バッチ系化学プラントで使う、耐食性の高い材質(material)をまとめてみました。
ガラス・セラミック・カーボンを取り上げます。これらはワレモノです。
無機物であることが多く、一般に耐食性が高いです。
強度を犠牲にして、耐食性が高めた材料です。
癖がありますが使いこなせれば、とても頼もしいです。
バッチ系の機電系エンジニアとしては、本記事の内容は是非とも知っておきたい内容です。
ガラスもセラミックもカーボンも割れやすいです
ガラス
ガラスはグラスライニング設備として反応器や熱交換器などで使います。
バッチ系化学プラントでは特に重要度が高い設備です。
グラスライニング設備の詳細は個別の記事として取り上げていますので、そちらを見てください。
ここではかんたんに、ガラスを化学プラントの設備として使用する場面を紹介します。
セラミック
化学プラントではセラミックは碍子・磁器などと区別をせずに「同じ物」として取り扱います。
高耐食
セラミックは耐食性が優れています。
高温・酸・スラリーという3大腐食要素が重なったときには、ガラスでは持たないためセラミックの出番です。
割れやすい
セラミックは昔から壊しやすい設備として有名です。
メンテナンスマンも悩ませる材料です。
フランジを締めつけようとして割る例は、昔からいっぱい。
どこまで締めればいいか恐る恐る締めていき、もうちょっとだけ・・・って思って閉め続けていると
パリッ
やっちゃいました。
予備の部品と取り替えたまた締めていくと
パリッ
またやっちゃいました。
こんなこともありましたね。
化学プラント設備で使う場面
セラミックを化学プラントの設備として使用する場面を紹介します。
ポンプ
ポンプはNGKケミテック社のセラミックポンプが有名。
母体である日本ガイシが碍子屋さんですので。
高温・酸・スラリーで使うことが多いです。
ハステロイ系の高級金属の渦巻ポンプも質が良いとは限らないので、割れるリスクがありながらも、セラミック渦巻ポンプを採用することは多いでしょう。
軸封の無いセラミックマグネットポンプ等もあります。
バルブ
バルブも同じくNGKケミテック社のセラミックダイアフラムバルブが有名。
ダイアフラムバルブは対抗馬としてPTFE系のボールバルブがあります。
この辺は各社、コストや納期などの面で標準化しているでしょう。
充填物
充填塔のセラミックはマツイマシン社や岩尾磁器社が有名です。
http://www.iwao.co.jp/cpp/ctower.html
充填物を高耐食の碍子系にする場合、本体側が問題となります。
バッチ系化学プラントでグラスライニングの塔に、PTFE系の充填物抑えや後退色金属のディストリビューターを付けることが多いでしょう。
1つのメーカーで充填塔一式を準備してくれるケースは少ないです。
そもそもSUS系でも1つのメーカーで一式準備できるケースの方が少ないですからね^^
カーボン
カーボンは非金属材料の1種で、バッチ系化学プラントではよく使用します。
熱伝導性が高い
カーボンは熱伝導性が高く、熱が関係する設備に対して非常に価値があります。
耐食性が高い
不浸透黒鉛は腐食性液体や酸・アルカリ・塩類・有機物に優れた耐食性を示します。
カーボン自身は耐食性が非常に優れていますが、スカスカなのが欠点。
液体ならまだしも気体は通り抜けてしまいます。
これを防ぐために、樹脂をカーボンに混ぜます。
これを専門的に「含浸」と言います。
この樹脂の種類が不浸透黒鉛の性能を左右します。
フェノール系・フラン系などの種類はいくつかありますが、一般にはフェノール系が多いです。
カーボン製の熱交換器としては液液熱交がターゲットです。
しかし、バッチ系化学プラントでは気液熱交の需要が多いので、カーボン製の熱交換器のニーズはやや少ないです。
耐圧は低い
カーボンは耐圧が低く、扱いによっては割れるリスクがあります。
ボルトを少し締めすぎるだけで、
パリッ
セラミックと同じく
パリッ
こうなると補修はできず、使い物になりません。
リスクの高い設備ですね。
圧力的にも高い条件で使えなく400~500kPa程度です。
バッチ系化学プラントの液液熱交や気液熱交で使う条件とほぼ一致しています。
化学プラント設備で使う場面
カーボンを化学プラントの設備として使用する場面を紹介します。
熱交換器
カーボンは熱交換器に使用します。
不浸透黒鉛という言い方もしますね。
http://www.kansetu.co.jp/product/detail.php?pid=p011
ブロック式熱交換器と多管式熱交換器の2パターンがあります。
ベアリング・メカニカルシール
カーボンはベアリングにも使用します。
また、メカニカルシールにも使います。
ベアリングやメカニカルシールでカーボンを使うのは、摺動部。
これはカーボンが自己潤滑性が高いから。
ついでに熱伝導性も高いので、摺動熱を逃がしやすいという特徴もあります。
カーボン自身が耐食性が高いという性質に加えて、自己潤滑性が高いということや熱伝導性が高いという特徴も認識しておきたいですね。
参考
関連記事
さらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
最後に
バッチ系化学プラントでよく使うワレモノ材料を解説しました。
ガラス・セラミック・カーボンが有名です。
ガラスは反応器や熱交換器、セラミックはポンプやバルブ、カーボンは熱交換器や摺動部に使います。
特徴や役割がそれぞれ違います。使い分けましょう。
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