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化学機械

グラスライニングvsカーボン|多管式熱交換器の場合

GLK熱交 化学機械
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多管式熱交換器(Shell and Tube)の中でも耐酸性材質の代表例であるガラスとカーボンについて比較します。

特にバッチ系化学プラントでは必須アイテムですが、どちらを選べばいいか意外と悩みます。

独断と偏見交じりですが、ざっくりと比較をしてみましょう。

グラスライニング熱交換器はGL HAKKOが、カーボン熱交換器は日本カーボンがそれぞれ有名です。

伝熱性カーボン
サイズカーボン
圧力同じ
温度同じ
価格ガラス
メンテナンスガラス
寿命同じ
選択肢カーボン

伝熱性

伝熱性カーボンが圧倒的に有利です。

カーボン自体が伝熱性が極めて優れているから分かりやすいでしょう。

隙間を埋めるための樹脂は伝熱性にあまり関係がありません。

グラスライニングは、ガラスが大きな熱抵抗となってしまいます。

厚みは薄いですけど、シッカリと影響します。

多管式熱交換器(Shell and Tube)のサイズ

サイズはカーボンの方が有利です。

伝熱性がカーボンの方が高いからですね。

熱の伝わりやすさは熱交換器の装置サイズに直接影響します。

同じ熱量を交換するための熱交換器なら、高伝熱のカーボンの方が伝熱面積を小さくすることが可能です。

狭い日本の工場では、少しでもサイズが小さい方が望まれます。

そんな理由でカーボンを選んでいる会社もあるでしょう。。。

圧力

バッチの範囲内では圧力条件はカーボンもガラスも同じようなものです。

大気圧から真空の範囲内がほとんどですから。

高真空だとカーボン内の樹脂の溶出がやや気になりますが、実態としては問題なく動くケースが多いでしょう。

温度

バッチの範囲内では温度条件もカーボンとガラスで大差ありません。

プロセス側・ユーティリティ側の温度差が激しい場合は、割れる恐れがあります。

このリスクはガラスの方が高いでしょう。

とはいえ、ちゃんとエキスパンジョンを付けていれば防げる世界です。

多管式熱交換器(Shell and Tube)の価格

熱交換器の価格は一般にガラスの方が安めです。

カーボンは製作会社が非常に限られていて、熱交換器向けの需要が非常に少ないです。

ガラスはカーボンよりは価格面では相対的に優れています。

耐酸系の熱交換器で悩めば、よほどの理由がなければガラスを選んでおく方が無難でしょう。

多管式熱交換器(Shell and Tube)のメンテナンス

メンテナンス性はガラスの方がやや有利です。

故障モードや補修の方法は、ほぼ共通しています。

チューブ割れ → プラグ打ち

このコースばかり。

カーボンは樹脂が溶出して劣化していくことで、ガラスは腐食で劣化したりピンホールが発生したりすることでチューブ割れに至ります。

カーボンの方が一定時間で確実に劣化していきますが、ガラスはいつ劣化するかの予測が少し難しいです。

でも壊れたらプラグを打って、伝熱面積を減らして耐えるのみ。

プラグを打つことのできるメンテナンスマンの数という意味で、メーカーの多いグラスライニングの方がメンテナンス性が高いと評価しています。

設備の点検などのメンテナンス上はカーボンの方がやや気を使うでしょう。

というのもカーボンは割れが起こりやすいから。

設備を落としたり、何かにぶつけたり、ボルトを強く締めすぎたり・・・

グラスライニングよりも割れのリスクは高いです。

寿命

寿命はガラスでもカーボンでも大きな違いはありません。

どちらもちゃんとメンテナンスをすれば20~30年使えます。

選択肢

設計上の選択肢はカーボンの方が圧倒的に上です。

伝熱面積は、カーボンの方が圧倒的に多く100m2クラスも製作可能ですが、ガラスはそこまでのラインナップはありません。

材質面でも、カーボンは樹脂の選択肢を複数持つことが可能ですが、ガラスは1種類のみ。

決まった用途の範囲内ならガラスも十分に使えますが、ちょっと変わった使い方をする場合にはカーボンの選択肢の広さが役に立つでしょう。

参考

最後に

多管式熱交換器の材質としてグラスライニングとカーボンの比較をしました。

伝熱性に優れサイズが小さくなるカーボンの方がメリットがあるように見えますが、価格はグラスライニングの方が安いです。

メンテナンス面も含めるとグラスライニングにも十分にメリットはあります。

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