化学プラントの電気エンジニア(electrical engineer)の存在価値を紹介します。
一言で言うと「無敵」
大学時代に戻れるなら、電気分野の学問を収めて化学プラントに入社すればよかった。
こんな会話は私が入社して間もないころに、何度もしてきました。
化学プラントで電気エンジニアがなぜ無敵なのか、その理由を解説します。
専門スキルがある
電気エンジニアは「電気」というすごい専門スキルがあります。
電験とかエンジニア界隈では有名ですよね。
電気は設備を動かすうえで絶対に必要。
停電が起こったら即工場は停止します。
まさに工場の心臓部。
電気を扱うには専門的な資格が必要です。
目に見えないけど、だからこそ危険な電気。
一見すると、作業量として大したことがないように見える作業ですが、資格がないとできません。
変圧器から動力設備までの現場を繋ぐ部分が電気エンジニアの担当範囲。
プラントレベルで見ると決して広い範囲ではありませんが、工場全体の電気系統を見るとそれなりに広いです。
守備範囲が狭くても許される
化学プラントで電気エンジニアは守備範囲が狭くても許されます。
これは化学プラントの技術者という意味で比較すると見えてくる世界です。
電気エンジニアという視点からでは見えてきません。
研究 | 分析 | 品質 | 安全 | 環境 | プロセス | 機械 | 電気 | 計装 | 土建 | 生産計画 | |
運転 | △ | ○ | ○ | ○ | ○ | △ | △ | △ | △ | △ | ○ |
プロセス | ○ | ○ | ○ | △ | △ | ○ | △ | △ | △ | △ | △ |
機械 | △ | ◎ | △ | △ | △ | ||||||
電気 | ◎ | △ | |||||||||
計装 | △ | △ | ◎ | ||||||||
土建 | △ | ○ |
化学プラントの職種と求められるスキル範囲をテーブルにしました。
ごく個人的な評価です。
ここで大事なことは、○や△の数。
数が多いほど知っておくべき知識の範囲が広いことを意味しています。
こうやってみると、機械も電気も計装も範囲は等しく狭いです。
その中でも電気が狭いと言っているだけのお話。
ほぼ電気だけを知っていれば良いというのは、まさに専門家。
他の職種は関連分野を知らなければいけないのに、電気は周辺知識の習得をしなくても良い雰囲気があります。
これって相当の安心感です。
転職しやすい
電気エンジニアは転職しやすいです。
電気という圧倒的なスキルがあるからですね。
電気系の学問を修めた大学生がそもそも化学プラントに入社することはほぼありません。
相当数が経験者の転職ルート。
化学プラント以外でも電気技術者はいますので、そこからの転職者が多いです。
逆に化学プラントから別職種に電気技術者として転職することもあるようです。
弊社の場合は、Uターンの電気技術者が多いイメージです。
仕事は少ない
電気エンジニアは化学プラントでは仕事は多くありません。
というより常時は暇です。
全停電のような数年に1回の期間に徹夜近い仕事を数日行う程度。
その他はちょっとしたトラブルの対応をしたり、工事の手配をしたり・・・と
まったりしているイメージしかありません。
残業も相当少ないです。
ちょっとしたデメリット
メリットだらけの化学プラント電気エンジニア。
当然ながらいくつかのデメリットがありますので紹介しましょう。
ここを許容できるかどうかがポイントでしょう。
雑務が多い
電気エンジニアは雑務が多いです。
設計的な仕事も工事的な仕事も雑務に特化しがちです。
決まった電気容量に対して、決まった電気配線や回路を当てはめていくだけ。
壊れたら交換するだけ
化学プラントの電気エンジニアに対する私のイメージってこんな感じです。
専門範囲が狭い = 成長機会が少ない
と言い換えても良いでしょう。
10年経っても一人前になれない機械エンジニアに比べて、電気エンジニアは5年も担当すればほぼ一人前です。
計装エンジニアも5~10年の間で一人前になるでしょう。
常に成長したと思う人にとっては辛いかも知れませんね。
昇進が少ない
化学プラントの電気エンジニアは昇進機会が少ないです。
一般的には課長止まり。
部長まで上がる人はほぼいないでしょう。
給料・手取り・責任範囲や専門性を考えると、パフォーマンスは圧倒的に優れています。
数万円の月給が増える代わりに責任が大きい部長よりは、給料が大して変わらないのに電気に特化して仕事ができる課長の方が良いでしょう。
割り切るかどうかの問題ですね。
最後に
化学プラントの電気エンジニアの存在価値を紹介しました。
電気エンジニアは専門スキルがある・専門範囲が狭い・転職しやすい・仕事が少ない。
ちょっとしたデメリットとして雑務が多い・昇進が少ないです。妥協範囲としては十分でしょう。
総合的には化学プラントの電気エンジニアは無敵です。
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