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働き方

なぜ化学プラントは長袖作業服?被液・火傷・静電気対策の重要性

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作業服 働き方
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 化学プラントで働く際、作業服はただの制服ではありません。長袖・長ズボンの作業服は、薬液被害や火傷、静電気による事故など、現場のリスクから身を守るための「最後の砦」です。
 本記事では、作業服の役割とその重要性を、初心者でも理解できるように解説します。

一見格好良くない作業服でも、化学プラントの安全対策として様々な配慮がなされていたりします。暑いからと作業服の腕をまくってしまいがちですが、リスクが増える行為であることはしっかり意識したいですね。新入社員の時に、ちゃんと理解しておきましょう。

作業服は長袖

化学プラントの作業服は長袖長ズボンです。夏場でも長袖です。暑いです。でもこれにはちゃんと理由があります。

被液対策

作業服で長袖を着る最大の理由は被液対策です。化学プラントでは酸やアルカリ・感作性のある薬液を大量に扱います。これらの薬液は設備からいつ飛び出るか分かりません。

普通は飛び出てくることはありませんが、いつ出てもおかしくないという態度で工場内には入ります。ここで作業服は最低限のガードの役目をします。暑くて熱中症のリスクがあっても被液よりはマシ。そういう考え方です。

熱中症の問題がこの10年くらいかなりの話題になり、環境改善としてのエアコンをつけるようになっていますが、長袖はキープしています。

長袖は薬液に直接触れることを一瞬だけでも防ぎます。

設備に触れない

長袖を着ることで、設備に皮膚が触れて切り傷ができたり火傷したりすることも緩和できます。化学プラントの現場には、配管フランジや設備基礎などの突起物がいっぱいあります。高温の水やスチームが通っている配管に触れてしまう場合もあります。最低限のガードとして長袖が機能します。

工事でケガをしない

設備でケガをしないことと条件は似ていますが、工事でもケガをしないための対策として長袖が活きます。工事では、仮設足場で使用するクランプベースプレート番線などがケガの原因となります。

溶接の火花が飛んできて火傷することもあり得ます。最低限のガードとして長袖が大活躍

ポケットがない

作業服にはポケットがないことが普通です。なぜかというと、手をポケットに入れたまま歩くから。注意してもその時だけ、注意されなければポケットに手を入れる。

こんな光景はどこでも見られます。そこで障害物に転倒して、大けがをする。

工場では致命的な問題につながるので、ポケットに手を入れないようにポケットそのものを付けません。胸ポケットなど手を入れない部分に対してしか付けないことが多いでしょう。

靴下はくるぶしをみせないもの

化学プラントではくるぶしが見えるショートソックスは履かないのが普通です。10年くらい前から流行ったでしょう。化学プラントでは当然ながらアウトです。ショートソックスも作業服と同じで保護具の一部と考えます。

  • 被液防止
  • 火傷防止

長袖と考え方は同じです。ショートソックスは長ズボンの裾が短いと結構露出しますよ。

作業服は電気を逃がす

化学プラントの作業服は静電気着火を回避するために、電気を逃がす材質でできています。その辺のお店で売っている作業服を着れば良いという世界ではありません。会社としては薬液に対しても浸透しにくい構造を選んでいると思います。

プラント近くに洗濯機

プラント近くには洗濯機を置きます。これは汚染された作業服を洗うため。

作業服を家に持ち帰って洗うということは基本的にはしません。私服やご家族の服まで汚染される可能性があるからですね。

洗濯機と乾燥機だけでは足りずに、服を干しているプラントも稀にあります。土日など監視レベルが低い時には見られる光景です。

運転時は保護具を追加

作業服は工場内のあらゆる人が来ます。ユニフォーム的な扱いですね。運転員は作業服に加えて保護具を付ける機会があります。サンプリング・仕込など薬液・原料に暴露する可能性があるときですね。

エプロン・ゴーグル・防塵防毒マスク・長靴・ゴム手袋・使い捨てスーツ・エアラインスーツ
いろいろな保護具があります。

皮膚を表にできるだけ出さないようにどこを守るかという視点で保護具を選んでいきます。使い捨てスーツはコロナ禍で一気に需要が増えましたよね。暴露リスクがそれなりに高い時に使います。

暴露リスクのレベルを上げたいときはエアラインスーツで完全遮断を行います。当然、夏は相当暑いですよ。

保護具は動きにくくなりますが、安全性を高めます。

入浴・シャワー

化学プラントでは入浴・シャワー用のお風呂が常備されています。お風呂を毎日焚いている場所もあるでしょう。作業の疲れを癒したり休み時間のスポーツで出た汗を流す以上の意味があります。

薬傷防止

作業員がお風呂に入る理由は薬傷防止です。作業服を着ることでかなりの確率で薬液を防げますが、よりリスクを下げるためにお風呂に入ります。

工場内で発生したミストやガスに、作業員は常時触れる環境にあります。目に見える液体とは違って気が付きません、

1回1回は量が少なくても数を増やして暴露することで、人体に何らかの影響がでる恐れがあります。中長期的な影響は分からない薬液もあります。

これを温度の高い水や界面活性剤であるシャンプーなどで洗い流すことで、暴露時間を下げようというのがお風呂の狙いです。しないよりはする方がマシという世界でしょうか・・・

社外への拡散防止

お風呂に入る理由は、作業員に対してだけではありません。作業員に付着した薬液や粉塵が、外に持ち込まれるリスクを減らす目的もあります。

工場の外に出た瞬間に空気中に飛び散る、ということはあまり考えておらず、家庭でご家族が触れてしまう、街中で何気なく触った場所を他の人が触ってしまう。こういうことを恐れています。

入槽作業後は即お風呂へ

交代勤務の作業員は退勤時にお風呂に入ることが義務付けられているでしょう。それ以外にお風呂に入るケースが、入槽作業。入槽作業時には、タンク内にある薬液に触れる確率が非常に高いです。

タンク洗浄のために入る時は確実に薬液に触れます。タンク洗浄後の内部点検でも発想は同じ。入った方が良いです。

建前上は、タンク洗浄により完全にきれいな状態になっているから薬液に触れる可能性はありません。それを信じるかどうかは個人次第。何でも誰かに言われたことに従うのかどうか。よく考えましょう。

参考

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さらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

最後に

化学プラントの作業服は、単なる制服ではなく、被液・火傷・静電気・転倒・薬液拡散防止など、多岐にわたる安全対策の最後の砦です。長袖や保護具、入浴ルールなど、一つひとつに意味があります。現場作業者として、安全文化を理解し、正しく実践することが重要です。

化学プラントの設計・保全・運転などの悩みや疑問・質問などご自由にコメント欄に投稿してください。(コメント欄はこの記事の最下部です。)
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