枝取り(branching)配管の考え方について解説します。
化学プラントの配管から枝を取る場合に、上取りなのか下取りなのかちょっと悩みます。
適当に配管図を見ているだけだったり、配管図面屋さんに任せているエンジニアなら悩むチャンスすらないかも。
上取りなのか下取りなのかどちらにすべきかを、いくつかの場合に分けて考えます。
この思想をちゃんとするだけでも、設備を長持ちさせたりトラブルを減らすことができます。
ちょっとした工夫ですね!
メイン配管の枝取り(branching)はガスが上取り・液が下取り
メイン配管は内容物がガスの場合は上取り・液の場合は下取りにしましょう。
この理由はシンプルに
溜まりをなくす
ということに尽きます。
ガスは上・液は下の基本通りです。
メイン配管とはプラント外にある共通配管などのイメージです。
例えば、プラント外の冷凍機からプラント内に引き込むユーティリティ配管などが該当します。
ガスも液も該当します。ガスだとスチーム・空気、液体だと水です。
ユーティリティなので窒素、有機溶媒などは対象外とします。
ガスを下取りにすると溜まる・液を上取りにすると溜まる
溜まりがあると配管の抵抗となったり、錆ドレンなどが詰まったりするトラブルの原因となります。
サブメインの枝取り(branching)は上取り
サブメインは基本的に上取りです。
この思想もシンプルに言うと
異物を持ち込ませない
となります。
錆で配管や装置が詰まることで、熱交換器などの伝熱を阻害したり、腐食の原因となったりします。
メイン・サブメインの構成
サブメインはプラント内の各階のメイン配管のイメージです。
メインとサブメインで考え方を使い分けをするのが、ポイント。混乱の元ですけどね^^
液体を流すメイン・サブメインの構成以下のようなイメージで考えましょう。
メイン配管から下取りした配管がサブメイン配管に繋がります。
メイン配管とサブメイン配管の間で必ず液ポケットとなる部分ができます。
ここに液抜きを付けましょう。
メイン配管に水が流れてあって錆が発生している場合に、下取り配管から錆を除去する機能を持たせます。
ストレーナを設置して除去する考え方もありますね。
サブメイン配管以降は、ユーザーに送る配管は上取りにします。
サブメイン配管も末端部には錆ドレン抜きを付けます。
ここまでが基本の発想。
サブメインを下取りした場合は?
少し見方を変えて、サブメイン配管を下取りにした場合はどうなるでしょうか。
この場合も同じです。
サブメイン配管を下取りすると、サブメイン中の錆が一番手前の下取り部に詰まっていきます。
ここをドレン抜きをしたり自動分液をするという発想をしても良いですが、コストが上がる方向です。
ドレン抜きを頻繁に行ったり、自動分液装置を付けたり、圧損が付いたり、というコストですね。
よほどのことがない限りはサブメインの下取りは避けた方が賢明です。
集合管の枝取り(branching)は上取り
集合配管は上取りの方が良いです。
集合配管は排水配管などが一般的。溶媒の廃油配管も該当します。
集合配管を上取りして接続の手前に逆止弁を付けます。
なぜ逆止弁を付けるかというと、当然ながら逆流による混合を防ぎたいから。
なぜ逆流するかというと、接続配管それぞれの使用圧力が違うからです。
接続配管の全部が全部、装置高さが同じであるわけでもなく、ポンプで送るわけでもなければ、ポンプの仕様が統一化されているわけでもありません。
間違って複数のラインから接続配管に流れ込んだ場合、圧力の高い方から圧力の低い方に逆流する可能性があります。
これを極小化するために逆止弁を付けます。
逆止弁を付けるときに、下取りをした場合は危険。
逆止弁の二次側に常時液が溜まった状態になります。
この結果、ポンプが起動しなくて排水ができないという場合があります。
上取りを基本にしましょう。逆止弁を付けましょう。
あとは絵には書いていませんが、できれば遮断バルブも付けましょう。
参考
配管の枝取りのような工夫は、配管トラブルの1つとして登場します。
配管トラブルに関する本は、自身に当てはまるものがあるとは限りませんが、多く触れることでヒットする確率は上がるでしょう。
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最後に
枝取り配管の上下場合分けを解説しました。
メイン配管はガスが上取り・液が下取り、サブメインは上取り、集合管も上取り
使用場所や条件によって使い分けますが、ガスなのか液体なのかという区分や錆・ドレンが含まれるかと言った一般的な性質で議論可能です。
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