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水たまりをゼロ化するために|化学プラントの安全

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腐食防止のために工場内の「水たまり」(puddle)について考えます。

プラントを長い間運転しようとすると、腐食性の高い薬液に対する化学設備の材質選定が話題になりやすいです。

しかし、本当の問題は圧倒的多数の鉄の材料

長期的なスパンで考えると、配管のような取り換え可能な部品よりも、設備や架構などの取り換えが難しい設備が最大の問題になります。

これらの設備は更新するにも膨大な金額が発生します。

少しでも寿命を長持ちさせようとしたら、水たまりを防ぐことはかなり効いてきます。

ちょっとした設計の工夫だけで、できることをまとめました。

ここまで気を配れるようになると、機電系エンジニアとしては一人前だと思います。

水たまり(puddle)は危険

水たまりは化学プラントでは危険なものという扱いをしています。

一般に水たまりというと写真やインスタ映えのような良い印象をもつものでしょう。

化学プラントでは一転して危険なもの扱いです。

例えば

  • 水たまりの上を歩いて滑る             → 転倒災害
  • 綺麗な液なのか腐食性のある液か分からず手で触れる → 被液災害
  • 水が鉄やステンレス等の金属を腐食         → 設備破損

というように、リスクとなりえます。

だからこそ、水たまりはできるだけゼロにするようにしましょう。

これができるのは建設設備の設計段階だけです。

機電系エンジニアの腕の見せ所でえす。

工場内で水たまり(puddle)が起きる場所と対策

工場内で水たまりが起きる場所とその対策を解説します。

床面は典型的な水たまり場所です。

危険物製造所や屋外タンクなどはその構造として、液を溜める(外部に意図的に放出しない)という構造が求められています。

一か所に集約するための工場を付けて、水たまりを無くしましょう。

床勾配(puddle)

コンクリートフロアが平たんに作られると、水が溜まってしまい厄介です。

勾配をちゃんとつけるようにしましょう。

コンクリートはアルカリ性なので、酸性の液が溜まっていたら腐食が進む可能性があります。

鉄板床の場合も、梁や根太等の工夫で勾配を設置することは可能です。

鉄の板とはいえ腐食は気が付かないうちに進んでいきます。

床面は勾配をつけて、溝に水を集める

階段

階段も水たまりポイントの1つです。

階段(puddle)

階段や踊り場は何も考えずに平坦な床にしがちです。

でも、雨が溜まって抜けなくなっているプラントはいっぱいあります。

鉄板がどんどん腐食していきますね。

その都度、更新するというのは避けたいです。

この場合は、床と同じく勾配をちゃんとつけて、末端部に水抜き穴を設けましょう。

これがあると、水たまりは劇的に少なくなります。ちょっとした工夫ですね。

階段は勾配をつけて、末端に水抜きを付ける

ポンプ基礎

ポンプ基礎も水たまりポイントの1つです。

ポンプ基礎(puddle)

こんな風にポンプ基礎はチャンネルでくみ上げることが多いでしょう。

チャンネルを単に四角形にくみ上げて、その上にポンプを置いて終わり。

こういう方法を取ると、チャンネルベース内に水が溜まります。

対策は、床面やコンクリート基礎に水抜き穴を設けると良いでしょう。

ポンプ基礎水抜き穴(puddle)

水抜き穴は分かりやすく、付ける方が良いです。

チャンネルベースのどこか1辺に、1か所だけでも付けていれば水抜きの機能は果たしそうですが、失敗する可能性があります。

コスト差があるわけでもないので、基礎の1辺を貫通させる形で水抜きを付ける方が良いでしょう。

上の図の例では2か所水抜きができることになりますね。

チャンネルベース上に穴をあけても、普通は完全に水は抜けません。

チャンネル水抜き(puddle)

細かいですね。

ポンプ基礎は、コンクリート部に水抜きを思い切って付ける

タンク天板

タンク天板も水たまりポイントです。

平板天板を考えてみましょう。

タンク天板はフランジで固定します。

タンク天板(puddle)

この場合、天板には当て板を付けることになるでしょう。

というのも、本体側は規格フランジを使いますが、天板は薄板を使うからです。

ボルトの締め付け力で天板が変形するのを防ぐために、当て板を付けて対応します。

この当て板部が水たまりポイント。

対策は天板の当て板に水抜きを設けます。

タンク天板水抜き

上から見て、最低でも4か所には水抜きを設けましょう。

というのも、天板にはノズルがいっぱい付いて天板が微妙に変形するからです。

ノズル自身が水たまりの要素ともなります。

確実に抜けるようにするには4か所くらいは水抜きが欲しいですね。

タンク天板は、当て板に4か所程度水抜きを付ける。

スチームトラップ排出口

スチームトラップ排出口も水たまりポイントです。

スチームトラップ(puddle)

スチームトラップの排出口であるドレン水は、地面に返すことが多いでしょう。

地面の水はけが悪いと自ずと水たまりができます。

パイプなどで集水枡をつけると、水たまりのエリアを減らす効果があります。

対策としてはトラップの排出量の見直しと、枡の大きさでしょうか。

トラップが壊れていたり、運転条件とマッチしていないと排出量が多くなります。

地面に流さずに、排水溝に集める方が良い場合もあるでしょう。

排出口が通路以外のエリアならあまり気にならないでしょうが、対策を取ろうとしたら・・・という条件付きです。

重要度は高くはありません。

スチームトラップ排出口は、排出量の見直しと枡の設計

参考

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最後に

化学プラントの水たまりが起きる場所とその対策を解説しました。

水たまりは化学プラントでは危険リスクの1つとなります。

床や階段では勾配を付け、ポンプ基礎やタンク天板は水抜きを設計段階で設けましょう。

こういう細かい点に気が付くと一人前の機電系エンジニアですね。

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