PR
働き方

底辺の仕事ランキングを化学プラントに対して考えてみる

底辺の仕事ランキング 働き方
記事内に広告が含まれています。This article contains advertisements.

底辺の仕事ランキングが再び話題になっています。

ネットでもいろいろな意見がありますね。

ここで取り上げられた仕事は、どれも必要不可欠なもので、差別的な表現をすることは私も大反対で

す。

直接そういう仕事に関わっていな人が、自分は底辺職でないからOK、という風に簡単に考えることも本当はおかしいです。

化学プラントで機械系のエンジニアを15年以上経験している私は、特に最近このことに関する課題を重要視しています。

以下の記事を参考にしています。

就活情報サイト「底辺の職業ランキング」に批判殺到 12の職を羅列...運営会社は削除し「事実関係を確認する」
新卒向け就職情報サイト「就活の教科書」が公開した「【底辺職とは?】底辺の仕事ランキング一覧」などと題した記事に対し、2022年6月下旬から「職業差別を助長する」といった批判がツイッター上で相次いでいる。運営会社は指摘を受け、28日までに記事...

底辺の仕事ランキングとして以下の仕事が上がっています。

「土木・建設作業員」「警備スタッフ」「工場作業員」「倉庫作業員」「コンビニ店員」「清掃スタッフ」「トラック運転手」「ゴミ収集スタッフ」「飲食店スタッフ」「介護士」「保育士」「コールセンタースタッフ」

その主な特徴は以下の通り。

 (1)肉体労働である(2)誰でもできる仕事である(3)同じことの繰り返しであることが多い

この内容が化学プラントのエンジニアリングが決して他人ごとでないという、理由を解説します。

化学プラントの運営は多くの作業員のおかげて成立している

これを基本理念として仕事することは、プラント関係者にとって必須でしょう。

工事作業員の不足

化学プラントの工事作業員の不足は、近年大問題です。

プラント運営という意味では、突発的な業務にあたる工事ですが、私がプラントエンジニアということもあって最初に取り上げます。

工事作業員の不足は、以下のようなシーンで話題になります。

  • 工事費が上がりすぎて、プロジェクトが破綻する
  • 作業員が集まらずに、工期に間に合わない

化学プラントではこの意識が少ない人がまだまだいて、勘違いをした考え方で対応しようとします。

  • 工事の数カ月前に発注すれば、業者はちゃんと準備してくれるだろう
  • 工事時期の変更を1カ月前でも、1週間レベルで変更しても何とかなるだろう
  • 生産が迫っているので、工事会社に最短日程を何回も要求しても良いだろう

この考え方は、確かに10年位前までは成立していました。

というのも、工事作業員が大量に居たから。

工事規模や条件に対して、人が柔軟に対応できた時代です。

この時代に考え方が染まった人が、全てを工事会社に任せてしまい、工事会社が対応できなくなっても、同じことを繰り返そうとします。

残念ながら、こういう思考をする人は化学プラントでもとても多いです。

若手でも当たり前のように、この発言をする人が居ます。

彼らは、工事作業員は底辺の仕事だと思っているのかもしれませんね。

プラントの現場作業員は、現地での調整や瞬間瞬間の判断が求められる仕事で、決して誰でもできたり・同じことの繰り返し、ではないのですが・・・。

プラントエンジニアがこのことに気が付くためには、工事作業員と積極的にコミュニケーションを取る必要があります。

プラントエンジニアとしては工事作業員が、安全で働きやすい条件を作ることは、今後とても重要になるでしょう。

設計の質を上げる・発注を余裕をもって行う・作業員が嫌がるパトロールは減らすなど、考えることはとても多いです。

現実的にはパトロールを増やすなどの真逆の行動をとっているかもしれませんが、いつまでも続くものではないと思います。

プラントオペレータの不足

プラントオペレータの不足も、近年の問題です。

大手の化学プラントなら、待遇が良くて人手不足になるなんて考えられないでしょうか。

オーナーズエンジニアだとこの辺の情報は、とても入りにくいです。

実際には、定員で回せているプラントの方が少ないです。

  • 有休取得が推奨され、勤務変更が多い
  • 定員が不足していて、残業が多い
  • 運転トラブルで、残業が発生する

この状況が、慢性化しています。

大手プラントだと自動化で対応しようとします。

時間と投資金額の勝負です。

準備が遅れれば遅れるほど、ブラック職場と認定されてオペレータが応募してくれなくなります。

少子高齢化の問題で、工場地域でも人の取り合いが起こる時代です。

小さな化学プラントのように、工場地域外ではもっと深刻な問題になるでしょう。

給料を上げればある程度解決しますが、それをしない会社が多いです。

オーナーズエンジニアにとっても他人ごとではありません。

  • 工事の依頼を受けて、オペレータに話を聞いても知っている人が居ない
  • オペレータに工事中のバルブ作業を依頼しても、対応してくれない。
  • そもそも工事前の洗浄作業が終わっていない。
  • 試運転の準備ができていない。

こんな風に工事への影響が出てきます。

プラントオペレータは、確かにルーティンワークが多くなりますが、頭を使います。

毎回の運転で、現場で起こっていることをイメージし、安全を確認しながら作業をします。

ここを雑に扱ってしまうと、プラント運転でトラブルが起こりえます。

プラントオペレータの仕事は、底辺の仕事と呼ぶには、知的要素が高い仕事です。

プラントエンジニアとしてはプラントオペレータが働きやすい環境を作ることは、必須です。

単に設備を導入したりメンテすればいいわけではなく、オペレータが使いやすくするためにできることを考えることは、エンジニアに欠かせない業務でしょう。

警備作業員の不足

化学プラントでは警備作業員の不足も、話題になります。

  • プラントに出入りする外部会社の連絡
  • プラント内での昼夜問わないパトロール

警備作業員は、プラントオペレータと同じく交代勤務をします。

工事作業員やプラントオペレータに比べると、ルーティンワークが多く考えることは確かに少ないです。

しかし、パトロールをしっかり対応したり、異常時にとっさに対応したりすることは、警備作業員に求められます。

消防の機能として初期消火を担当する場合もあるでしょう。

プラントの安全安定操業が傾きかけている現在では、警備作業員に求められる内容も高度化しています。

これを単純な底辺の仕事と呼ぶのは、無理があります。

倉庫作業員の不足

倉庫作業員も、化学プラントでは問題になります。

こちらは、相対的に目立ちにくいです。

倉庫作業は化学プラントに限らず作業内容がある程度似ていて、汎用的な原料なら難易度は確かに低めです。

化学プラントの場合、危険物を扱ったり大重量の粉体原料を扱ったりと、特殊な取り扱いが求められます。

溢したら災害に繋がったり、大きな損害が起きたりします。

プラントエンジニアとしても無関係ではなく、倉庫設備の高度化や運搬の自動化を検討する機会が増えてくるでしょう。

この時に問題にならないようにするためには、エンジニアとして倉庫作業を知る必要が出てくるでしょう。

参考

関連記事

最後に

底辺の仕事ランキングを化学プラントに対して考えてみました。

プラントを安定的に運営するためには、ここで取り上げられた仕事が不可欠です。

自分には直接関係ないから・・・と考えていなければ、実務で意外と関係をして困ることになります。

その時になってから考えるようでは遅いです。

自分事として考えることはとても多いでしょう。

化学プラントの設計・保全・運転などの悩みや疑問・質問などご自由にコメント欄に投稿してください。(コメント欄はこの記事の最下部です。)

*いただいたコメント全て拝見し、真剣に回答させていただきます。

コメント