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初心者でも分かる!水系ユーティリティ配管とガスケットの選び方

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 化学プラントで使われる水系ユーティリティ配管は、ブライン・冷水・循環水・温水・スチームなど種類が豊富です。機械系エンジニアにとっては身近な水でも、プラントの安全性や耐久性を考えると配管材質とガスケットの選定は非常に重要です。
 本記事では、初心者でも理解しやすいように、水系ユーティリティの配管とガスケットの基本的な組み合わせとポイントを解説します。

配管とガスケットの材質の組み合わせ

化学プラントなら可燃性物質を極小化するために金属系の材質を選ばないといけないので、SGP系にするなど制約があります。

SGPの配管を使うといっても、配管ラインを選定するためには他の要素も決めないといけません。その代表例がガスケットです。一般的には

という組み合わせになります。ところが、この組み合わせだけでは対応できない場合もあります。先に結論からいうと、以下の組み合わせが良いでしょう

ブラインSTPG汎用ジョイントシート-5℃以下
冷水SGP汎用ジョイントシート 5~10℃
循環水SGP汎用ジョイントシート 32~37℃
温水SGP汎用ジョイントシート 60~95℃
スチームSGP高温用ジョイントシート 100℃以上

低温高温という例外にはそれなりの対応が必要ということでしょう。

ブライン

ブラインはここでは‐5℃以下の水系の液体を対象にします。-5℃以下ではSGPは基本的に使いません。低温脆性の問題があるからです。

ブラインは腐食性がないからSGP系を使いたいが、低温脆性が気になってSGPでは使えない。こんなときはSTPGを使います。STPG370で十分でしょう。

SGPだと溝状腐食の問題があったので、STPGにするという思想は昔はありました。鍛接だと溝状腐食を起こしますが、電気抵抗溶接だとそのリスクはありません。溝状腐食だけを考えるとSGPでも大丈夫ですが、低温脆性という意味ではSGPは避けておいた方が良いです。

ガスケットは汎用ジョイントシートでほぼ使用可能です。同じブラインでも塩の種類によってはSTPGに対して腐食性があることも。だからといってSUS系にしても応力腐食割れの懸念があり、判断に悩みます。

溶存酸素を少なくするために、ブライン系統に窒素を入れて寿命を延ばそうとする発想もあります。ブラインは温度が低く溶存酸素が大きいので腐食が高くなりがちです。配管ならSGPでも良いですが、タンクならSUS304にしておく方が無難です。そして窒素シールをして酸素を遮断しましょう。

冷水

冷水5~10℃の範囲の水を想定します。冷水はブラインより条件が緩いので、一般的な水系として扱って良いでしょう。SGP+ジョイントシートですね。

夏場では5~10℃の温度というのはかなり低いほうで、裸配管だと熱損失が大きくなるので断熱を付けます。断熱を付けると外部腐食が進むのでは?と気になるでしょうか。気になる人は配管メンテナンスに敏感な人でしょう。断熱の下に雨水が浸透して腐食するということを気にしているはずです。これよりも配管の内部腐食の方が大事です。

というのも、温度が低いほど飽和溶存酸素が高いから。タンクなどSS400にしていると結構簡単に錆びたり、系統の閉塞原因になったりします。

循環水

循環水32~37℃程度の水です。これは配管材質設計としては、理想的な水系として考えればいいでしょう。

循環しながら使うため水には不純物が蓄積されていきます。これがSGPを腐食させる要因となります。そこで循環水に腐食防止の添加剤を添加していることが普通です。

SGP+ジョイントシートで耐えれるように理想的な水の状態を作り上げている、という方が正しいでしょう。

温水

温水60~95℃程度の水です。温水もSGP+ジョイントシートで使うでしょう。とはいえ、ちょっと気になりますよね。温度が高いほど腐食性が高いですから。

STPGにレベルアップしたり、もっとあっさりとSUS系にしている会社もあると思います。私の職場でもSGPを使っていますが、個人的にはSUS304派です。特にタンクはSUS304にしておきましょう。

イニシャルコストは高いですが、メンテナンスコストを下げることが期待できるからです。中長期的な視点で議論したいところですね。

スチーム

スチーム100℃以上の水蒸気を対象にしています。SGP+ジョイントシートでも良さそうに見えますよね。ここではガスケットの問題があります。でも汎用的なジョイントシートでは温度の問題で避けた方がいいです。

120℃を越えると危険ですよね。120℃というと0.3MPaG程度。0.3MPaG以上のスチームというのは、工場ではごく当たり前に使います。

汎用ジョイントシートではダメなら、高温に耐えるジョイントシートを使わないといけません。例えばバルカーのGF300など。ニチアスは高温用ジョイントシートというカテゴリでTombo No.1120のラインナップがありますが、これは120℃以上では使わない方が良いでしょう。

実際に120℃ですぐに圧壊するわけではありませんが、危険であることに変わりありません。この手のガスケットはこれからも開発されていく可能性があるので要チェックです。

参考

ガスケットの話は配管とセットとなります。特に化学プラントでは重要な設計要素になるので、たかがガスケットと捉えることなく、しっかり勉強しましょう。以下のような本がおススメ。

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ガスケットについてさらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

材質についてさらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

最後に

水系ユーティリティ配管の材質とガスケット選定の基本は、SGP+汎用ガスケットで大半のケースに対応可能です。ただし、低温・高温条件ではSTPGやSUS、また高温用ガスケットを選ぶことで耐久性と安全性を確保できます。初心者でも理解できるように、各ユーティリティに応じた基本ルールを押さえておきましょう。

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