化学プラントをスクラップビルト「すべき理由」と「できない背景」

工場プロジェクト

NEONEEETです。 

このプラント、もう50歳。

いい加減スクラップビルドしないと・・・。

この記事は、化学工場の機電系設計者・プラントエンジニアを対象にしています。

この記事を読むと、化学プラントをスクラップビルトすべき理由とできない背景を知ることができます。

化学プラントをスクラップビルト「すべき理由」と「できない背景」

化学プラントをスクラップビルトすべき理由とできない背景を紹介します。

スクラップビルドとは壊して建てるという意味ですね。

化学工場では1つの建物を50年以上も使い続けているケースが多いですが、

限界がいつなのか分からずに使い続けてしまうことが多いです。

短期的・局所的な視点では合理的に見えますが、視野を広げると大きなロスがあることを気が付いて判断できる人は意外と少ないです。

それは、もう、会社の判断としか言いようがなく。

ユーザーエンジニアとして長期的な視点で考える場合に、プラントのスクラップビルトの考えはちゃんと持っておきたいですね。

スクラップビルドすべき理由

まずはスクラップビルドすべき理由を解説します。

「変化」を使う化学工場なのだから、スクラップビルドという「変化」をするのはある意味当然です。

それだとあまりにあっさりした回答なので、もう少し掘り下げましょう。

建設プロジェクトの技術力が無くなる

スクラップビルドをしないと、建設プロジェクトの技術力はなくなります。

スクラップビルドは最低でも10年に1回はすべきでしょう。

エンジニアの技術者としてのキャリアを考えれば分かります。

  • 20代:担当として限定された部分をこなす
  • 30代:プロジェクトの実務全般をこなす
  • 40代:プロジェクトの全体指揮・各種調整を行う

50代になって、スクラップビルドの実務をする人は例外的な扱いですからね。

スクラップビルドの関われる期間は長くても30年。

10年に1回は担当して経験を積み、それを伝承していくということが

会社の技術力に繋がります。

Off-JTも大事ですが、OJTでないと伝わらない技術があるのも確かです。

私のように20年近く、スクラップビルドに関わっていない人もいますからね。

気が付いた時にはプロジェクト素人の集団だった。

ってことになると、その会社は悲惨ですね。

外部エンジニアの言いなりになって高い授業料を払わないといけません。

非合理的なプロセス開発を迫られる

スクラップビルドをしないと、非合理的なプロセス開発をしないといけません。

本当なら反応器2つを直近に置きたいのに、最適な組み合わせの反応器がないために、

遠くの反応器どおしを配管で繋がないといけない場合があります。

この場合、計器点数が増えたり、送液ができるかどうかという安全性を余計に考えないといけません。

粉体系なら遠心分離機と乾燥機をクローズ系で扱うかオープン系で扱うかという選択も迫られます。

オープン系でしか扱えないプラント構成なら、粉体の安全性を考慮しないといけません。

水系のwetケーキでしか扱えないって意味ですね。

設備の構成を簡単に変更できるのであれば問題ありませんが、

建築確認申請

という大敵がそこには待っています。

この規制のせいで、建屋の継ぎ足しが基本的にできません。

建屋の増築をする場合、建築物の構造計算をゼロからやり直さないといけませんが、

既存の建屋が現在の建築基準法の基準に適合できるはずがありません。

そうするとスクラップビルドをしないと対応できません。

プロセスエンジニア泣かせです。

チキンレースになる

スクラップビルドをしないとチキンレースになります。

端的に言うと

いつ壊れるか分からないプラントをだましだまし使い続ける

という意味です。

建屋が傾いて、設備が壊れて、大災害

こんな可能性は常に考えないといけません。

自然災害ならまだ許容されますが、スクラップビルドをしないことで建屋の事故が起きれば「人災」ですからね。

担当者は自分の人気の時だけは事故が起きないように

そう願っています。

これはプラントの課長などだけでなく、工場長なども同じ考えです。

サラリーマン経営者と否定されますが、環境を考えると否定ばかりもできませんね。

スクラップビルドできない背景

スクラップビルドすべき理由は明確ですが、できない背景があります。

こちらもまた明確です。

コストが高い

コストが高いから、スクラップビルドできない。

当然ですよね。

スクラップ自体にコストが掛かりますが、ビルドはもっと掛かります。

この費用をペイできるだけのメリットを提示しないといけません。

しかし、そもそも潰れかかっているプラントで競争力がない製品に対して、

利益を下げる方向の投資メリットの提示は難しいでしょう。

だからこそ、スクラップビルドは進みません。

後処理の問題

スクラップビルドには後処理の問題があります。

プラント周囲のという環境面の問題

コスト的にも問題ですが、そもそも廃棄できる土でない場合もあります。

環境規制に適合しない不純物が入った土で処分ができなかったり、

横持ちして仮置きするための場所が無かったり・・・。

事情は様々ですが、後処理の問題を敬遠してスクラップビルドを止めようとする勢力は存在します。

緊急でない

スクラップビルドはそもそも緊急ではありません。

プラントの競争力を高める合理化や新製品の導入に比べれば、投資という意味では緊急性は低いです。

チキンレースと関係して、

もうちょっと我慢してくれ

というセリフで先送りされていき、何十年と経過する性質があります。

スクラップビルドは「緊急でない」けど「重要」であり、

経営者はそういう箇所にこそメスを入れるべきと教わるのですが、

経営者こそがスクラップビルドから目を背けるのが現実です。変ですよね。

最後に

化学プラントをスクラップビルトすべき理由とできない背景を紹介しました。

建設プロジェクトの技術が育たない・非合理的なプロセス開発・チキンレースが解決しないというのが理由です。

コストが掛かり、後処理が面倒で、緊急でないために、スクラップビルドは進みません。

この記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

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