PR
化学機械

渦巻ポンプで初心者が理解したい部品名称

渦巻ポンプ部品 化学機械
記事内に広告が含まれています。This article contains advertisements.

渦巻ポンプ(centrifugal pump)の部品名称について簡単に紹介します。

プラント設計でも保全でも渦巻ポンプとは必ず関わります。

流量・揚程・材質などのメインスペックも大事ですが、機械に関わるエンジニアとしては構造は知っておくべきです。

何も知らなくても手配屋として仕事をするとしても、です。

渦巻ポンプはいろいろな教育ツールがありますが、初心者には情報量が多くて分かりにくい(何から理解していいか重み付けがない)ものが多いです。

そこで、初心者でもここだけは知っておきたいという部分に限定して解説します。

渦巻ポンプ(centrifugal pump)の構造

渦巻ポンプの構造を簡単に整理しましょう。

ポンプモデル(centrifugal pump)

ポンプはインペラを回してケーシング内の流体にエネルギーを加える装置です。

動力となるモーターとインペラを繋ぐためにシャフトがあり、シャフトを回すためにベアリングがあります。

この基本構造は最優先で理解しましょう。

ポンプ内部品

ポンプの全体構図を理解したうえで、部品をもう少し細かく見ていきましょう

ケーシング

ケーシングはプロセス流体が通る部分です。

ケーシング内部にインペラがあって、インペラの回転エネルギーがケーシング内の流体に加えられて、流体の圧力が上がります。

これがポンプが果たすべき最大の仕事です。

ケーシングはインペラを中に入れるために、以下のようなイメージの構造をしています。

ケーシング(centrifugal pump)

つまり、ケーシングは2つの部品に分かれています。

ポンプ側が前・モーター側が後という前後関係で捉えるので、それぞれフロントケーシング・バックケーシング(リアケーシング)などと表現します。

名前を知っているかどうかは重要ではなく、前側・後側という2つの部品であることが大事です。

これらの部品を挟んだときに、液が漏れないようにするためにはシール材が必要です。

Oリングガスケットを使います。

また構図を綺麗な絵で書くことは、ユーザーエンジニアには必要ありません。

それぞれの部品の機能がイメージできればOKです。

メカニカルシール

メカニカルシールは言葉通りシールです。

メカ(centrifugal pump)

メカニカルシールは回転するシャフトと固定されているケーシングの間のシールです。

シャフトは動かないといけないが、ケーシングは固定しないといけない。しかもその間の部分で、漏れが起きてはいけない。

これを実現するには、専用のシールが必要です。

漏れを塞ぐというために、適当に詰め物をするだけでは上手くいきません。

回転するシャフトの摩耗で詰め物が削れていきます。

それを解決する1つの手段がメカニカルシール。

シャフト・メカニカルシール・ケーシングという3つの部品で構成されると考えましょう。

ただし、メカニカルシールはシャフトを摩耗させるので、上の図のようにスリーブを付けることが多いです。

特に耐食性が求められる材質であれば、ほぼ必須でしょう。

スリーブとシャフトは例えばキーなどを使って、両方が同時に動くようにします。

シャフトは壊れないようにスリーブとキーを使うと、スリーブとキーが壊れていきます。

これを定期交換して長く使っていく発想ですね。

メカニカルシールなどのシール部品を使わない、シンプルな構造の渦巻ポンプも世の中には存在します。化学プラントの場合では、基本的には使わないのでメカニカルシールありきとして記載しています。

キーは、インペラとシャフトを繋ぐ部分にも登場します。異なる2つの回転部品を連結させたり分割させたりするときに、よく登場する部品です。メンテナンスの必須部品の1つですね。

駆動部部品

ポンプ内の部品が分かればプロセス的には十分ですが、設備的には不十分です。

ポンプの外側に機械的な部分がありますので、確認していきましょう。

ベアリング

ベアリングは回転機械に必須の部品です。

渦巻ポンプでも小型の典型的な機種は、片持ち構造をしています。

つまり、モーターは固定されているけども、インペラはどこにも支持されていない構造です。

インペラという重い部品が先端に付いているシャフトは撓みやすく、ポンプの性能を悪化させたりケーシング外への液漏れを起こすことに繋がります。

そこでベアリングの出番。

ベアリング(centrifugal pump)

ベアリングケースの中をシャフトが通っており、ケースの前端・後端にベアリングをセットします。

ベアリングとケースで囲まれた空間に潤滑油を入れます。潤滑油はグリースの場合もあるでしょう。

水や空気中の塵などがベアリングに入ると故障の原因となるので、ベアリングの大気側にはオイルシールでガードします。

さらに簡単な構造では、単独のベアリングすらないポンプも存在します。この場合は、モーターのベアリングだけでインペラを支えることになります。

継手

継手はシャフトとモーターを繋ぐ部品です。

ポンプメーカーの立場で考えると、モーターは基本的には購入品です。

購入品の部品と自社の部品を繋ぐためには、何かしらの機構が必要。

軸継手(centrifugal pump)

そこで登場するのが継手です。

簡単なフランジ型の軸継手の理解で良いでしょう。

シャフトと継手という2つの部品を繋ぐために、キーを付けます。

継手やキーも消耗部品となりますので、メンテナンス時は注意しましょう。

専門用語は不可欠

プラントエンジニアの仕事をするうえで、強調したいことの1つに専門用語があります。

専門用語を正しく使うことは、日々の業務でとても重要です。

覚えることが面倒という人もいますが、使っているうちに馴染みます。

逆に使うことを嫌がって、写真での表現だけで何とかしようとすると、結局は意思伝達が遅くなります。

理解速度を遅くする要因にもなります。

いろいろな用語がありますが、特に重要な用語は意識して使っていきましょう。

参考

関連記事

さらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

最後に

渦巻ポンプの中で特に重要な部品名称について解説しました。

ケーシング・インペラ・シャフト・ベアリング・モーターなどの基本要素と、それらの内部構造の重要部分を紹介しました。

キー・スリーブ・シールなどの用語はメンテナンスで大事になります。

積極的に使って自分の言葉として使えるようになりたいですね。

化学プラントの設計・保全・運転などの悩みや疑問・質問などご自由にコメント欄に投稿してください。(コメント欄はこの記事の最下部です。) *いただいたコメント全て拝見し、真剣に回答させていただきます。