フランジとガスケットの接続寸法を比較します。
化学プラントの機械系エンジニアは、フランジやガスケットと必ず関わります。
ところが、今回の話を意識することはほぼありません。
というのも、規格ですべて決まってしまっているから。
日本で仕事をしているうちはこれでも良いでしょう。
でも、海外で仕事するとこういう話で結構悩みます。
ちゃんと基本的な寸法関係を理解しておけば、どういう場面でも対応できるようにならはず。
そういう意味で基礎的な内容です。
全面座ガスケット
まずは全面座ガスケットから見ていきましょう。
JIS10kフランジです。
口径 | 20A | 25A | 40A | 50A | 80A | 100A | 150A | 200A |
パイプ外径 | 27.2 | 34.0 | 48.6 | 60.5 | 89.1 | 114.3 | 165.2 | 216.3 |
ガスケット内径 | 28.0 | 35.0 | 49.0 | 61.0 | 90.0 | 115.0 | 167.0 | 218.0 |
ボルト穴中心径 | 75.0 | 90.0 | 105.0 | 120.0 | 150.0 | 175.0 | 240.0 | 290.0 |
ガスケット外径 | 100.0 | 125.0 | 140.0 | 155.0 | 185.0 | 210.0 | 280.0 | 330.0 |
全面座ガスケットは、フランジと完全に一致するように作られています。
イメージ図の点線部分が一致しています。
ガスケット内径とパイプ内径が微妙に違うことはポイントの1つで、液が溜まる原因と言われる部分ですね。
ここを何t野化しようとしたら、専用サイズのガスケットが必要になります。
あまりニーズがないので、標準的ではないということは知っておいても良いでしょう。完全に一致させることができないか、現場からたまに問い合わせがあったりします。
ガスケットの寸法は正しくは整数値ですが、パイプ側と見た目を合わせるために、あえて小数点1桁に0を付けています。これは、寸法許容差を示す目的はありません。
普通のガスケット(リングガスケット)
普通のガスケットであるリング型のガスケットを見ていきましょう。
もちろん、JIS10kフランジです。
口径 | 20A | 25A | 40A | 50A | 80A | 100A | 150A | 200A |
パイプ外径 | 27.2 | 34.0 | 48.6 | 60.5 | 89.1 | 114.3 | 165.2 | 216.3 |
ガスケット内径 | 28.0 | 35.0 | 49.0 | 61.0 | 90.0 | 115.0 | 167.0 | 218.0 |
ガスケット外径 | 63.0 | 74.0 | 89.0 | 104.0 | 134.0 | 159.0 | 220.0 | 270.0 |
ボルト穴内側径 | 60.0 | 71.0 | 86.0 | 101.0 | 131.0 | 156.0 | 217.0 | 267.0 |
全面座ではないので、ガスケット外径が違ったりボルト穴が無かったりするのが、特徴です。
もう1つの特徴が、ガスケット外径 > ボルト内側径 となっていること。
ガスケットの方が3mm程度大きくなっています。
はめ込形ガスケット
はめ込み型ガスケットを見てきましょう。
バッチプラントではほぼ見かけることがないタイプです。
口径 | 20A | 25A | 40A | 50A | 80A | 100A | 150A | 200A |
パイプ外径 | 27.2 | 34.0 | 48.6 | 60.5 | 89.1 | 114.3 | 165.2 | 216.3 |
ガスケット内径 | 28.0 | 35.0 | 49.0 | 61.0 | 90.0 | 115.0 | 167.0 | 218.0 |
ガスケット外径 | 50.0 | 60.0 | 75.0 | 90.0 | 120.0 | 145.0 | 215.0 | 260.0 |
M側外径 | 50.0 | 60.0 | 75.0 | 90.0 | 120.0 | 145.0 | 215.0 | 260.0 |
F側外径 | 51.0 | 61.0 | 76.0 | 91.0 | 121.0 | 146.0 | 216.0 | 261.0 |
ざっくりと以下の特徴があります。
- ガスケット内側は普通のガスケットと同じサイズ
- ガスケット外径 = M側外径
- F側外径 > M側外径
当たり前のことですが、M型とF型でちゃんとはさまることが、寸法上でも確認できますね。
1mmの寸法差というところが、精密さを感じる部分です。
ガスケットサイズもM側と一致しています。
程度問題ですが、ガスケット外径が少しくらい短くても、機能はするでしょう。長い側だと、ガスケットが千切れる可能性があるので、どちらかというとやや短い側が安心です(気休めの問題ですが)。
溝形ガスケット
溝形ガスケットを見ていきましょう。
これもバッチプラントでは見かけません。
口径 | 20A | 25A | 40A | 50A | 80A | 100A | 150A | 200A |
パイプ外径 | 27.2 | 34.0 | 48.6 | 60.5 | 89.1 | 114.3 | 165.2 | 216.3 |
G側内径 | 37.0 | 44.0 | 59.0 | 69.0 | 99.0 | 124.0 | 189.0 | 229.0 |
T側内径 | 38.0 | 45.0 | 60.0 | 70.0 | 100.0 | 125.0 | 190.0 | 230.0 |
ガスケット内径 | 38.0 | 45.0 | 60.0 | 70.0 | 100.0 | 125.0 | 190.0 | 230.0 |
ガスケット外径 | 50.0 | 60.0 | 75.0 | 90.0 | 120.0 | 145.0 | 215.0 | 260.0 |
T側外径 | 50.0 | 60.0 | 75.0 | 90.0 | 120.0 | 145.0 | 215.0 | 260.0 |
G側外径 | 51.0 | 61.0 | 76.0 | 91.0 | 121.0 | 146.0 | 216.0 | 261.0 |
溝形ガスケットとはめ込み形ガスケットの違いを簡単にまとめました。
- M/Fの外径 = T/Gの外径
- ガスケット内径 = T側内径
- T側内径 > G側内径
はめ込み形とと同じように、溝形もT/Gの寸法がきっちりと挟まる関係になっています。
外径側と同じく内径側も1mmの寸法差ですね。
ガスケット内径側はT側内径と同じになっていますが、はめ込み形と同じく千切れの問題で少し長い側の方が安心ですね。
参考
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関連情報
最後に
フランジとガスケットの寸法関係をまとめました。
全面ガスケットはフランジと同じ寸法関係で、普通のガスケットはボルト穴より少し大きい径です。
はめ込み形・溝形はそれぞれが1mmの差で挟まるようになっていて、ガスケットの寸法もフランジの寸法に合わせて製作していることが分かります。
規格でしっかり決まっていますが、だからこそ規格外の仕事をするときのために、基礎を知っておきましょう。
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