【屋外タンク】大気圧貯槽の板厚計算の実際

材質化学機械

NEONEEETです。

大気圧タンクは標準図を使えばOKです。

板厚計算やったことありますか?

この記事は、化学工場の機電系設計者・プラントエンジニアを対象にしています。

この記事を読むと、大気圧貯槽の板厚計算を知ることができます。

大気圧貯槽の板厚計算

今回の記事では、大気圧貯槽の板厚計算の実際を紹介します。

板厚計算は薄肉円筒の強度計算そのものです。

とはいえ、部材によって考え方が多少異なります。

これを知らずに、過去に設計された標準図を使っている現代のエンジニアは

どうやって板厚を考えているか疑問に思う人もいるでしょう。

私が働く会社のように、図面しかなく計算結果が残っていない会社も多いでしょう。

大気圧貯槽のモデル

今回のテーマである大気圧貯槽のモデルを以下に示します。

大気圧貯槽

ここで強度計算というと、胴部の強度計算が該当します。

薄肉円筒の強度計算式を使います。

$$σ=\frac{PD}{2t}$$

  • σ:胴部に掛かる周方向の応力 100MPa(引張強度400MPaを安全率4で割ったもの)
  • D:胴径
  • P:胴内部に掛かる圧力
  • t:胴の板厚

例えば、D=2,000mm、t=4mmの場合は、安全に使用できる許容圧力は

$$ P=\frac{σ2t}{D} =\frac{100*2*4}{2000}=0.4$$

となります。0.4MPaというと結構耐える気がしますね。

胴は内圧には強いですが、外圧には弱いです。

JIS B 8265にも計算式が載っていますが、今回のケースでは

0.1~0.2MPa程度の外圧に耐えることが可能です。

ほぼfull vacuumまで耐えることが可能。

液深を考えた計算

タンクが空の場合の胴の強度計算は上の式で間違っていません。

しかし、運転をしていると実際には液がタンク内に充満しています。

この液圧分を考慮しないといけません。

液注

ここではまずは、タンク高さ2mの場合を考えます。

比重は1とします。

危険物第四類のタンクであれば、液比重は1より小さく、水の比重1で考えると良いです。

液圧は\(ρgh\)で定義されますので、

$$ρgh=1000*9.8*2/100,000≒0.02$$

の圧力が追加されます。単位はMPaです。

0.4MPaの内圧まで耐えるタンクで、液の圧力は0.02MPaだけ追加される

こう考えると、液の圧力は大したことがないことが分かるでしょう。

底板は1サイズアップ

胴板の計算は強度計算式から導出が可能ですが、屋根板や底板は違います。

まずは底板を見てみましょう。

底板

底板は胴板より1サイズアップ

これが基本の考え方です。

強度計算から導かれるわけではありません。

溶接の問題です。

溶接

胴板が4mmの場合、底板は6mmで考えます。

これは胴板と底板をすみ肉溶接で繋ぐから。

底板を胴板と同じ板厚にしても問題ないはずですが、

すみ肉溶接を4mmで行う場合に、底板を分厚くしておく方が熱影響を受けない部分が増えて安心です。

もちろん、胴板の荷重を直接受ける底板部分を厚くして変形を抑えるという思想もあります。

屋根板は胴板と同サイズ

屋根板は胴板と同サイズにします。

屋根板に掛かる荷重は小さいはずですが、胴板よりも小さくするには勇気がいります。

それならば同じ板厚で良いだろうという発想。

配管荷重や作業床の荷重はありますが、微々たるものです。

屋根板に掛かる荷重を1ton(配管や作業床)として、胴径2mの場合、屋根板に掛かる圧力は

$$\frac{1000*9.8}{3.14/4*2^2}\frac{1}{100,000}=0.03$$

という小さな圧力です。0.03MPaだと液の圧力と同じくらいですね。

胴板に掛かる外圧と、円板に掛かる圧力とで許容応力は違いますし、

コーンルーフ型の屋根を円板と同じとみなすのも危険ですが、オーダーはズレません。

計算に頼ることなく、「胴板と同じ板厚」という分かりやすさの方が大事でしょう。

最後に

大気圧貯槽の板厚計算を紹介しました。

胴径2m板厚4mmなら、内圧0.4MPa・外圧0.1MPa程度まで耐えます。

液圧は0.02~0.1MPa程度の内圧であり、計算上の影響は少ないです。

底板は胴板より1サイズアップ、屋根板は胴板と同サイズ。

この記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

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