PR
運転

スチームの力を最大限に活かす|加熱源・真空源としての特徴と注意点

スポンサーリンク
スチームを使う場所 運転
記事内に広告が含まれています。This article contains advertisements.

 化学プラントでの加熱や真空工程には、水蒸気(スチーム)が欠かせません。火を直接使うと安全上のリスクが高いため、多くの現場ではスチームが主要な加熱源として使われています。また、高圧のスチームは真空源としても活用可能です。
 本記事では、スチームの特徴や使用場所、運転上の注意点を初心者にも分かりやすく解説します。

スチームもしくは水蒸気はどちらも同じ意味で使い、水の気体のことです。蒸気は有機溶媒の気体のことを言う場合があり、水蒸気もしくは蒸気という表現は誤解を招きそうなのでなるべく使いません。有機溶媒の気体はガスと呼びます。

  • スチーム の気体
  • ガス   有機溶媒の気体

加熱源

スチーム加熱源として使用します。加熱源で真っ先に思いつくのはですよね。

化学工場では火は火災の原因となるので、運転中は普通は使いません。有機溶媒に引火させる可能性があるからです。火が使えないとなると、選択肢は急に少なくなります。火の次に出てくる選択肢が、スチーム。

蒸気機関とかの歴史をたどると、蒸気(水蒸気)は古典的な加熱源と言えるでしょう。スチームのメリットを紹介します。

  • スチームは水なので燃える心配がない
  • 保有熱量が大きい
  • 飽和圧力と飽和温度が1:1で制御しやすい

化学プラントでは特に飽和水蒸気を好みます。スチームは化学プラントでは以下のような場所で使います。

  • 反応器のジャケットに加熱源として
  • 配管トレースの加熱源として
  • 水とスチームを混ぜて温水を作るため(水を温める)
  • 水蒸気蒸留の加熱源として

バッチプラントでは反応器のジャケットにほぼ必ずと言っていいほど、スチーム配管を繋げます。仮にプロセスでスチームを使わないとしても、です。これは設備洗浄用ですね。

熱源として使用することから、配管の保温用にトレースにスチームを通すことも多いです。最近では電気トレース7も使われだしていますが、一応現役です。スチームの熱を使って水を温めて温水にするという方法も、加熱源としての利用ですね。水蒸気蒸留は近年ではかなり減少しています。原理的には面白いです。

真空源

スチームは真空源として使用します。

  • スチームエゼクタとして使用

スチームエゼクタが重宝されるのは

  • スチームが高い圧力を持つこと
  • 気体であること
  • 凝縮すること

という性質があるからです。近年では省エネ目的で水封式真空ポンプに代わることが多いです。水封式真空ポンプでも高真空を得ようとすると、前段にスチームエゼクタは必要ですので、まだまだ現役ですね。

スチームの周辺知識

スチームに関するトピックスのような周辺知識を紹介します。

ドレン

スチームは使用していると冷却されてになります。これをドレンと言います。ドレンが混入したスチームを使っていると、運転にいろいろな不具合が出ます。

気体としてのスチームだけを送りたいのに、水としてのドレンが混じっていますからね。伝熱性やウオーターハンマーなどの問題を引き起こします。ドレンを排出するためにはスチームトラップが必要です。スチームトラップは配管の組み方も大事です。

顕熱はあまり使用しない

スチームを加熱源として使用するとき、潜熱だけを考えます。運転をしていると自ずと顕熱も一部は使われていますが、実質は潜熱だけです。顕熱を利用しようとすると、スチームドレンの回収という方法になるでしょう。

ドレンを使って温水を作るというプロセスも実際にあります。バッチプラントではスチームの使用量が少なく使用時間も安定していないので、バッファタンクを十分に持たせる必要があります。連続プラントよりも難しい点の1つですね。

お金がかかる

スチームは加熱源としても真空源としてもお金が掛かります。

スチーム代 > 電気代

という関係があるからです。電気で代用できる部分は、なるべく電気化しておく方が良いでしょう。

  • 加熱源としては、例えばトレースは長期的には電気の方がメリットが出やすい
  • 真空源としては、水封式真空ポンプでもかなりの真空が出せる

トレースは電気トレースの施工費や断熱の施工費が一般には高く、イニシャルコストとランニングコストの計算が大事です。
真空源はスチームエゼクタなら2段3段と複数段で組まないといけないので、スチーム代が掛かります。

ランニングコストではデメリットがあります。スチームエゼクタは静機器なので、真空ポンプのような動機器に比べて故障しにくいという点がメリットでしょう。後は材質の問題。

参考

created by Rinker
¥4,730 (2025/10/09 07:22:04時点 Amazon調べ-詳細)

関連記事

最後に

化学プラントでは、スチームは加熱源と真空源の両方で重要な役割を担っています。安全で効率的な熱供給が可能なため、反応器ジャケットや配管トレース、スチームエゼクタなどに広く利用されます。一方で、ドレン管理やコスト面の注意も必要です。スチームの特性を理解し、適切に運転することが、プラント効率と安全性向上につながります。

化学プラントの設計・保全・運転などの悩みや疑問・質問などご自由にコメント欄に投稿してください。(コメント欄はこの記事の最下部です。)
*いただいたコメント全て拝見し、真剣に回答させていただきます。

ブロトピ:今日のブログ更新

スポンサーリンク
クリックしてね!
クリックしてね!

コメント