化学プラントの配管設計をしていると、目立たず存在すら忘れ去られがちなプラグ。
縁の下の力持ち的な役割を実は果たしています。
プラグの特徴をまとめてみました。
プラグって何となくしか考えていませんでした
プラグ(plug)のメリット
化学プラントではプラグを使わないからメリットはないと思い込みそうですが、ちゃんとメリットはあります。
耐圧が高い
プラグを付けるということは、装置や配管に開口部を設けるということ。
フランジで開口部を塞ごうとしたら、フランジ厚みはそれなりに必要です。
重量も結構必要。
プラグなら軽い部品で高い圧力にも耐えれます。
これは安心材料ですね。
スペースを圧迫しない
プラグ止めは配管設計上は省スペースというメリットがあります。
フランジで止めようとしたら、ボルトナットを固定するためにノズルを出さないといけません。
ノズルではなくてフランジ面にタップを立てる方法もありますが、漏れる要素を増やすことになります。
プラグ(plug)のデメリット
プラグは装置としては一般的に使いますが、化学プラントではデメリットも多いです。
ねじ込みは不安
信頼性が低い
プラグやキャップはフランジ接続に蔵bると信頼性が低いです。
ねじ込み接続は長期間使っていると漏れる可能性がどんどん高くなっていきます。
ねじ込み接続は地震に弱く、阪神淡路大震災でねじ込み接続は至るところで漏れたという話も聞いたことがあります。
そういう意味ではプラグ止めって、信頼性能があまりありません。
可能な限り避けるべきです。
プラグに限らず、ネジだけで繋げている部品なんて現場でよく落ちていたりしますからね。
外すときに必ず液が漏れる
液抜き部にバルブを付けている場合は、バケツを準備してバルブを開けた時に中から出てくる液を、バケツで受けることが出来ます。
でもプラグはできません。
プラグを開けたら液がどんどん出てきます。途中で止めるのも難しい。
被液の観点でもドライフロアーの観点でも大事です。
特に化学プラントでは洗浄液が汚染されているので、避けるべきこと。
私の職場でも、水なら大丈夫と安易に考える人が増えてきました。
TPMが流行り、ドライフロアーが叫ばれて約30年。
プラグを使うという事は、ドライフロアーを否定した考えになります。
プラグ(plug)の使用場所
化学プラントでプラグを使う場所を紹介しましょう。
エアー配管末端
エアー配管の末端にはプラグを使うでしょう。
エアーだとプラグのデメリットである液抜きの問題が起きませんからね。
無条件に使えるなら、フランジで固定するよりもプラグの方が楽です。
ノズル当て板
ノズルの当て板にもプラグを使います。
タンク本体とノズルの当て板とは溶接をしますが、内側の溶接が割れた場合には発見が遅れます。
この発見を速めるためにプラグを使います。
このように当て板に穴を開けてプラグを付ければ、内側の溶接線が漏れても発見しやすいです。
プラグ周りから液がにじんできますからね。
ねじ込みだから緩みやすいわりに耐圧はそれなり、というプラグのメリットを良く活かした使い方ですね。
ポンプの液抜き
ポンプのケーシング部もプラグがあります。
これはポンプメーカーが標準的につけている物で、化学プラントの思想はなかなか反映してくれません。
このプラグはポンプ洗浄時に使います。
設備を洗う時に、ポンプ内の液を排出しないといけませんね。
設備洗浄は大きく2つに分かれます。
設備故障
設備が故障したら、速やかに洗浄して、分解しなければいけません。
この時の洗浄は結構シンプルです。
- 壊れたポンプの前後の弁を締め、液を抜く。
- 水で何回も洗う。
以上です。
ポンプのプラグに着目すると、1度プラグを開けると、そのまま開けっ放しという事が多いと思います。
生産切替時やSDM前の大洗浄
生産切替やSDM前のタイミングでは、使用した設備を徹底的に洗浄します。
そうしなければ、次の製品に不純物が混じったり、洗い残した危険物を放置することで災害が発生したりする可能性もあります。
- 親水系の油で何回も洗う。
- 水で何回も洗う
- スチームで炙る
- 人力で洗う
こういう作業を各反応器に対して個別に実施します。
反応器で使用した液を別の反応器に送るときにプロセスポンプを使います。
プロセスポンプを使うことで系統の配管もついでに洗浄できます。
とはいえこの洗浄効率を上げようとしたら、洗浄に使用した油・水は個別にポンプから液抜きをした方が良いです。
洗浄のためにポンプの液抜きをする頻度は1日に数回で1週間くらいなので、
1週間で合計10~20回くらいプラグの開け閉めがあります。
これって結構面倒です。
参考
最後に
化学プラントの設備に使用するプラグ止めの目的を解説しました。
プラグ止めはフランジ止めに比べて耐圧・省スペースの意味でメリットがありますが、信頼性・漏れの天でデメリットが大きいです。
エアー配管末端、ノズル当て板、ポンプ底などに使われています。
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