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なぜタンクは全量排出できないのか|デッド部が生む実務上の課題と対処

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でっどぶ 運転
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化学プラントや製造設備で使われるタンクには、液が底から完全に排出できない「デッド部」が存在します。特に屋外タンクや横ノズルから取り出す構造の場合、この現象は避けられません。7

本記事では、タンクのデッド部が発生する理由と、実務でどう対処すべきかを整理します。新しい液を導入する際や洗浄作業の計画時に必ず役立つ内容です。

タンクのデッド部とは

まずは、タンクのデッド部を解説します。

屋外タンクでは、タンク底面がコンクリート基礎に全面接しているので、ノズルは横から取ります。

こんな感じのイメージになります。

横ノズル

タンク底板とノズルを同じ高さで設置することは、とても難しいです。

底板を溶接しても失敗すれば、全量漏れてしまうリスクがあり、底板の溶接はできるだけ少なくします。

ノズルを横から取ると、その部分だけ強度が落ちるので当て板などで補強するためや、溶接の影響を避けるためには、ノズルの位置は底板から少し高い位置にせざるを得ません。

この状態で液をタンクに受け入れて排出しても、ノズル高さ分の液は残ってしまいます。

液が残る

これをタンクのデッド部(デッドストックなど)と言います。

液が混じってしまう

タンクのデッド部で問題になるのは、タンク内を完全に洗浄できないまま、運転をする場合があるということでしょう。シリーズ中ずっと同じ液を使っている場合には、問題にならないはずです。

でも、運転中に同じ溶媒を使用しているとしても、異なる組成の液を受け入れるという場合は往々にしてあります。

A社・B社の二社の液がどちらも使える条件にあったとして、それをランダムに混ぜて使う、という条件なら困りません。問題となるのは、C社という新しい液を使おうと考えるとき。先行評価で問題が無かったら、実機評価を行います。

この時になって問題になります。

完全に入れ替えたい

このような感じで、本当ならばタンク内の液を完全に入れ替えて、例えば中を完全にフレッシュな状態に洗浄して、それから新しい液を受け入れると思い込んでしまいます。

実際にはタンクデッド部があるので、そうはいきませんね。下の図のようなイメージになります。

液は徐々に入れかわる

この状態で問題なく実機評価ができるかどうかは、評価内容に依る部分もあるでしょう。新しく受け入れるC社の方がA社・B社よりも条件が緩い側なら、多少混ざっても気にはならないです。

逆にC社の組成の中に気になる成分があれば、実機評価では先行評価よりも薄まった条件となるので注意が必要です。先行評価では、この辺りを意識しないケースの方が多いと思います。

全量排出は不可能ではない

タンクデッド部の液を抜けない、という表現をしていますが、前提条件があります。

液の抜き出しには時間が掛かる

タンクの底に液が溜まっているとは言え、ノズル内部をタンク底近くまで曲げていたら、液を取り出すことは不可能ではありません。

ただし、空気や窒素を巻き込んでポンプに送り込む可能性が高くなりますので、普通の運転時にはしないでしょう。

運転が終わってタンク内を洗浄しようとしたときに、ダイアフラムポンプなどの気体を巻き込んでいいポンプでデッド部をできるだけ排出します。その後で、水などの重たい液(普通の有機溶媒は水より軽い)を入れて、底に溜まった液を排出。何回か繰り返せば、底部は相当綺麗になるでしょう。

タンク内部にスチームを入れて温度を上げ、横部や天部に付着した溶媒も底に落とし排出します。底のデッド部に水を張って、有機溶媒が浮いてこないことを確認してから、内部に人が入り手で洗浄します。ここまですれば、タンクの中を洗って綺麗にしたと言えます。

溶媒の質や作業員の数にもよりますが、1カ月以上掛かる場合もある作業です。

デッド部の液をダイアフラムポンプなどで抜いてしまった状態で新しい液を入れれば、液の混ざり合いはかなり少なくなるでしょう。その代わり廃棄物の量が増えてしまうので、この方法はしない方が賢明です。ダイアフラムポンプを常時配管で接続して置いておくわけにも行きません。流量も小さいので、別タンクに移送するにも、運転状況をよく見ておかないと難しいでしょう。

参考

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最後に

タンクのデッド部は、タンク構造上避けられない現象です。特に横ノズルや屋外タンクでは、液を全量排出することは困難です。

実務では、デッド部の液を完全に除去することを目指すのではなく、評価や運転計画の中で混合リスクを考慮することが重要です。洗浄作業や新液導入時の手順を整えることで、安全かつ効率的な運転が可能になります。

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