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化学機械

熱交換器の向流・並流をどこまで徹底するべきか?

向流並流 化学機械
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熱交換器(heat exchanger)の向流・並流について考えます。

熱交換器は異なる2つの物を流す設備であり、流れの方向で向流と並流の2パターンがあります。

パターンがあると悩むのが人間。

モノの流れや相変化を考えると、どちらかの方が良いというパターンの方が多いです。

ですが、betterの世界であってmustではない場合が多いということも知っておくと、いざという時に役に立ちます。

時間がない中で、最小の範囲で改造をしようとしたときに、理想的なパターンではない方向に物を流すことは、プラント保全をしていると割とあります。ここで、設計の知識としての良い方の流れにす改造案にこだわって、改造日数が伸びてしまうことを許容するかどうか迫られたりします。

熱交換器(heat exchanger)の向流・並流

向流と並流の概要を最小に解説しましょう。

ざっくり言うと、以下のように熱交換器に流れる2物体の向きが違うだけです。

向流並流(heat exchanger)

向流と並流の違いは、熱交換器の温度分布に関係します。

温かい物質と冷たい物質を熱交換させるとき、温度分布は以下のようなイメージになります。

温度グラフ(heat exchanger)

特徴は以下の通り。

  • 並流はどの位置でも平均した温度差である
  • 向流は入口で温度差が大きく、出口で温度差が小さい

バッチ系化学プラントでは向流が多い

向流・並流のどちらが良いかという話は、バッチ系化学プラントでは圧倒的に向流が良いと言えます。

理由は以下の通りです。

  • 熱交換器内で相変化や物性の変化が安定的に行われる
  • ライニング設備など、温度差を高く取れない設備がある
  • 設備全体を有効に活用できる

比較的温度の低い条件で使うことの多いバッチ系化学プラント。

ちょっとした温度変化で相変化(蒸発や凝縮)が起きたり、密度や粘度などの物性が変わったりします。

設備的な面だけ見ても、局所的に熱負荷が掛かってしまう可能性があり、寿命を短くする場合があります。

さらに、ライニング設備だと温度差が大きいだけで設備故障を引き起こす場合もあります。

温度差が大きくない向流は、その意味でも有利です。

コンデンサーとしての熱交換器では、凝縮に使われる部分と冷却に使われる部分がありますが、冷却に使われる部分を長く取っても有効ではありません。

並流にすると初期の温度差が大きいため、凝縮部が比較的少なく冷却部が長くなりがちです。

並流で伝熱面積を削減した方が良いだろうという意見は出てきますが、バッチ系化学プラントの場合は汎用性が求められるので、特殊な設計はできるだけしない方が無難です。

安定とか無難とかチャレンジしにくい雰囲気を感じる人も居るでしょうが、残念ながらそれが化学プラントです。

並流は駄目?

並流は絶対に駄目か?というと、そうでもありません。

現場レベルで改造しようとしたときに、こんな思いを持つ人は多いです。

ちゃんとした設計があってこの流れにしているから、変えると駄目

と設計に依存して改造案を最初から絞り込んでしまう人も居れば、

良く分からないけど、現場のニーズに合った改造をそのまましよう!(何も考えていない)

という人も居ます。

どっちもどっちなのですが、極端な例をのぞいたらたいていはどちらでもいいとなります。

  1. 並流にして仮に伝熱性能が落ちたとしても、ある程度は伝熱面積の余裕でカバーできる
  2. 目標温度に幅があって、多少性能が落ちても許容できる
  3. 設計時よりも夏の気温が上がって、循環水の温度が上がっているけど何とかなっている

初めて熱交換器の設計をしたり保全をしたりという場合には、不安になるでしょう。

ところが3の状況を知っている人からすれば、何とかなってしまうと割り切れたりします。

突発のトラブルなどで止むを得ず並流を選択せざるを得ない場合は、向流とは条件が違うけども注意して運転欲しいという主張をしたら受け入れられる可能性はあるでしょう。

もちろん、ライニング設備で温度差が高い場合には即設備故障という可能性があるので、運転条件を良くチェックしましょうね。

参考

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熱交換器についてさらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

最後に

熱交換器の向流並流をどこまで考えるべきか解説しました。

バッチ系化学プラントでは向流にすることが圧倒的に多いです。

安定的な温度差は反応や設備にとってやさしいです。

並流が絶対に不可というわけではないので、何かあった時には並流の選択肢も頭に入れておくと良いでしょう。

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