若手社員の昇進を左右させる要素を考えました。
JTCならどこでも似たような感じではないでしょうか。
少なくとも製造業だと似たようなものだと信じています。
特に若いうちは昇進の速度はほとんど変わらず、±1年で差が付く程度です。
10年くらいスパンで昇進するフェーズに対して、9年目で上がるか11年目で上がるかという感じです。
昇進カーブが違う採用形態でも基本的な考え方は同じでしょう。
人事は各組織の仕事を知らない
若手のうちの昇進を決めるのは、人事の評価と言っても良いと思います。
この人事が各組織の仕事をちゃんと知っていないということがポイントです。
定性的な表現をすることはできても、組織の中での貢献度を適切に表現することはできません。
相対評価
例えば、化学プラントの場合は製造部が圧倒的に貢献度が高いわりに、相対的に貢献度が低い機電系エンジニアと、人事評価上は同じ貢献度だと表現されたりします。
技術系と事務系での差も結構あります。
人数が少ない部署の方が有利になる傾向です。
これは複数の部署での全体調整と関わります。
1次評価者はその組織の課長クラスで、2次評価者は部長クラスであったとしても、最終評価は事業所レベルや本社レベルでの全体調整の話になります。
ここに人事が入ってきます。
部署内での評価ですら相対評価で決まってしまいますが、複数の部署をまたぐ全体調整になるともっと相対評価で決まります。
そうすると、数の多い部署の方がプラス評価の人もマイナス評価の人も多くなります。
誰が見ても分かる要素
全体調整時の相対評価をするときには、人事は分かりやすい指標を求めます。
仕事の中身やその難易度を考えるわけではなく、外から見て分かりやすい評価でしか考えられません。
例えば化学工学の複雑な計算やシミュレーションをする人と、単純な四則計算だけをする人で、どちらも同じ設備を設計出来ていたら結果は同じと判断されます。
基本設計側で複雑な計算をしていて詳細設計で簡易計算しかしていない、という場合であってもです(通常は基本設計が簡易計算で、詳細設計で複雑な計算をしますが、逆転現象が起きても結果は同じ・・・という意味です)。
人事に取っていれば、計算の意味や仕事の結果に及ぼす価値を正しく表現できません。
もっと分かりやすい部分でしか評価していません。
プラスイメージ
若手社員の評価に対してプラスイメージになるものを挙げてみました。
簡単に言うと失敗しなければ評価が上がる感じです。
仕事を途中であきらめない
仕事を途中であきらめなければ、プラスイメージに簡単に繋がります。
というのも、大抵の場合は何かしらの失敗をするからです。
個人的には失敗だと思っていても外部に知れわたるレベルでなく、上司のフォローで済んでいる場合は失敗ではありません。
そういう上司のフォローがほぼない段階だと、相当のプラスイメージです。上司から見ると、ひとりで任せられる安心できる存在となっているでしょう。
普通は、上司からフォローが入ります。
メールにCCを送れば何かしらフィードバックが返ってくるし、検図を依頼したら赤ペンがいっぱい入ります。
これは指導の範囲内であって、失敗ではありません。諦めずに仕事を最後まで終わらせれば十分にプラス評価です。
指導の量や質が一定の領域を越えると、上司の評価が悪くなるのは確かです。ここは注意しましょう。
現場に好かれる
現場に好かれるとそれだけでプラスイメージです。
製造業であれば製造課から好かれることは大事です。
仕事の成果としてしっかり現場にアピールできるようにしましょう。
機電系エンジニアであれば、足繫く現場に通うだけで若手のうちならプラスイメージです。
課長や主任と毎日のように顔を合わせていれば、それだけでプラスイメージです。
話ができればもっとプラスイメージです。
たばこ・酒・ギャンブルなどの話で好かれることも一応は含まれます。ただし、これらを好きだという人は減っていますし、仕事の質が悪ければ長期的には結局はマイナスに作用します。
というのも、間接部門で現場に通う人が少なくなっているから。
相対評価の全体調整の段階で、この人は現場から好印象だというコメントがあれば、人事はこれを重視します。
短期的な仕事の成果よりも、現場から好かれる人間性は組織にとって長期的に有利に働く可能性があると信じているからですね。
多くの部署と関わる仕事をする
多くの部署と関わる仕事をしていれば、相当のプラスイメージになります。
日常の仕事で多くの部署と関わりやすい企画系の仕事は、有利です。
というのも調整が大変ということを、人事が身に染みて理解しているから。
仕事の中身を知らなくても、多くの部署と調整をしているという表現があれば、そこだけで察してしまいます。
機電系エンジニアはこの点では不利です。
事業所内外のプロジェクトを通じて、成果としてアピールしないといけません。
マイナスイメージ
若手社員の評価に対してマイナスイメージになるものを挙げてみました。
こちらも分かりやすい理由です。
基本的にマイナス評価はあまりしないものですが、傾斜を付けるためにはプラス評価者を出すならマイナス評価者も出さないといけません。
この時に何をもって評価するか、という話です。
会社に来ない
マイナスイメージの典型例は会社に来ないというもの。
病気などの例もありますが、最近では無断欠勤という例も少なくありません。
当日休むけど何の連絡もなく、上司がフォローしないといけないような例だと、マイナスイメージになります。
この場合に、上司のフォローで済めばOKかというとそうでもありません。周りの人には無断欠勤の情報が何かしら知れ渡ってしまうために、マイナスイメージが蓄積されていきます。
周りの評判がとにかく悪い
会社にちゃんと来ていても、周りの評判がとにかく悪いという人は居ます。
- 何を言っても返事が返ってこない
- 現場には顔を出さない
- 仕事の成果が不十分
- 雑談をしない
被評価者のことを知りたいと思っている周りの人に対して明確なアピールをせず、最低限の会話だけをしていると評判は悪くなっていきます。
「話しにくい人」という印象を持たれるでしょう。
おしゃべりをするという意味ではありません。
ドライな仕事をすることを好んで、最低限の接触しかしない人が対象になります。昔で言うオタクのイメージ。
明確に仕事を分割して一人で仕事を進めることができない化学プラントでは、最低限のコミュニケーションはスキルとして求められます。
人事主催の教育を雑に扱う
人事主催の教育を雑に扱うのは、マイナスイメージです。
教育の意味がなく、無駄な時間を取るだけだと思っている人は、いっぱいいます。
そこで腐った姿を見せてしまうか、無難に過ごすかという点が左右されます。
人事としては素晴らしい教育をしているつもりでも、やる気のない姿をしている社員がいれば、いい気はしません。(本当は詰まらない教育をしている側が悪いのですが、そうは考えない人が多いです)
全体調整のタイミングで、人事はこう考えます。
○○さんはあの教育で態度が悪かったな。あの態度は昇進して部下を持てば影響が出るかも・・・
仕事の中身を知らないけど、自分の観測範囲から将来性を予想して評価にまで影響を与えるのが人事です。
だからこそ、無難に過ごすのが本当に無難です。
参考
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最後に
若手社員の昇進を左右する要素は、JTCの場合は多くはありません。
失敗しなければそれだけでプラス評価。現場に好かれたり、多くの部署と関わる仕事をすればさらにプラス評価です。
逆に評判が悪かったり、人事に目を付けられるとマイナス評価です。
この評価が積み重なると、1年程度の差が付いてくるでしょう。
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