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作業環境の改善例|化学プラントの場合

化学プラント作業環境 運転
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化学プラント現場での作業環境(Work environment)は一般に3K作業と呼ばれるキツイ作業です。

できる限りその環境を良くすることは、工場に関わる管理者にとって大きな課題で、エンジニアはとくに設備面での対応を検討します。

バッチ系化学プラントでよく見かける課題に対して、設備面でできる作業環境対策を紹介します。

プラント内にある課題全部に対して対策が取れているわけではないので、課題検討をするときには基本に忠実に対処するだけで、かなりの効果を得られることでしょう。

一般的な作業環境

化学プラントと言えども一般的な作業環境はとても大事です。

逆に一般的な作業環境が悪いのが化学プラントと言えなくもないです。

運転を始めた新しいプラントで最初に問題になる話で、プラントが廃棄されるまで残り続ける可能性も十分にある根が深い問題です。

温度

温度は作業環境でも特に大事な要素です。

日本だと熱中症の問題として特に話題になっています。

化学プラントでも同じ話で、長袖の作業服を付けないといけない関係上、冷房のエアコンは特に需要が高いです。

WBGTとかこの10年でとても有名になりましたね。

静電気の問題で冬場に暖房を付けれないのも、化学プラント。

対策としては空調設備があります。

エアコン

スポットクーラー

化学プラントでば防爆仕様が必要であったり、意外と設置面積を取ったり、冷凍機の能力に関係したりと、考えることはいっぱいあります。

空気

空気も一般的な作業環境として大事です。

換気をしていない淀んだ部屋とか嫌ですよね。

換気扇は必須です。

化学プラントで特に気を付けたい、粉塵やガスも換気で解決できる部分が大きいです。

建設時はストリップであった工場に粉体投入設備を付ける場合には、風通しが良すぎて粉塵が舞いますので、壁等の対策が必要になります。注意しましょう。

換気扇

見た目

見た目とは色々な要素からなります。

一般的な作業環境という意味では事務所の照明などが考えれますが、色彩という点も考えれます。

照明が適正であるか(明るすぎず、暗すぎず)

塗装が剥がれたり錆びていたり、古い印象がないか

照明が少なくて(配管などで障害となって)、暗いという声がよく上がります。

塗装や錆は見た目の印象の問題として取り上げていますが、異物混入などの原因ともなります。

照明

塗装

音は一般的な作業環境でも重要となります。

それどころか家庭でも問題になりますね。

化学プラントの場合でも、騒音源となる圧縮機ブロアなど我慢しにくい設備を扱います。

耳栓が基本になりますが、防音ボックスなど騒音対策も検討しましょう。

防音ボックス

化学プラント独自の作業環境

一般的な作業環境に加えて、化学プラント独自の作業環境も紹介します。

製造作業者に対する保護具などでカバーする部分が多いでしょう。

しかし、設備的にも特別な対策が必要です。

粉塵

化学プラントで扱う粉塵は健康に影響がある物が多いです。

短期的に影響が出るものもあれば、アスベストのように長期的に影響が出るものも。

異物混入や腐食の原因ともなるので、粉塵を外部に排出せずに回収する仕組みが必要です。

場合によってはその後の処理設備も必要でしょう。

粉体を多く扱うバッチプラントほど需要が高いです。

集塵機

スプレー塔

ブロア

能力設計を間違って、粉塵が待ってトラブルになりやすいです。

ガス

ガスも化学プラントならでは。

薬液とセットで、危険です。

薬液よりも影響範囲が広くて、健康に影響を及ぼしやすいのがガス。

粉塵以上に、人に即影響を与えるような物質が多いです。

大気中に拡散すると、近隣地域への影響もあり得ます。

集塵装置と同じような発想で、ガスも回収して処理する設備が必要です。

この装置が動かなくなったらプラントを停止するくらい、心臓部となる設備です。

酸欠

酸欠は化学プラントの設備では多く発生しえます。

硫化水素のように地下・水という条件も考えられますが、タンク内で窒素雰囲気下で取り扱っていた環境に、人が入るという状況の方が頻度は高いです。

設備的な対策は、常時設備としては取りにくいです。

例えば以下のような対策が考えられます。

タンク周りをフランジ接続にしたり、フレキシブルチューブを使い、取り外しを容易にする

ガスラインは単独化させて、大気に開放する

換気ファンを事務所に確保する

設備設計というよりは配管設計でカバーする部分です。

薬液

薬液そのものは設備的にカバーするのは難しいです。

漏洩が起きないような材質選定が基本ですが、それ以上に特殊な対策はあまりありません。

薬液による人体への影響は、設備屋としては理解がしにくいでしょう。

ここはプロセスエンジニアや製造管理者に任せる部分になります。

参考

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さらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

最後に

化学プラントの作業環境で設備面で取りうる対策を中心に解説しました。

温度・空気・見た目・音などの一般的な作業環境は化学プラントでも大事です。

特に温度は年々大事になります。

化学プラントでは粉塵・ガス・酸欠など特殊な環境をケアする必要があります。

プロセスラインよりも作業環境を形成するための設備の割合が多いプラントもあります。

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