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化学機械

竪型キャンドポンプがスラリー液向けに使える理由

竪型キャンド 化学機械
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竪型キャンドポンプ(canned pump)について解説します。

このポンプは腐食性の高いスラリー液を扱いたい場合に、最後の手段的な視点で選ばれるシールレスポンプです。

スラリー液向けにはいろいろなポンプが考えられますが、腐食性の高さを考えるとシールレスポンプはやはり安心感があります。

取り扱いが難しく、そもそも構造も分かりにくいポンプですので、少し解説して上手に使うための参考になればと思います。

竪型キャンドポンプ(canned pump)の構造

竪型キャンドポンプの構造をざっくり解説します。

竪型キャンド構造(canned pump)

竪型キャンドポンプは言葉通り竪型です。横型ではありません。

インペラが下にあってシャフトが上に伸びた形です。傘を広げ地に向けた形ですね。

プロセス液はポンプの下部からインペラに導入されます。

ポンプが回ってエネルギーを得たプロセス液はそのまま外部に排出されます。

シャフトはキャンの力で回ります。

この辺りは横型のキャンドポンプと発想は同じです。

竪型キャンドポンプはプロセス液でベアリングの摺動熱を除去するのではなく、外部の冷却液を使います。

そのために冷却液を導入する部分を設けています。

このままだと、プロセス液と冷却液が混入してしまいますので、シールしましょう。

メカニカルシールを使います。

それでもメカニカルシールが漏れてしまった場合には、プロセス液と冷却液が混入してしまいますので窒素でシールします。

窒素以外にも空気でも許される場合があるので、ガスシールと一般的に呼ぶこともあるでしょう。

冷却液を常時ポンプに流せる場合はこの方法でOKです。

例えば水が良い例ですね。

一方で、水を冷却液に使うと困るという場合があります。

こういう時は外部熱交換器が付いたタイプを使いましょう。

冷却シール(canned pump)

冷却液は水を使って常時流しましょう。

シール液は運転前に入れておいて、無くなったら補充するスタイルです。

ポンプが運転することでシャフトの液は力を得て、熱交換器周りを循環しようとします。

竪型キャンドポンプ(canned pump)の特徴

竪型キャンドポンプの特徴を先に述べましょう。

竪型キャンドポンプの特徴
  • 停止時に液がインペラに掛からない
  • プロセス液がシャフト部に混入しない
  • ハステロイも可能
  • 高価
  • 自動化しにくい

メリットばかりではありませんね。

スラリー対応

竪型キャンドポンプはスラリー送液に大活躍します。

スラリーをポンプで送るときの最大のポイントは、メカニカルシールでも漏れです。

ポンプ停止時にメカニカルシールの摺動面にスラリーが溜まり、起動するときに摺動面を削って漏れるというパターン。

これを無くすために、竪型のポンプがあります。

ポンプが止まったときは、液は自重で下に落ちようとします。

シールに相当する部分には液が掛かりません。

これでメカニカルシールの摺動面が削れるリスクを下げます。

プロセス液がシャフトに混入しない

キャンドポンプはプロセス液でポンプの摺動熱を冷却するのが基本です。

キャンドポンプに限らず、ポンプが動けば発生する摺動熱を何らかの形で冷却しないといけません。

渦巻ポンプならメカニカルシールの摺動熱が課題になりますね。

竪型キャンドポンプの場合、プロセス液を摺動部に持ち込まない構造になります。

スラリー液がシャフトやベアリングに入ってしまったら、ベアリングが固着したり摩耗したりとトラブルの元となります。

キャンドポンプでありながら、プロセス液が接するのはインペラだけという拘りを持ったタイプが、竪型の特徴です。

ハステロイも可能

竪型キャンドポンプはハステロイで作ることも可能です。

ハステロイと言えば高級金属。高耐食性。

腐食性の高いスラリー液を扱うときは、竪型キャンドポンプを選んでおけば無難と言われるのはこの辺りが理由ですね。

もちろんハステロイでは駄目な液を扱う場合や、冷却液の混入やスラリー濃度の問題で竪型キャンドポンプを選べない場合もあるでしょうがレアケースだと思います。

高価

竪型のキャンドポンプは高いです。

普通の横型に比べれば構造が複雑ですからね。やむを得ません。

故障を取るかお金を取るかという世界になりますね。

自動化しにくい

竪型キャンドポンプは自動化がしにくいです。

というのも起動に癖のあるポンプだからです。

竪型キャンドポンプはガスシールをするのが基本ですが、

  • ガスがポンプ内にちゃんと入っていて
  • プロセス液もポンプ内にちゃんと入っていて
  • 冷却水がプロセス側に漏れていない

という3つを確認してから起動する必要があります。

これらを確認する手段は「人」が「現地の覗き窓」を「監視する」という手段になるでしょう。

カメラを付けて自動制御するという方法を採用するには、技術的にもコスト的にも割に合わないでしょう。

ポンプの起動停止を自動化して労力を割こうしている工場でも、竪型キャンドポンプは人が介在しないといけないことになってしまいます。

もちろん、ポンプの起動停止は現地で人が行うことが基本で、苦にならないという会社の方が多いでしょうけど・・・。

参考

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さらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

最後に

竪型キャンドポンプの構造と特徴を簡単に紹介しました。

スラリー向けに使うポンプで、プロセス液はインペラだけが接触します。

シャフト部には冷却液を通し、メカニカルシールで遮断しつつガスでさらに物理的な遮断を行います。

スラリー向けですが高価だったり自動化がしにくいというデメリットもあります。

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