化学プラントのバッチ運転では、工程ごとの生産時間の違いが効率低下や待ち時間を生み出すことがあります。そんな課題を解決するのがクッションタンクです。工程間で液や粉体を一時的に貯めることで、前工程と後工程の流れをスムーズにし、生産の安定性を向上させることができます。
本記事では、バッチ運転におけるクッションタンクの活用ポイントや具体的な設置例を解説します。P&IDを見たときにもクッションタンクがあるだけで、その前後工程を少し考えることができるでしょう。
連続とバッチ
まずは連続とバッチの違いを簡単に見てみましょう。
連続
連続のフローは以下のような書き方ができます。

A工程のタンクで反応が行われて、その液が連続的にB工程に流れていきそこでも反応が進みます。液が工程間を連続して移動するから、連続運転と言います。そのままですね。
バッチ
バッチ運転の場合のフローを見ていきましょう。間欠運転という言い方もします。バッチ運転は、連続とは違って一定の時間(サイクルタイム)で区切って、時間内に複数のプロセスを処理します。
例えばA工程で反応が終わったら、その液をまとめてB工程に送ります。このため、A工程の液をB工程に送るためには、B工程が空でないといけません。

フローで示すとより分かりやすいでしょう。当たり前のような気もしますが、これが効いてきます。ガントチャート的にも示してみましょう。

- A工程の液をB工程に送るために、B工程は空いていないといけない。
- A工程の液を送っている間、次のA工程を進めることができない。
間欠的だからこそ、空き時間がどうしても発生してしまいます。
生産時間を有意義に使う
クッションタンクは緩衝の機能があるので、生産時間を有意義に使うことができます。
例えば、以下のような直列クッションの例を見ましょう。直列にクッションタンクを置く場合は、A工程がB工程よりもかなり短いという場合です。ガントチャートが分かりやすいです。

A工程がB工程の約半分くらいの時間で終わるプロセスだとしましょう。A工程の処理が終わって、B工程に液を送ろうとしても、B工程はまだ運転中です。このままだと、A工程もB工程のために待っていないといけません。
B工程が終わってからA工程の液を送り出し、次のA工程を始めていると、時間がどんどん遅くなります。この積み重ねが、1年の運転では数日になるかも。
そうすると生産機会がもったいないですよね。だからこそ、クッションタンクを置くことで解決できます。
A工程が終わってクッションタンクに液を送った瞬間(B工程は動いている)の状態は、以下のようになります。

A工程が空くので、A工程は次のバッチの生産ができますよね。
並列化も可能
クッションタンクは並列化も可能です。

これはA工程がB工程より時間が長い場合に使います。ガントチャートで見ると以下のような感じです。

クッションタンクがあることで、B工程が余分に1つ実施できていますね。
クッションタンクを具体例
クッションタンクを具体的に付ける工程を考えてみましょう。
危険な反応の手前
クッションタンクは危険な反応の手前に付ける場合があります。これは安全目的ですね。
危険な反応が万が一進まなかった場合やトラブルが起きたときに、何かの処理をしようとしていても、その手前で工程が進んでいたら、問題になりえる場合があります。例えば洗浄をしないと反応が進んで不純物ができる場合で、次の工程が止まってしまっていたら、損失がどんどん大きくなります。
危険な反応ほどトラブルのもとになるので、そういう手前にクッションタンクを置いておくことは運転を安定的にします。
特殊な設備の手前
特殊な設備の手前にもクッションタンクを置きます。濾過乾燥など粉体関係が多いです。特殊な設備だからトラブルが多く・・・以下略です。
余裕を持った運転をするためにも、怪しい場所にはクッションタンクを置きましょう。粉体の場合ならスラリーになっていることが多いので、クッションタンクというよりはクッション撹拌槽の方が適切でしょう。
昼間しかできない工程の手前
昼間にしかできない工程の手前にはクッションタンクを置いたりします。自動運転ができずに人が必要だけど、昼間しかできない作業。
例えばローリーの充填などがそうですね。そのために貯めておく設備が必要です。液体系なら屋外タンク貯蔵所で構いませんが、粉体の充填とかになると貯め方が問題になったりします。
クッションタンクというよりはクッション設備という表現になるかも知れませんね。
参考
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最後に
- クッションタンクはバッチ運転の緩衝装置として生産効率の向上に有効
- 直列・並列の配置で工程時間の差を吸収できる
- 危険工程・特殊設備・昼間限定工程などに設置すると運転が安定する
- 容量・配管・安全設計を考慮して適切に運用することが重要
クッションタンクを上手に活用すれば、バッチ化学プラントの生産効率と安全性を同時に向上させることができます。
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