濃”硫酸”を薄めて希硫酸を作るときに必要な設備構成と運転上の注意点 機電系エンジニアの設計基本

希硫酸運転

硫酸“を濃硫酸から希硫酸にするときの注意点を考えました。

連続的に硫酸を希釈する場合ではなく、バッチ的に希釈する場合です。

硫酸を希釈すると簡単に言っても、危険な要素がいくつもあります。

設計者でも丁寧に考える余裕はあまりなく、みんなで考えたP&IDから一気に配管図に向かう仕事をすることが多いと、今回のような思考をする場面が少ないでしょう。

だからこそ「じっくり」考えたいものです。

化学工場の設備の設計エッセンスが詰まってます。

この記事で分かること
  • ブロック式は据付面積が小さく増改築も簡単
  • 多管式は詰まりにくくシール部も少ない

硫酸希釈の方法

硫酸希釈の方法を簡単に整理しましょう。

  1. を容器に投入
  2. 硫酸を容器に徐々に投入

水と硫酸の順番はとても大事です。

逆にしてしまうと、希釈熱で水が急に沸騰して硫酸が外部に漏れ出す危険があります。

これを防ぐために、多量の水がある場所に硫酸を少しずつ投入する方法を取ります。

硫酸希釈のフロー

硫酸希釈のフローを紹介します。

フロー

設備の構成を簡単に整理しましょう。

反応器の特徴
  • 竪型の槽型
  • 撹拌機付き
  • ジャケット付き
配管の特徴
  • 水のラインと硫酸のラインを完全に独立
  • 大気開放のガスラインを設置
  • ジャケットに冷却水を常時通水
計器の特徴

自動化を視野に入れているため、多数の計器が付いています。

手動で調整する場合は、計器数はもっと少なくなるでしょう。

水投入

硫酸希釈の最初のプロセスである水投入を行いましょう。

水のラインから仕込みます。

水投入

その前に最低限、以下の確認が必要です。

  • 水タンクの量が投入量以上保有されていること
  • (水のラインが他のラインと共用している場合で)ほかのラインで水を使用していないこと
  • 反応器が空であること(水の投入量を加味してもオーバーフローしないこと)
  • ガスラインが大気に開放されていること

この辺りの確認が終わってから、水の投入を始めます。

自動弁を開けたら水が投入されますので、以下を順次確認していきましょう。

  • 流量計の指示値が初期はゼロであること。積算値が時間とともに増加していること。
  • 液面計の指示値が増加していること
  • 温度計感知部まで液面が到達すれば、水温を検知すること(空気の温度より若干低い)
  • 撹拌可能なレベルまで液面が到達すれば、撹拌機を起動すること
  • 撹拌機を起動したら、液面計の指示値が変動し、水温が増加すること

これらの細かなチェックを時々刻々行っていきます。

さすがに面倒なのでシーケンスを組むことが大事ですよね。

流量計の積算値が投入予定量になったら、自動弁を閉めましょう

これで水投入は基本的に終わりです。

硫酸投入

次に硫酸の投入を行います。

こちらは危険です。

硫酸投入

硫酸投入前に行うことをまとめます。

これはとても大事です。

  • 硫酸タンクの量が投入量以上保有されていること
  • 反応器の液面が水の投入量とほぼ同じこと(撹拌変動分を除いて)
  • 硫酸ラインを他のラインで使用していないこと
  • ジャケットに冷却水を通水していること

投入前後の液面管理は当たり前のことですが、当たり前に確認しましょう。

硫酸の希釈に伴って希釈熱が出ますので、ジャケットに冷却水をちゃんと入れましょう。

水を入れた後に冷却水を通水した場合は、反応器内の温度が下がるので分かりやすいです。

いよいよ硫酸の投入です。

以下をすぐに確認していきましょう。

  • ガスラインから硫酸がミストとなって放出されていないこと
  • 流量計の指示値が初期はゼロであること。投入時の指示値設計通りであること
  • 流量計の積算値が徐々に増加していること
  • 温度計の指示値が上昇していき、どこかで落ち着くこと
  • 液面計の指示値が上昇していること

温度計の指示値が特に大事です。

温度は上昇していくのが当たり前です。

希釈熱と冷却熱のバランスを考えると

  • 硫酸投入初期 希釈熱>冷却熱
  • 温度ピーク時 希釈熱<冷却熱
  • 後期     希釈熱=冷却熱

というように、冷却熱は増減します。

この温度ピークをちゃんと見て、温度が下がっていかないと非常に危険です。

冷却熱は槽内の温度とジャケットの温度の温度差に比例するという、熱量の公式を思い出しましょう。

希釈熱は硫酸の投入速度で決まりますので、流量計で監視して流量計の弁開度調整を行いましょう。

調整弁で流量計と組み合わせるのが楽です。

希釈熱が少なかったとしても、ガスラインから硫酸ミストが飛んでくる場合があります。

配管口径はできるだけ大きくとってミストを分離するようにしましょう。

硫酸の雨が降ってくると考えると、恐ろしいです。

そうして流量計の積算値が指定値に到達すれば、流量計の弁が閉まることを確認しましょう。

そのあと、一定時間経っても反応器内の液面が増加しないことを確認して終了です。

材質

用途にもよりますが、材質は以下のようなプランが考えられます。

硫酸が98wt%の濃硫酸で常温という前提で、SGP配管の選定をしています。

希硫酸は熱もそれなりで濃度も薄いので、ガラスライニングが無難でしょう。

最後に

濃硫酸を希硫酸に希釈するための設備構成と運転上の注意点を解説しました。

普段考えることが少ない機電系エンジニアこそじっくり考えたい問題です。

多量の水の中に硫酸を少しずつ投入していくことが最大のポイントです。

反応器・配管・計器など考えることが多数あります。

この記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

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