどの側面も知りません。

依頼元である製造部が、依頼先である機電系エンジニアに仕事を依頼するとき、

バックグラウンドで共有しているものがありません。

これは、製造部から見ると非常に困ったこと。

すべては製造部の「ありがとう」のために、といって仕事をしている機電系エンジニアもいるくらいです。最近は絶滅種ですけど・・・

対外発信ができる

機電系エンジニアが社内で情報を発信できると、強いです。

というのも、機電系エンジニアがその仕事をアピールする機会は恐ろしく少ないからです。

忙しく仕事しているけど、何の仕事をしているのか分からない

これが他部署から見た、機電系エンジニアの印象。

もともと、図面とにらめっこしたり現場で仕事をすることが多い、機電系エンジニア。

会議や資料作成などのアピールは非常に弱いです。

これが社内での部署政治に負けてしまう流れを作ります。

「社員が多くて、コストカットをしないといけない」

 ↓

「良く分からない機電系エンジニアを外出ししよう!」

こういう流れで、プラントエンジニアリング会社のエンジニア側に出向した人も多いでしょう。

ここで有効なのは専門外の人に、簡潔に分かりやすく伝える能力

大事です。対外発信と私は勝手に呼んでいます。

これができない機電系エンジニアは非常に多いです。私の社内でも9割を軽く越えます。

プラントエンジニアリング会社のエンジニアなら9割9分でしょう。

彼らが作る文書を見れば一発で分かります。

これは設備メーカーや工事会社も同じです。発信が非常に弱いです。

設備メーカーや工事会社より詳しい

専門家であるメーカーや工事会社より詳しい人は、生き残れます。

化学プラントのオーナーエンジニアが外出しされる理由は、

化学プラントから見て機電系エンジニアが

  • 何を言っているか分からない
  • 専門的な知識を持っていない
  • 専門的な技能を持っていない

という偏見を持っているからです。

簡単に言うと「信頼されていない」ということ。

製造部から問い合わせがあって、進展がなかったら「すぐにメーカーに聞く」というアクションに出るのも、これが理由です。

とはいえ、社内のエンジニアリングしかしていない人が、設備メーカーや工事会社より詳しくなることはありえません。

この道で、生き残りを探すのは難しいでしょう。

仕事が安定している

化学プラントのオーナーエンジニアが安定していると感じる部分を解説します。

仕事の量

化学プラントのオーナーエンジニアは仕事の量が安定しています。

  • 会社の投資金額が年によって振れない
  • プロジェクトで特別投資するときは、会社が人集めをしてくれる

会社の投資判断ですので、仕事量が安定していることが強いです。

急に仕事が増えたり減ったりすることがほぼありません。

  • 目標の売り上げに到達しないから、無理して注文を請けよう
  • 人が不足しているけど、優秀な○○さんにちょっと頑張ってもらおう

というような風潮が比較的少ないです。

仕事の質

化学プラントのオーナーエンジニアは仕事の質が安定しています。

  • お客さんである製造部が同じ
  • 生産設備が同じ
  • 仕事をする仲間が同じ

求められる仕事の質が同じで、戦力も同じ。

仕事の質が同じだから、エンジニアとして気に病む必要がほとんどありません。

プラントエンジニアなら、それぞれのジョブに対して

前提条件を理解して、期待される仕事の質を探索するところから始まります。

化学プラントのオーナーエンジニアの仕事なら、このステップを省略できる部分が強いです。

化学プラントのオーナーエンジニアでも、別の事業所や海外の工場など

前提条件が大きく変わることがありますが、頻度が違います

化学プラントのオーナーエンジニアなら、エンジニア人生30年強を通して、数回あれば良いというレベルです。

仕事の結果

化学プラントのオーナーエンジニアは仕事の結果が安定しています。

結果を問われることが少ないという意味です。

  • 工事納期が遅れても、生産計画でカバー
  • 設備納期が遅れても、工事計画でカバー
  • 設計不具合が起きても、次回SDMでカバー

化学プラントのオーナーエンジニアが「守られている」と感じる部分です。

化学プラントの機電系エンジニアが、少数精鋭で希少価値が高いことが効いています。

これがプラントエンジニアリング会社のような他社であれば、

結果に問題があれば次回はなしということも起こりえます。

化学プラントにとっての機電系エンジニアと同じように、化学プラントにとってのプラントエンジニアリング会社も候補が少ないため、

急に切られることは少ないです。

それでも、プラントエンジニアリング会社なら競争原理が働くため、結果に対してシビアに考えないといけません。

オーナーエンジニアリングを外出しするとどうなるか

化学プラントのオーナーエンジニアを外出しするとどういうことが起こるか、私の予想を記載します。

納期が守られない

化学プラントのオーナーエンジニアが居ないと、納期が確実に守られません。

化学プラントのオーナーエンジニアが居るために、99%以上の仕事が納期を守られていました。

最近は、少しずつ延期するケースが増えていますけど^^

どちらかというとオーナーエンジニアの仕事以外の問題です。

オーナーエンジニアが納期管理や仕事管理をすることによって、納期が守られている部分が大きいという意味です。

これは責任感から来ます。

機電系エンジニアを外出ししてしまうと、責任感が生まれません。

「他社の仕事」としてドライに扱います。

納期に関して言うと、「ユーザーから情報提供が遅いから遅れて当然」いう意見が言えます。

ただでさえ、設備調達や工事人員調達の時間が掛かっている日本の情勢なのに、

機電系エンジニアを外出ししてしまうと、協力する素振りすら見せなくなります。

予算をオーバーする

納期が守られなければ、予算も当然守られません。

追加申請が山のように出ます。

これは、機電系エンジニアなら良く分かるでしょう。

設備メーカーに発注したときに、少しの仕様変更だけでも「追加」が出ます。

これと同じことが、オーナーエンジニアを外出しすることで起こります。

それくらい、化学プラントのプロセスエンジニアや製造部の人は、エンジニアリングの仕事を理解していません。

ITエンジニアが色々不満を持っているという情報は、ネットを調べれば山のように出てきますが、

同じ構図が化学プラントと化学プラントのオーナーエンジニアの間でも起こります。

ITエンジニアよりも遥かに歴史が長いですよ!

設備の不具合が増える

オーナーエンジニアを外出しすると、設備の不具合は増えます。

ユーザーの運転なんて興味がありませんからね。

見た目の形を取り繕えばそれで終わりです。

立ち上げ時にトラブルが起これば、その時に解決すればいいだけです。

自社でオーナーエンジニアを抱えている場合は、この立ち上げ時のトラブルは驚くほど少ないです。

現場で解決できる程度のトラブルだけが残るように、工事終了までで解決していっています。

これがオーナーエンジニアを外出しすると、問題が先送りされます。

立ち上げ時になって初めて、「どうしようもないトラブル」に出会ってしまいます。

ここで、プロセスエンジニアや製造部の人間が痛い目を見るわけですね。

参考

関連記事

特にオーナーエンジニアについてさらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

最後に

化学プラントのオーナーエンジニアの一般的な特徴をまとめました。

オーナーエンジニアの位置づけ・メリットとデメリット・勤務地・世間知らず・忙しい・立ち位置が不安定・仕事が安定している。

安定志向の人はオーナーエンジニアがおススメです。

オーナーエンジニアがいなくて外部エンジニアに依存すると化学プラントとしては困るので、一定数は必ず残り続けるでしょう。

化学プラントの設計・保全・運転などの悩みや疑問・質問などご自由にコメント欄に投稿してください。(コメント欄はこの記事の最下部です。) *いただいたコメント全て拝見し、真剣に回答させていただきます。