目に見えないから怖い化学プラントの”静電気”の基本 化学プラントの技術者誰もが知っておくべき必須知識

静電気の基礎電気設計

“静電気”の基本の部分を解説します。

静電気は化学プラントでは広く知れ渡っている、技術的な知識

とても大事な考え方です。

対策ばかりに目が行きますが、基本はしっかりおさえておきましょう。

機械エンジニアは設備を扱ううえで静電気対策は欠かせませんので、必須知識です。

もちろん化学プラントのほかの技術者にとっても同じです。

電気と”静電気”

化学プラントでは静電気にばかり着目が行きますが、静電気は電気の一種です。

まずは電気の知識からおさらいしましょう。

電流と電圧

電流と電圧は学校でも当然学びますよね。

「オームの法則」などで有名です。

$$V=IR$$

電圧=電流×抵抗

静電気の世界では抵抗ではなくて体積固有抵抗に興味を持ちます。

抵抗でも体積固有抵抗でも現実的には同じで扱いでよくて、電気を通しやすいかどうかが大事です。

金属なら電気を通しやすく樹脂なら電気を通しにくい

この関係が非常に大事です。

電流と電圧については例えば以下の外部サイトが参考になります。

電流と電圧の違いは何?

直流と交流

直流と交流は家庭でも使いますよね。

直流は電池の話で有名。

交流は家庭に来ている2本の電線で有名。100Vの交流ですね。

電気会社から家庭に電気を供給するときに、直流だとエネルギーロスが大きいため、交流を使います。

直流だと、ジュール熱と呼ぶ電気線での発熱が大きいからです。

電気火花

電気火花は化学プラントでも大事。

電気火花は放電の仕方で以下のように分類できます。

  • スパーク
  • アーク
  • 火花放電

スパークは電気接点での火花でエネルギーは小さいです。

アークは回路の開閉や短絡・漏電・断線などで起こる火花です。

スパークやアークは電気設備の周辺で起こります。

スパークやアークはエネルギーとしては小さいのですが、それでも危険!

化学プラントで扱う引火性液体はこれらのエネルギーでも引火して爆発します。

火花放電は、周囲の空気の絶縁性を破壊して火花が起きるもの。

これは電気設備に限らず起きます。ドアノブなどが良い例ですね。

これはエネルギーとしては非常に大きいです。

火花に関しては化学プラントではもっと細かく厳密な議論をしますが、ここでは省略しましょう。

“静電気”

静電気は化学プラントでは非常に大事な概念です。

日常生活でもありふれていますよね。

これが化学プラントでは致命的な問題に繋がります。

化学プラントの技術者なら静電気という単語は、日常的に使います。

化学プラントで技術を語る場合、静電気の知識は持っておいた方が圧倒的に得です。

静電気って何?

静電気って何でしょうか?

静電気は日常生活であふれていますよね。でも、現象を説明できる人は少ないでしょう。

静電気とは静かな電気。電気の1つです。

下のイメージを見てみましょう。

静電気イメージ

物質はプラスとマイナスの電荷から成り立ちます。

物理化学の世界では原子と原子核・電子などの名前で登場しますね。

このプラスとマイナス。普通は同じ量でバランスを取るはずです。

ところが、ある条件ではプラスとマイナスがそれぞれ別の場所に分離してしまいます。

分離することで、1つの物質はプラスが多くなり、残りの物質はマイナスが多くなります。

これをそれぞれ「プラスに帯電」「マイナスに帯電」します。

静電気が溜まるという時は、この状態を差します。

もともとはプラスとマイナスでバランスを取っていたものが、プラスもしくはマイナスに偏った状態はいびつな状態です。

これを元の状態に戻そうとして、プラスとマイナスが結合しようとします。

これが放電です。

静電気の原理としてはこの原則を知っていれば、化学プラントの技術者としても十分です。

より詳しく知りたい方は、例えば以下のようなサイトが参考になります。

静電気とは | 静電気の基礎知識 | 静電気ドクター | キーエンス
静電気のメカニズムと、パチッと感じる痛みの正体について説明します。キーエンスが運営する「静電気ドクター」は、製造現場の静電気トラブルを解決するために、静電気や除電器(イオナイザ)について学ぶサイトです。

