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化学機械

渦巻ポンプの基本を機電系エンジニア初心者向けに解説

ポンプ機能と役割 化学機械
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ポンプ(pump)の機能と役割について解説します。

化学プラントの機電系エンジニアを目指す新入社員向けです。

基礎的な部分ですので簡単だと思って意外と見落とす部分です。

設備設計者なら、その次のステップとしてのポンプの種類、例えば渦巻ポンプ・キャンドポンプ・マグネットポンプという話であったり、ポンプの性能曲線であったりという部分に目が行きがちです。

設備保全者なら、ポンプの構造とかメカニカルシールなどの部品に、目が行きがちです。

基礎こそ大事ですので、言語化できるレベルまで理解したい部分です。

ポンプ(pump)の機能

ポンプの機能を解説します。

ポンプは液体を送るため

ポンプはそもそも何のために使うでしょうか?

とてもシンプルに書くとこうなります。

液体を送るため

製造業で多くの物を動かすことを考えましょう。

一般には組立工場のライン中にある物を動かすイメージではないでしょうか。

例えば食品工場でローラーコンベア上にたくさんの物が載って動いているシーンであったり、クレーンなどで機械装置や部品が動いているシーンであったり。

これらは全て固体という意味で共通しています。

でも、物という意味では固体以外にもありますね。

液体や気体です。

この中で液体を送る役割がポンプです。

なお、気体はファン・ブロアー・送風機などで送ります。

圧力を加える

ポンプは液体にエネルギーを加えて、高圧の状態にする設備です。

ポンプエネルギー

ポンプは、モーターで発生した回転エネルギーをインペラに伝える役割があります。

回転しているインペラに液体が接触すると、液体は遠心力で四方八方に飛び散ろうとします。

雨が降っている日に、傘をさして回転させたら雨が飛び散りますよね。これと同じことが起こります。

ケーシングでインペラ周りを囲ってしまうと、液体は飛び散る先が限定化されます。

逃げ先が少なくなった液体は、圧力を高くすることで外に出ようとします。

こうしてポンプ出口で高圧・高速の状態の液体を作ることができます。

ポンプにはいろいろな種類がありますが、遠心式と呼ばれる99%以上のポンプはこの原理を使っています。

他の型式では遠心力という原理は使っていませんが、圧力を高くするということは同じです。

配管で輸送

液体を送るためにはポンプ以外に最低源必要な部品があります。

それが配管です。

配管は液体や気体の流れを制御するために使います

配管がない状態でポンプで高圧の状態を作っても、大気中に拡散します。

これを所定の場所に漏れなく送るためには配管が必要です。

配管でルートを限定して、一定の流量の液体を送ろうとするために、圧力損失が発生します。

これは液体や気体に特徴的。

逆に固体なら配管で制御する必要はありませんね。

配管内を液体や気体が通っているだけなので、物の動きが見えないのが化学プラントの分かりにくい点です。

化学プラントでのポンプ(pump)の役割

化学プラントでのポンプの役割を解説しましょう。

プロセス

ポンプはプロセス用途で使います。

プロセスとは化学プロセスのことを指しますが、化学反応を行うラインのことです。

化学反応は一般に液体で反応をします。

この液体を特定の場所に送るためにポンプは大活躍。

反応のほぼすべては液体で行うため、多くのポンプと付帯する配管が必要です。

化学反応で使う液体は様々ですので、配管の数も多くなります。

同じ配管で複数の液体を流してしまうと、汚れてしまいますよね。

化学プラントで多くの配管が通っているのは、多くの液体を送るため

化学反応では腐食性の高い液体を扱う場合や、引火性の高い液体を扱う場合もあります。

そのために汎用的なステンレス製の渦巻ポンプ以外に高級金属のポンプを使ったり、シールレスポンプを使ったりします。

その種類がいくつもあるというところがポイントですね。

ユーティリティ

ポンプは化学プラントではユーティリティを送るためにも使います。

ユーティリティとはと考えて良いです。

水は化学プラントでは実に様々な用途で使います。

  • 反応で発生した熱を取り除く冷却するため
  • 蒸発したガスを凝縮して液体に冷却するため
  • 反応で生成した物質を洗浄するため
  • 製造で使用した設備を洗浄するため
  • 気体や液体が外部に漏洩しない水シールをするため
  • 軸封で発生する熱を冷却するため

化学プラントでは反応で熱が発生して、気が付いたらどんどん熱が上がって燃えてしまうものがあります。

こういう危険な物を制御して、安全に運転するためには水が欠かせません。

発電所などでも同じです。

この水はプロセスで使う液体よりも量が圧倒的に多いです。

圧倒的な量の水を適切な場所に送るためには、ポンプは欠かせません。

流量が多いために渦巻ポンプを使うことが多いです。

水を送るポンプが壊れてしまうと、安定な制御ができなくなります。

停電などでポンプが壊れたら、プラントは即停止する手順を決めるのが普通ですね。

水のポンプが止まると工場は止まるので、ポンプはとても大事!

真空

ポンプは液体に圧力を加えることが基本ですが、圧力を下げる真空目的で使うこともあります。

これは真空ポンプと呼ばれるもの。

送るものが液体ではなく気体で、圧力も上げるではなく下げる方向なので、正反対と考えても良いでしょう。

ここを深く掘り下げると混乱します。

液体の加圧用のポンプが一般的ですが、真空ポンプもポンプというカテゴリということだけに留めます。

参考

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最後に

ポンプの機能と役割と化学プラントの場合で解説しました。

液体を高圧にするために使うのが普通です。

化学プラントでは化学反応のために多くの液体を使い、漏れたら大事故に繋がるため配管でルートを作ります。

そこに液体を送るためには液体を高圧にすることが必要で、ポンプが大活躍します。

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