イメージで理解するバルブ・機械装置の”シール”性能 圧力×断面積の単純関係から弱い部分を見抜こう

シール性化学機械

シール“性能についてちょっと考えます。

シールは化学プロセスのような漏洩を特に嫌う設備で、必須の考え方です。

設備の図面を見ても複雑で分かりにくいですが、シールに着目するだけでかなり理解ができます。

特にバルブについて、シールをイメージで理解できる考え方を紹介します。

バルブのシールというと、自動弁で登場する考え方です。計装エンジニアの仕事でしょう。機械エンジニアがバルブのシールを意識することはほぼありません。機械の構造を知っている人なら、こういう考え方を知っていると現場で役に立ちます、という紹介です。

シール性能

シール性能を簡単に評価する方法です。

ガスケットの漏洩量として以下の関係式が知られています。

$$ Q∝PA $$

漏れ流量圧力断面積に比例する。

この関係は直観的に理解しやすいでしょう。

  • 圧力が高いと、漏れやすい
  • 断面積(厚み×周長)が大きいと、漏れやすい

シールをガスケットのような中空形を考えると、断面積は厚み×周長で決まります。

厚み

厚みは今回議論するレベルでは、ほぼ考えることはありません。

同じような厚みのシールを考えます。

例えば撹拌機マンホールガスケットなど、大口径でうねりが大きい箇所ではガスケットの厚みを大きくします。

この場合、シールそのものはできても、高い圧力でシールするということは難しくなります。

高い圧力でシールしたい場合は、シール面が滑らかで平行・垂直がよく出ているという条件が入ってきます。

周長

周長はもっとかんたんに書くと、周径です。

円形のシールで円の径が大きいと漏れやすくなります。

直感的に分かりやすいでしょう。

タンクの強度計算でも同じような考え方で、同じ板厚で径が大きいと強度が弱いですよね。

同径でシール

バルブのシールを考えるとき、フランジ径と同じ(同径)か絞っているかで区別します。

同径シールのバルブ3つ

フランジ径と同じバルブとして以下の3つを紹介しましょう。

  • ボールバルブ
  • バタフライバルブ
  • ゲートバルブ
ボール弁液封
ボールバルブ
バタフライ
バタフライバルブ
ゲート
ゲートバルブ

これらのバルブはシールする場所が、フランジ径と同じなので周長が同じと考えましょう。

厚みは変わらないとします。

そうすると、断面積が同じなので同じ圧力に対してシール性は変わらないと判断できます。

信じられないという人もいるでしょう。

シールの差は弁体

ボールバルブのシール性は、バタフライバルブやゲートバルブよりは高いはずです。

これは弁座であるシール面よりも弁体の方に差があるからです。

ボールバルブの弁本体は質量の大きな球を短いシャフトで支えた構造です。

片持ち梁の先端に重たい物が付いているイメージ。

重たい物を動かそうとしてもなかなか動かないのでシールもしやすいでしょう。

バタフライバルブの弁本体は質量の軽い板を短いシャフトで支えた構造です。

質量の軽い板は圧力を受けるといかにも変形しそうですね。振動はするでしょう。

静圧に対しても問題ですが、動圧に対して弱いイメージです。(圧力損失にも影響します)

バタフライバルブのシール性を何か信じられない・・・という印象を持つ人が多いのは、これが理由でしょう。

ゲートバルブの弁本体は質量がそこそこ軽い板を長いシャフトで支えた構造です。

条件的には3つのバルブで最も悪そうです。

バタフライバルブより質量的には重たいので、板の長さの不利分を考えると同じ程度のシール性でしょうか。(バタフライバルブより信頼感を持っている人も多いでしょう)

絞ってシール

フランジ径より絞ったタイプとして2種類紹介しましょう。

ダイアフラム
ダイアフラムバルブ
グローブ
グローブバルブ

ダイアフラムバルブもグローブバルブも接続フランジ径より、シール径が一般に小さいです。

だからこそ、シール性は良く圧力損失は高くなります。

とはいえグローブバルブはダイアフラムバルブは異物が挟まってしまうリスクがあります。

ダイアフラムが破損したりするリスクがありますね。

そこまで含めたシール性という意味では、ボールバルブの方が安心感があります。

機械装置のシール性

機械装置のシール性もバルブのシール性と同じ考え方でイメージしても良いでしょう。

同じ圧力で断面積が大きい部分ほどシール性が低い

この視点で行くと、シール性が弱そうな部品から順番に代表例を独断で並べてみましょう。

  1. マンホールガスケット
  2. 軸封(メカニカルシールなど)
  3. オイルシール・Oリング

マンホールガスケットとメカニカルシールの差は、径の大小でのイメージです。

オイルシールやOリングは、メカニカルシールと比べると圧力×周長という意味ではなく構造そのものによるシール性アップの効果があります。

オイルシールやOリングは圧力を受けることで変形して、密着性をアップさせています。

メカニカルシール自体にもOリングなど付いていますが、Oリングよりは摺動面が一番不安ですよね。

圧力も周長も変わらないけど、別の評価要素があるというイメージで良いと思います。

最後に

イメージでバルブのシール性を理解する練習をしてみました。

シール性が圧力×断面積で効くという式から考えています。

フランジと同径のボールバルブなどより、径が小さいグローブバルブの方が安心感があります。

機械装置のシール性も同じ考え方で見ると、弱点がどこにあるかアタリを付けることができるでしょう。

この記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

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