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化学機械

ダイアフラムポンプの構造と使用用途

ダイアフラムポンプ 化学機械
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化学プラントで便利なダイアフラムポンプ(diaphragm pump)について解説します。

ダイアフラムポンプは手軽に使えて、トラブルがあった時に大活躍します。

化学プラントだけに限らずニーズは多いでしょう。

ドラム缶の液を吸い上げるという汎用的なニーズがあるからですね。

そんなダイアフラムポンプの特徴をまとめました。

構造

ダイアフラムポンプとは以下のような構造をしています。

ダイアフラム構造(diaphragm pump)

ピストンロッドを往復運動させて、ダイアフラムを収縮させます。

このダイアフラムの収縮量分だけ液室の体積が変わるので、液を押し出すという仕組みで送液できます。

液室への逆流を防止するための逆止弁としてボールの自重を利用するのが一般的。

ダイアフラムの代わりにピストンを使えばピストンポンプと呼びます。

材質

ダイアフラムポンプはPTFEが一般的です。

というよりPTFEが必要だからこそダイアフラムポンプを使います。

高耐食性の金属を使う必要がなく安価にポンプを成形できます。

安くて高耐食性のポンプが作れる

ただし圧力はあまり高くはできません。

圧力を高くしたい場合はステンレス系の材質を使いますが、バッチ系化学プラントではあまり多くはありません。

定量性

ダイアフラムポンプは定量ポンプと呼ばれます。

この定義自体にはあまり意味がありません。

ダイアフラムポンプの液の動き方を見てみましょう。

ダイアフラムの膜の動き(diaphragm pump)

横軸が時間、縦軸が膜の動きです。

ピストンロッドが動くことで、サインカーブを繰り返します。

このうちの片側半分(便宜的に上側で代表します)の領域をダイアフラムが動いている時だけ、液が送られます

下側の部分は液が送られず、吸込み口側から液を吸い込む工程になります。

定量ポンプとはこの1回あたりのサインカーブが定量である(決まっている)と言っているに過ぎません。

ダイアフラムが1往復するときに送られる液量が決まっているから定量という意味です。

送液流量(ダイアフラム1往復の液量)×(ダイアフラム1往復の速度)で決まります。

ダイアフラムを早く動かすほど流量が多くなります。

当たり前と言えば当たり前。

圧力

ダイアフラムポンプは液を押しのけるようにして送液します。

これが意味することは、高圧のポンプを作りやすいということ。

高圧のフィード用にダイアフラムポンプやピストンポンプが使われやすいです。

当然ながら、バッチ系化学プラントではあまり出番がありませんが。

駆動方式

ダイアフラムポンプの駆動方式はエアーと電気の2種類があります。

エアー

エアーの力でピストンを押し出す方式です。

工場のサービスエアーとホースがあれば、どこでも使えるという意味で移動式のダイアフラムポンプとしてニーズが強いです。

手軽です。

駆動圧力がエアーなので、エアーの圧力以上の高圧に昇圧することはできません。

高圧用のフィードにはエアーは使えません。

それでも移動しながら使えるというのはニーズがあります。

ドラム缶からヘッドタンクに液を揚げるため

ドラム缶に入った液の原料は今でも普通に使います。

これを工場内の設備に移すにはポンプが必要ですよね。

ドラム缶は決まった場所に固定されているわけでは無く、移動します。

複数のドラム缶に次々にノズルを入れていくためにも移動式は重宝します。

電気

ピストンを電気で動かすことは普通に考えられます。

この場合、エアーとは違って高圧にすることは簡単です。

だからこそ危険

ポンプや配管などの強度限界まで昇圧することすら可能です。

その結果、設備を壊してしまうことも。

その対策として高圧液を逃がす安全弁逃し弁をシステム中に付けないといけません。

弁本体に内蔵するタイプもあります。

高圧用に送液には電気式のダイアフラムポンプを使います。

エアー吸込み

ダイアフラムポンプはエアーを巻き込んでも液を送ることができます。

一般的な遠心ポンプではキャビテーションや空引きは大敵。

そこを気にしなくていいダイアフラムポンプは安心感があります。

ドラム缶から液を吸い上げるときには特に。

ドラム缶の内の液にノズルを入れても、空気は必ずポンプ側に吸い込まれます。

液量が少なくなってもポンプで吸い上げようとするときは明らか。

ドラム缶から液を吸い上げようとして、空引きを起こしてポンプを故障させたら困ります。

その心配がないダイアフラムポンプは重宝します。

以上のエアー駆動式ダイアフラムポンプのメリットをまとめました。

  • 安価で高耐食を確保できる
  • 高圧にならない
  • 移動ができる
  • エアーを吸い込んでもOK

送液流量は高くはないですが、200Lドラム缶程度なら5~10分で送れるのでデメリットになりません。

まさにドラム缶の吸い上げ用に特化したポンプとも言えます。

異物巻き込み

ダイアフラムポンプの弱点は異物です。

逆止弁に当たるボール部分に異物が挟まってしまうと、シール性が無くなります。

ポンプの圧力を吐出方向に適切に伝えることができず、ポンプ内で圧力変動が発生して、所定の圧力を得ることができません。

異物が入らないように、吸い込み口側にストレーナやサイトグラスを設置しましょう。

軽い

ダイアフラムポンプは軽量です。

これは何かとうれしい方向。

移動式にしていた場合、軽いと移動させるのが楽。

狭い化学プラントでは使う時だけポンプを持ってきて、使わなくなると別の場所に移動させるというニーズもあります。

軽くすることができるのはPTFEで作れるから。

鉄やステンレスにはないメリットです。

軽いがゆえに移動式の台車を雑に設計すると、台車ごと転倒するリスクがあります。

台車の強度設計は適切にしましょう。

思わぬところで人が怪我したり、災害が起きたりするものです。

音が面白い

ダイアフラムポンプを動かしているときの音って面白いです。

  • ポンプ内が満液の時はゆっくりな低音
  • ポンプ内の液がないときは速い高音

ハッキリと分かります。

これがドラム缶の吸い上げ時のアラーム代わりにもなります。

そもそもなぜ音が変わるのでしょうか?

答えは結構かんたん。

液がダイアフラムを動かす抵抗となるからです。

人間が、地上を歩くときと水の中を歩くときを考えれば分かりますよね。

水の中を歩く方が当然歩きにくいです。水の抵抗があるから。

ダイアフラムが付いたピストンロッドが人だと思えば、ピストンロッドを動かすときに水があるかどうかで速度が変わるのは明らかでしょう。

ダイアフラムの往復速度が変わるとエアーの排気もそれに釣られて変わるので、人間が聞く音が低音・高音という違いで認知できます。

参考

最後に

ダイアフラムポンプの特徴について解説しました。

定量性で高圧も可能。PTFEで安価に耐食性を確保できます。

エアー巻き込みも可能で移動もできるため、ドラム缶の吸い上げにピッタリ。

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