生産技術(Production Engineering)の保全担当者向けに事務作業のスピードアップについて考えます。
化学工場の生産技術系の保全担当者は「忙しい」とよく言われます。
残業時間が多くても、仕方ないよね・・・って同情されがちです。
でも、保全と言えども実際には結構スピードアップが可能な仕事があります。
一昔前は20時21時まで残業している人が多くても、気が付いたら18時くらいにはみんな帰っていて、変わらず残業しているのは自分だけ。
それでも自分の仕事を振り返ることなく、スキルが足りないと自分に言い聞かせて、気合と根性だけで時間を掛けて処理しようとする人が居ます。
例にもれず、40歳~50歳くらいの保全エンジニアに見かける例です。
そこで、弊部で20歳~30歳代の保全エンジニアが効率的な業務をするために、行っていることを紹介します。
上司である私と話をしながら行ったことで、効果的な取り組みでした。
大まかな時間割を把握する
事務作業に対して、どの作業にどれくらいの割合を掛けているかを少し整理してみましょう。
- 伝票作成:1時間~2時間
- 見積査定:2時間~3時間
- 報告書作成:2時間~3時間
- その他:1時間
これくらいのざっくりとした内容で良いです。
ストップウオッチで作業時間を細かく調べる必要なんてありません。
答えは自分自身の経験として既にあります。
事務作業が1日に8~9時間くらい掛けているとして、そのうちのお金に関する仕事(伝票・見積)が4~5時間掛けているという例です。
ここを効率化することを考えよう!とターゲットを絞ることができます。
これを見える化せずに、何か知らないけど忙しい・・・としか考えない人が結構います。
保全担当者の場合、現場と事務所でそれぞれ作業をする時間がありますが、現場:事務所の割合すら把握してない人もいるくらいです。
現場に呼ばれたから、電話じゃ話が進まないから、とにかく現場に行くんだ!
現場に行っているから事務作業に時間をさけずに、残業して当然なんだ!
残業したら残業代がすごく貰えるからラッキー
指摘されたら実力不足だと謝れば、その場しのぎができるからヨシ!
こんな思想で行動している人すら居ます。
残業する人には「これ以上の仕事を増やしてはいけない」と管理者は考えます。
これは本人のスキルアップの機会を結果的に奪うことになります。
その結果、昇進と言わずとも昇給の機会すら低くなっていきます。
50歳も越えて昇給すら怪しい場合には残業でしのぐという選択肢もあるでしょうが、20代30代でこういう考え方をしていると、いつまで体力的に持つか怪しいものです。
今やっている仕事に無駄が実はいっぱいあって、どの作業から効率化のメスを入れていくかという視点で大きく時間を使っている部分に目を向けましょう。
無くせる仕事がないか考える
時間を掛けている作業で、無くせる仕事がないか考えましょう。
お金に関する仕事が事務作業の半分を占めている、という保全作業の例を基に考えてもいくつか思いつきます。
- 金額の少ない案件は、細かいチェックはしない
- 事前に見積を取ったとに、正式見積を別に依頼して、同じ内容の見積を取るのに2倍の時間を掛けない
- パソコンで手入力する内容は、できるだけ少なくする
こんな例は、決して珍しいことではなく弊部でよく見かけます。
1円でも安くするために、10万円の案件でも100万円の案件でも、見積書を隅から隅まで細かくチェックする。
こういう仕事をする保全担当者。
見積の査定によって金額を下げることが、残業時間を増やすことよりも意味があると考えてしまう例です。
10万円の案件なら1万円までの範囲(10%)は誤差と考えて査定を簡素化する。
費用対効果の考え方ですね。
こんな考え方は可能なはずです。
担当者だけで判断できるわけではないので、上司とよく話をしましょう。
こういう極端な例に走るのは、過去の上司が厳しく指導していることが原因かも知れません。
本当に極端な人は、上司から「こんな風に仕事を効率化できますよ」と答えまで言っていても、数分後には忘れていて、実務作業に入るといつも通りの仕事の仕方をします。
そういう人ほど、パソコンの手入力が多かったり、ブラインドタッチはできず、辞書登録もしない、とパソコンあるあるを発揮してくれます。
事務作業が遅いということは、パソコンの作業全体に問題がある場合も考えれます。
手動作業を技術習得によって高速化するということも大事ですが、自動化するということも立派な高速化。
マクロなんて高度なスキルは要りません。それ以前の問題です。
製造現場のオペレーションに慣れている人ならこういう思想もできそうなものですが、しない人の方が多いイメージです。
転記を少なくする
保全担当者の事務作業は、割と単調です。
決まった書式・ほぼ決まったことを、とにかく多くの書類に書く作業が多いです。
- 報告書なら「点検結果問題なし」と個々の書類に記載
- 査定書なら「本見積で相違なし」と個々の見積書に記載
- 仕様書なら「機器名」「作業内容」「作業時間」を、表紙にも詳細仕様書にも伝票にも記載
同じような内容をとにかく書きます。
これをパソコンで手打ちしている人が本当に多いです。
定型的な文言を覚える必要なんてないですし、転記も間違いやセルフチェックに時間を取る手間がかかります。
この辺りになると、細かな作業内容に入ってきますが、数が多いので合理化のメリットは出てきます。
相談・言語化・即実践が大事
事務作業時間が多い人を見ていると、相談・言語化・即実践という考えが不足しているパターンが多いように見えます。
処理速度が速い人ほど相談します。言語化しようとします。上司から効率化の提案があったら、即実践します。
逆に、処理速度が遅い人は自分の考えにこだわって抜けようとしません。
話を聞く耳すら持ってないという人すら居ます。
相談や言語化をするためには、業務に対する理解が欠かせないと思ってためらう人もいます。
表現が拙くて変な単語を使ってでも主張すれば、普通の上司なら話を聞いたりフォローをしてくれます。
最初の一歩を踏み出す度胸だけ。そんな気がしています。
実務作業が無いのに現場業務が多い場合
実務作業が無い保全担当者でも、現場業務に時間を掛けている場合にも問題は考えられます。
現場業務で多いのが待ち時間。
保全担当者の場合は製造管理者や工事会社と現場で話すことがあります。
ここで待ち時間が発生します。
多い時には1日に4回も5回も現場に行く人も。
個々の待ち時間だけでもロスが出て、移動時間というロスが出ます。
これって、ほとんどの場合は実は頻度を下げることができます。
集合時間を調整すればいいですからね。
1日に4回も5回も現場に行くということは、1時間おき(9時に1回、11時に1回・・・)に現場位に行っているようなものです。
これをまとめて9時もしくは11時に打合せすると、決めれば良いでしょう。
待ち時間にぼーっと待っている人もいますが、社用スマホでメールが見れる環境にあれば、メールチェックもできます。
有効に活用しましょう。
参考
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さらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
最後に
生産技術(保全)エンジニアが事務作業をスピードアップするために実践することをまとめました。
事務作業に掛けている時間の割合を調べ、無くせる仕事がないか考えましょう。
これを上司と相談して方向性を決めることが大事です。
あとは、転記など作業レベルでの効率化・自動化を考えるようになると、省力化できます。
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