化学プラントでの反応槽(reactor)の使い方はいろいろありますが、実際に運転している人以外はほとんど分からないものです。
バッチ運転の場合、電車が駅を1つ1つ進んでいくように、反応槽を1つ1つ液が移送されてプロセスが進んでいきます。
とはいえ、例外は当然あります。
本記事では反応槽の特殊な使い方を紹介します。
機電系エンジニアとしては、この使い方が理解できればかなりのレベルだと思います。
反応時間とタンク容量
典型的なバッチ運転での反応時間とタンク容量の例を示します。
反応 | 時間 | 容量 |
---|---|---|
1 | 20時間 | 93% |
2 | 13時間 | 90% |
3 | 18時間 | 88% |
4 | 12時間 | 80% |
5 | 16時間 | 90% |
6 | 15時間 | 85% |
1バッチを24時間で運転するとして、各反応で24時間未満になるようにプロセスを組んでいきます。
この例だと反応1がボトルネックになります。
反応時間が最も伸びて23時間程度になると、24時間サイクルで回せなくなってきます。
もともとの24時間運転で回そうとするなら、追加投資として反応槽を足そうという考えになります。
同じようにタンク容量が厳しいという時にも、反応槽を足そうとします。
こういう反応槽を足すときの方法として、2パターン考えられます。
バッファ
1つ目はバッファとしての使い方です。
下のように①・②・③・④という反応槽を使うことを考えましょう。
ここで、①は反応A・②と③は反応B・④は反応Cに使います。
4基のタンクは全部同じタンク容量、②と③だけ反応時間が半分です。
反応槽 | 容量 | 反応時間 |
---|---|---|
① | 100% | 100% |
② | 100% | 50% |
③ | 100% | 50% |
④ | 100% | 100% |
②と③の反応時間が短いため、②もしくは③のどちらかをバッファ的な待機槽として使うことがかのうです。
何かトラブルがあった時に待機できるだけでも、運転管理者としてはとても助かります。
電車の運転で、鈍行列車で運転していたら後ろから特急列車が迫ってきて、避難する場所を作っておきたい。
そんなイメージです(かなり分かりにくいと思いますが・・・)
もしくは反応時間が長い200%のものを、2分割にして100%-100%にするという方法も考えられます。
プロセス全体のどこかの工程でタンク容量が限界ギリギリとなる場合に、バッファタンクとして使うことも頻繁にあります。
並列
もう1つの方法が並列です。
これは②と③の反応時間が①や④よりも長い場合に使います。
反応槽 | 容量 | 反応時間 |
---|---|---|
① | 100% | 100% |
② | 100% | 200% |
③ | 100% | 200% |
④ | 100% | 100% |
①で100%の時間を掛けて処理したのに、②と③のどちらか1つしかないと、①のタンク内で待機していないといけません。
これだけならバッファタンクでも解決可能。
並列の場合は、①→②→③→④という決まった流れだけではなく、①→②と①→③を選択可能な点が強いです。
同様に②→④と③→④も選択可能です。
長い反応時間の槽の処理が終わったら、すぐに次の100%時間の反応工程に移ることができます。
参考
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さらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
最後に
化学プラントのバッチ反応槽のちょっと変わった使い方として、バッファと並列の2パターンを紹介しました。
タンク容量や反応時間にネックがある場合には、反応槽を1つ足すという考えになりやすいです。
機電系エンジニアとしては工事の内容として反応槽の追加を受けても、使い方を意外と知らなかったりします。
知ってみると楽しいですよ。
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