“静電気”は目に見えない

静電気がやっかいなのは目に見えないという点。

目に見えない静電気が起こると、目に見えない危険物に引火して、目に見えないうちに火災爆発が起こります。

気が付かないうちに事故が起きていた

これが静電気の怖いところ。

化学プラントで気が付かないうちに事故が起きましたは許されません。

そのためには静電気に対する理解は化学プラントのエンジニアの必須知識です。

“静電気”が起きる条件

静電気が溜まる条件を確認しましょう。

ここは極めて大事です。

接触帯電2種類の物質を接触させた後に分離すると帯電
流動帯電管内を流体が流れると帯電
沈降帯電流体中の固体が沈降すると帯電
破砕帯電固体を砕くと帯電
噴出帯電流体がノズルから飛び出ると帯電
誘導帯電帯電した物質の近くの物質が帯電

いろいろありますよね。

これって簡単に言うと、以下のように言えます。

物が動くと静電気が起きる

物を動かさないと生産できないので、静電気が発生することが避けられません。

これを「放電」させないことが大事です。

静電気が起きれば、それを貯めないで開放できれば問題は起きません。

“静電気”が溜まりやすい条件

静電気は物が動くと必ず発生します。

これを貯めないようにするには、電気をすぐに移動できればOK。

逆に電気を移動できない物質は、静電気を溜めやすい物質といえます。

電気を溜めやすい物質とは何でしょうか?

水と金属以外

こう考えればいいです。逆に水と金属は電気を通しやすいと言えます。

電気の通しやすさの指標として、その逆の通しにくさを「抵抗率」で表現します。

危険物乙4の範囲内の引火性液体は総じて「抵抗率」が高いです。詰まり電気を通しにくい。

バッチ系化学プラントでは、ガラスライニング設備やフッ素樹脂ライニング設備が静電気を溜めやすい設備として有名です。

“静電気”のエネルギー

静電気のエネルギーについても確認しましょう。

静電気のエネルギーは以下のように表現できます。

$$E=\frac{1}{2}QV=\frac{1}{2}CV^2$$

\(E\)は静電気のエネルギー、\(Q\)は電荷、\(V\)は電位差、\(C\)は静電容量です。

難しいことは置いておいて、\(C\)が大事。

電気を貯める量を表す指標として考えればいいです。

樹脂など電気抵抗が高いものは、この\(C\)が高いと考えます。

\(C\)が高いために\(E\)が高く、静電気を貯めるエネルギー互いということです。

このエネルギーが高い方が放電エネルギーが高く、引火性液体に引火しやすくなります。

電気設備

静電気というと電気設備の防爆の話になります。

静電気対策としては電気設備以外にもいろいろありますが、機電系エンジニアとしては防爆に興味が行くでしょう。

安全増防爆や耐圧防爆という防爆規格を採用しなければいけません。

これが化学プラントの技術進歩を遅らせる壁になりがち。

防爆設計として基礎を知れば知るほど、厳しい規制に疑問を持つでしょう。

引火点

運転サイドでは、引火点と危険物第四類の視点も静電気に深く関連します。

危険物第四類でも三石以上なら安心感が出ます。

二石なら運転条件とにらめっこ。

この辺りは個別の記事を確認して下さい。

参考図書

静電気対策の図書はいろいろありますが、1つ紹介しましょう。

化学プラントでは静電気を深く掘り下げることになりますので、それなりのしっかりした物を持っている方が良いでしょう。

基本的な部分は本ブログでも網羅しています。

最後に

化学プラントで大事な静電気の基礎とざっくり体系について解説しました。

電流・電圧・直流と交流・電気火花や静電気の発生原理・エネルギーなどを解説しています。

静電気として防爆電気設備や引火点の概念も重要。

この記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

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