保全の管理は専用のシステムなんて使わなくてもExcelで可能なはず!
そう思っていた時期が私にもありました。
実際、私が担当するなら自信があります。
Excelでも初歩的な考え方ができれいれば十分です。
では、その初歩的というのは実際どういうものでしょうか?
設備保全の管理の一部を切り取って紹介しましょう。
理想的な保全管理表
保全管理の理想的なパターンを紹介します。
1つのファイルにまとまっている
これができれば保全管理は劇的に容易になります。
例えば、以下のような設備保全管理表を作ります。
設備保全は、例えば以下のサイクルを回します。
- 年初の予算設定
- SDMで実施する項目の候補を抽出
- SDMで実施する項目を決定
- SDM後の実績評価
- 次年度の予算設定
PDCAサイクルの基本形のようなもの。
管理指標は、金額・点検項目・周期などいくつかありますが、金額が分かりやすいです。
金額の情報で予算・SDM・実績を並べるのが基本だと思います。
この例では、以下のことが分かります。
- ポンプは予算50万円で計画通り実行して、精算結果35万円でした。
- タンクは予算30万円だったが、計画を中止した。
- 熱交換器は予算を設定していなかったが、予定外に実施して40万円を設定、精算結果45万円だった。
合計金額が簡単に計算できるので、次年度の設定も容易ですよね。
Excelで実施すると、こういう評価が簡単にできますよね。
問題なのは、機器点数(管理する数量)が多かったり、年数が多かったり、物量の問題。
現実によくある保全管理表
良くない例として現実によくある保全管理表を示します。
予算と実績の管理表が別のファイルだったりします。
Excelのデータ数が多くて見にくいからと、ファイルを分けてしまうことで悲劇が発生します。
予算管理では当初の計画しか載せず、実績管理では実績しか載せません。
計画から何を変更したか履歴が分からなくなります。
予算と実績の間にSDM管理表なるもので、間を繋げばいいのですが、別ファイルにすることで転記漏れが起きます。
関数を使ったり、適当なプログラムを組めば済むと思う方も居るでしょう。
保全という組織では、そういうスキルを持った人が居なかったり、重要性を理解してなかったりします。
データというより文書としてExcelを扱う感じ。
当然ですが、抜け漏れがいっぱい発生して、管理がボロボロになっていきます。
それでも、結果だけを見れば、予算合計80万円に対して実績合計80万円で何も問題が無いかのように見えてしまいます。
自由過ぎると良くない
Excelは自由度が高い素晴らしいソフトです。
ですが、実際に使う人がそれを意識していないと、とても使いにくいものに一瞬で変わってしまいます。
保全でも長期的な管理をする人には、Excelの基礎は習得してもらいたいです。
多くの保全の人を見てきましたが、現場対応をする保全と、長期的な管理をする保全とに、役割が分かれている方が都合がいい気がしています。
もしくは、誰でも使えるようにExcelの入力を規制するか、専用のソフトを作り上げるか。
何かしら手を付けずに自由にしてしまうと、人によって差が生じてきます。
保全の運営は、アナログな部分で問題が多いと思っていますが、保全管理表はその代表例です。
一度作ると変更が面倒
Excelでも専用ソフトでも、保全管理システムを一度作ってしまうと、後で修正するのはとても大変です。
手入力で処理する項目がとても多いです。
最初に要件をしっかり定義して作って入れば問題ないでしょうが、それも難しく、後で修正するのもとても大変。
- 世間一般に知られている安価なソフトを導入しようものなら、セキュリティなどの問題を指摘され、
- 他事業所など、会社全体で使える仕組みでないと、ローテーションで課題があると言われ、
- 自分たちで仕組みを作り上げることができない
こうして、アナログな使い方でペーパーレス化だけの目的のExcel管理台帳ができ上がっていきます。
しっかり作り上げるだけでも、大きな業務改善になるでしょう。
参考
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最後に
Excelで設備保全の管理をするときには、PDCAが分かるように一元管理するのが基本です。
データの扱い方や操作など基本的な素養が無いと、Excel管理はまたたくまに崩壊してしまいます。
フィールド担当でないオフィス担当の保全は、とても意識しておきたいことですね。
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