EPC(Engineering/Procurement/Construction)の2形態としてゼネコンとバラコンについて解説します。
建設プロジェクトと位置付ける大型工事で必要な考え方です。
化学プラントなどで大型工事を実施する場合に、外部会社に依頼します。
この方法は2つあって、ゼネコンとバラコンと呼びます。
日常的にプロジェクトがある化学プラントのエンジニアにとっては、身近な問題です。
もちろんプラントエンジニアリング会社にとっても、ゼネコン側として日常的な問題となるでしょう。
私は入社15年以上、ゼネコン工事を担当したことはありません。バラコンばかりなので、ゼネコンを担当することは不安がありますが、行うことは基本的に同じです。どちらでも、エンジニアリングの基礎をしっかりマスターすれば、仕事は進めれるでしょう。
EPC(Engineering/Procurement/Construction)
EPCという概念がプロジェクトでは使います。
- Engineering/設計
- Procurement/調達
- Construction/建設
とプロジェクトを3つの区分に分けて考えます。
これはプロジェクトの長い期間の中で時間・コスト・人などのリソースが区分の違いとも一致しています。
区分 | 時間 | コスト | 人 |
Engineering | 大 | 小 | 小 |
Procurement | 小 | 大 | 小 |
Constrution | 中 | 中 | 大 |
プロジェクトオーナーの視点から見ると、Engineeringは時間を掛けて取り組むフェーズ、Procurementはコストを掛けるフェース、Constructionは人を掛けるフェーズです。
EPCはゼネコン・バラコンとEPCは切っても切れない関係です。
ゼネコンとバラコンの違い
ゼネコンとバラコンの違いを紹介します。
ゼネコンはgerenal constrcutionの略だと思います。
バラコンはバラバラ constrcutionでしょう。
オーナーエンジにとってはバラコンが基本で、ゼネコンは外部プラントエンジという扱いです。
ゼネコン
ゼネコンとは一括で外部会社に依頼するという意味で良いと思います。
簡単に言うと丸投げ
EPCを一括で発注する方式がゼネコンというでしょうが、Cだけでもゼネコン的な表現を使う会社もあるでしょう。
連続プラントなどで設計方法が確立されているプラントなら基本設計であるFEEDやその手前のFSから発注する場合もあるかもしれませんね。
バッチプラントならFEEDから依頼する場合もあれば、Pから依頼したりCだけ依頼したりという場合もあります。
設計者の委託
ゼネコンに依頼する最大のメリットは、設計者の委託です。
EPCを依頼するという時、オーナー側のリソースで問題になるのは人です。
Eができる部隊がオーナー側に十分に居る場合は自社エンジで問題ありません。
そうではないからこそ外部に依頼するという発想です。
私は15年以上オーナーエンジを仕事としていますが、一度もゼネコンに依頼したことはありません。
工事作業員の確保
ゼネコンに依頼するのは工事作業員の確保の視点があります。
一定規模の工事なら、構内に常駐している協力会社のツテで人を集めることも可能でしょう。
その会社のツテでは対応できない大規模な工事の場合は、ゼネコンのパワーを借りましょう。
オーナー会社の体力に依存しますので、プラント建設クラスになったらゼネコンに依頼するのか、ちょっとした増改築レベルでも依頼するのかさまざまです。
プロセスが一般的
ゼネコンに依頼するのはプロセスが一般的である方が良いでしょう。
EPCでも特に難しいEについて、対応できる会社が限定化されるからです。
個人的にはペトロやバルクケミカルには対応できるけど、バッチケミカルになるとEは相当厳しいのでは?と思っています。
バッチプラントでEまで依頼するといっても、FEEDをオーナー側でしっかり行っていたりして実質的にEがほぼない状態まで持ち込んだりするでしょう。
自社技術として外部に公開したくないものや、ブラックボックス化したくないという背景もありますね。
バラコン
バラコンはゼネコンの逆です。
オーナーエンジのようにEやPを自社で行う場合もバラコンに該当します。
この場合はCも一括で発注するケースはあまりありません。
常駐協力会社のツテをかき集めて工事体制を構築します。
まさにバラバラ。
熟知しあっている
バラコンの最大のメリットは速度です。
お互いの仕事の仕方を知り合っているので、業務処理速度が速いです。
人が少ないけど速度は速い。
少数精鋭的な発想です。
EもPもCもお互いに知り合った中なのでスムーズにいく確率は高いです。
規模が相対的に大きくなるとCの処理が大変になる傾向ですが・・・。
具体的にどんな点で速度が速いかというと
- ボリュームが大きい設計基準を読み込んで理解する時間が要らない
- 配管工事の方法など工事基準を施工会社が熟知している
- プロジェクトや工事に関わる各種イベントを理解している
説明不要って楽ですよ。
これに甘えてしまうとゼネコンに依頼する時に大変ですけどね。
調達部の力が強い
バラコンができるのはPが強いという条件が付きます。
大手の会社であれば、自社でPを担当する方が好ましいでしょう。
設備メーカーは会社によって値引額を倍半分変えることもあります。
これは投資金額に直接関わります。
大手会社でPが強いなら、バラコンのメリットも出てきます。
ゼネコンに依頼するのはEとCだけで、Pはオーナー側が行うという場合は普通は無いでしょう。
お金が一番動くPこそがゼネコン側の旨味であって、そこを取れない仕事はしんどいだけです。
工事費が安い
バラコンの場合、工事費が安い傾向にあります。
ゼネコンにはあるけどバラコンにはないのが、仮設作業場・宿泊場所・通勤手段などのコスト。
このコスト分だけゼネコンの単価は高い方向に動きます。
仕事をちゃんと経験できる
オーナーエンジニアにとってバラコンは、エンジリングの仕事を幅広く接する機会です。
ちゃんと仕事を経験して、成長できます。
ゼネコンに依頼すると丸投げに近い形になり、実務を経験する機会がなくなります。
入社してからずっとゼネコンに依頼してばかりだと、口先だけのエンジニアともなりかねません。
エンジニアたるもの自分の手を動かしたいですよね。
バラコンはいい勉強になりますよ。
参考
プラント建設はオーナーエンジニアとしては割と未知の分野です。
プラントエンジニアリング会社と接することが少ないので、学習するには以下のような書籍を使うのも1つの方法です。
関連記事
プラントエンジニアリングではプロジェクトは欠かせない業務です。
プロジェクトについてさらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
最後に
ゼネコン・バラコンについて解説しました。
オーナーエンジによる建設エンジニアリングでは身近な問題になります。
プロジェクトの規模・リソースの規模などのさまざまな環境に応じてゼネコンとバラコンを使い分けましょう。
特徴をちゃんと理解しておくことが大事です。
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