機電系エンジニア(plant engineer)として、新卒よりも転職が今後は有利になっていきそうです。
コロナ禍が始まったくらいから、状況が劇的に変わっている感じがしています。
大手化学工場だけでなく他のプラントエンジニアリング会社も似たような感じだと思いますが、大手化学工場ですらこういう感じだと思ってもらうと良いかもしれません。
逆に化学工場の人事の方がこの辺りの危機感を持っていない、持っていても対応を取っていない感じです。
会社が方針を変える前に環境はすでに変わっていて、個々人が考え方を変えていかざるを得ないでしょう。
新卒応募が無い
2023年現在、化学プラントの機電系エンジニアを志望する学生は極端に減っています。
数年前なら10人を越える程度はあった応募が今では1桁数人レベルというところも。
募集枠が完全に埋まらなかったから再応募、という世界ではなくいくら募集しても工場見学しても面接に来てくれない、というような状況のようです。
大卒以上の機電系なら誰でも良い
数年前なら大卒以上の機電系エンジニアの中から、工場でやっていけそうな人を選別する作業が面接では行われていました。
2023年の現在ではこの作業はほとんどなされていません。
極端に言うと、機電系のバックグラウンドがあればOK。
知識の有無、研究で行ってきたこと、学校の成績、ほとんど問われません。
機電系の学部にいたらOK。
これくらいまでハードルが下がっています。
有名大学でも、コミュニケーション力というものが微妙であれば、お断りなんていう時代は10年位前まではちゃんとありましたが、今では考えられませんね。
県外から来ない
県内からの募集にこだわる時代は完全に終わりました。
県外の人に対して募集を掛けてもかなり難しい状態です。
かといって、全社採用のような勤務地を異動する前提の機電系エンジニアは、もっと集まらない感じです。
勤務地が基本的には変わらないオーナーエンジのメリットが使えないのが現状です。
転職組が新卒扱い
新卒者の数が少なくても、定年で引退した人の分の穴埋めは必要になります。
ここで重要な戦力は転職組。
コロナ禍以降、急速に進んでいます。
35歳でも新人
転職の場合、第二新卒のようにそれなりの若さを求められると思うでしょう。
しかし、化学プラントの場合はそうも言っていられません。
35歳くらいでも普通に新人として迎え入れます。
入る会社を間違えたという新卒者にとってはチャンスでしょう!
逆に35歳までのバックグランドを考慮して、高いポジションとして受け入れてしまうと、現実とのギャップに悩む転職者が出ています。
Uターン組を狙う
転職組の場合、Uターン組などが最大の候補になります。
例えば中国地方の場合、山口県に工場があっても、島根県に実家がある人などをターゲットにします。
Uターンで転職先を探している人は、ぜひとも化学プラントも候補に入れましょう。
知識も経験もあまり問わない
転職組の場合、知識や経験を問われると思いがちですが、そうとも言えません。
プラント機械に関する知識がなくても、以下のような条件ならかなり有利に働きます。
- 製造業で何かしらの技術系の仕事をしていた
- 他社で数年間プラントエンジに関する仕事をしていた
- 学生時代に機電系の専攻をしていた
大学卒業後プラントエンジに関する仕事をずっとしていて、35歳で化学プラントに転職するという場合には、プロパーと大して変わらない扱いになります。
多少のハンディがある状態でも、保全の場合なら不利に働くようなことはないでしょう。
新入社員も化学プラントに関する知識はあまり問われませんが、転職でもほぼ同じです。
唯一、社会人経験としての責任感や心構えだけは欲しいと思いますが、プロパー社員でも培われていないので、極端でない限りは問題ないでしょう。
メンタルが強いほど有利
新卒者でも転職者でも最も重要なことがあります。
それがメンタル。
メンタルヘルスなど最近では会社で真剣に取り組んでいることもあり、露骨な例はほとんど見られなくなっています。
メンタルヘルスなど最近では会社で真剣に取り組んでいることもあり、露骨な例はほとんど見られなくなっています。
それでもtwitterなどを見ていると、これはちょっと…という例はまだまだありそうな感じです。
大手企業ならこの辺りはしっかりとしていますので、メンタル的に不安があると思っている人でも採用される確率は高いです。
さらに、実務をしだしてからでもフォロー体制はそれなりにあります。
とはいえ、メンタル的に強い人はそれだけで他の人よりも、圧倒的に有利に働きます。
面接でも最も重視しているポイント。
参考情報
以下、機電系エンジニアや保全に関する悪いイメージがあまりにも多いので、転職を考える人にとって参考になる情報を紹介します。
保全はきつい?
一般には保全はきついと言われます。
- 自分で工具を使って分解整備をする
- 土日夜間の作業も多く、残業も多い
- 製造の言いなりになる
そういう保全ももちろんありますが、大手プラント会社だとそうでもありません。
弊社の場合は、工具は使わないし・残業も1~2時間。製造の言いなりになる部分はあるが、割と歯止めが掛けられる。
という状況です。
それでも一般的な保全イメージに釣られて、応募する人が少なくなっています。
相対的比較はクラスメートで判断
メンタル・知識・コミュニケーションという部分や、自己評価がかなり難しいと思います。
これは学校時代のクラスメートを見ていると良いでしょう。
30人~40人いれば、その中で自分がどれくらいの位置にいるかは大体分かります。
今回の記事で取り上げたレベルは、この下位10%くらいをイメージしています。
下位10%くらいのレベルにあっても採用される、というのが実態。
面接後にお祈りが来るという場合は、相当ということになりますね。
新卒を鍛えたい思想は変わらない
会社としては新卒を鍛えたいという思考は変わりません。
転職者を新卒のように扱うからと言って、転職者はそこに甘えてしまってはいけません。
少しでも早く周りに追いついて、一人前になれるように努力したいもの。
管理職になりたくないとか承認を期待しないで現状維持がいいとか、振り切ってしまう人も居るので転職組も悪い印象を抱かれてしまうかも知れません。
そうすると、その事業所で機電系エンジニアを確保すべきなのか外注すべきなのかという選択が生まれてきますので、極端な例はとにかく注意です。
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さらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
最後に
化学プラントの機電系エンジニアで新卒よりも転職が有利になっている状況を説明しました。
新卒応募者がとにかく少なくなっていて、転職に頼らざるを得ない状態です。
機電系のバックグラウンドさえあれば35歳でも余裕で転職可能です。
大手化学プラントなら給料も良いです。
問題はメンタルと勤務地でしょう。
化学プラントの設計・保全・運転などの悩みや疑問・質問などご自由にコメント欄に投稿してください。(コメント欄はこの記事の最下部です。) *いただいたコメント全て拝見し、真剣に回答させていただきます。
こんにちは、大手化学メーカーに機電系で入社するのものです
ねおにーとさんの記事と私の認識に乖離があると思いましてコメントさせていただきました
化学メーカーで新卒機電系は1桁しか応募が来ない、院卒は稀、県外からこない、機電系の知識があれば誰でも歓迎と記事では書いてありますが
私の内定会社の同期は機械系でも旧帝が半分より多いですし、長期インターンに参加した某素材会社でも旧帝がデフォルト、それどころが旧帝だろうが大量に集団web面接で落とされていると聞きました。私の会社に関しては新卒採用に苦労しているどころが、同大学院の同期で学校推薦を出していても一次面接で落とされてたり、自分がインターンで会った優秀だと思ってた人が落とされていたり、採用が難航している様子は見受けられませんでした。
化学メーカーにおける機電系の採用を一般化するのは危険だと思いまして連絡させていただきました。
参考までに