化学反応などタンク内にある液体をサンプリングすることは、一般的に実施されています。
サンプリングは例えば、マンホールを開けて手動で採取するイメージが多いですが、これは実はとても危険。
危険物を扱っている場合には、静電気着火の可能性があります。
タンク内に空気を巻き込ませずに、タンク内の液体を空気中に排出する。
手動のサンプリングの難しさを解説します。
柄杓方式の手動サンプリング
タンク内の液体を上部からサンプリングするには、柄杓方式が真っ先に考えられます。
アレを汲み取り式で行う時のイメージとそっくりですね。
アレの場合は、バキュームカーなどの機械式な方法が可能です。
プラント内で真空付きのホースをタンク内に入れるくらいなら、柄杓タイプの方が手軽でしょう。
サンプリングに必要な液量はとても少ないです。
柄杓そのものの長い棒に小さなコップのようなものを付けても良いですし、棒の代わりに紐を使っても良いでしょう。
腐食しない・異物にならない・強度がある・軽い材質が望ましいです。
PTFEで作るのが理想的です。
空気が入る
手動サンプリング装置の最大の弱点は、空気の混入です。
柄杓をタンク内に入れようとしたら、天板のどこかを開放しないといけません。
マンホール相当のモノを開放した瞬間に危険が待っています。
空気がタンク内に混入して、タンク内が爆発性雰囲気となって、静電気着火のリスクが急に上がります。
PTFEの柄杓を使って危険物をサンプリングしているうちに、静電気が溜まっていき、あるタイミングで放電。
火が出てしまって、タンク内の膨大な危険物に一気に火が広がって爆発。
という危険が十分に起こりえます。
考えるだけでも危険すぎるので、手動でのサンプリングはなるべくしたくないですね。
ガスラインの吸引能力を上げるために、ライン中のバルブを全開にするなどチェックしましょう。
仮に空気が入っても液面に到達する前に、ガスライン側から空気が抜けていくことを期待する方法です。(それでも爆発性雰囲気は形成するリスクがあるので、過度に期待しない方が良いです)
撹拌に巻き込まれる
手動のサンプリングは撹拌に巻き込まれるリスクがあります。
撹拌機が動いている状態で柄杓を入れたら、という条件が付きます。
回っている撹拌翼に柄杓が接触すると、柄杓が撹拌翼に巻き込まれて、柄杓を持っている人がケガをする恐れがあります。
すぐに手を離して問題になることは少ないでしょうが、柄杓がタンク内に入って設備を破損させる可能性があります。
空気の巻き込みによる爆発に比べれば、危険性は少ないですね。
落とす
柄杓を手で持つ以上、落下してしまう可能性があります。
上から何とか回収できればいいですが、普通は無理でしょう。
下手に手を伸ばして、人がタンク内に落下してしまう危険性もあります。
素直にタンク内の液を別の場所に移送して、タンク内を清掃してから、人がタンク内に入って回収というプロセスが必要になるでしょう。
面倒で危険なので、なるべくしたくないです。
撹拌機が運転していて、柄杓が巻き込まれる可能性も否定できません。
撹拌機を止めていても液の流れが残っているタイミングで、柄杓を入れると、液の流れに負けて柄杓を手から離してしまう可能性もあります。
柄杓をタンク内に入れるときは、撹拌機を止めてしばらく待って液面が落ち着いてから、ガスラインをしっかり確保して実施しましょう。
参考
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最後に
タンク内液体を上部から手動でサンプリングする時の危険性を解説しました。
柄杓タイプを使います。
空気が入り、撹拌機に巻き込れ、柄杓が落下する恐れがあります。
運転上のトラブルのもとになるので、方法としては簡単だけどなるべく実施したくないですね。
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